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「子どもが欲しい」と願ってもなかなか妊娠に至らない場合、そこには何らかの身体的な原因が隠れている可能性があります。女性の不妊原因は多岐にわたり、一つの原因だけでなく、複数の要因が重なっていることも珍しくありません。
妊娠は、卵子が育ち、排卵され、卵管で精子と出会って受精し、受精卵が子宮に着床するという「奇跡的なリレー」によって成立します。このリレーのどこかでトラブルが起きると、妊娠への道のりが難しくなってしまいます。この記事では、女性不妊の主な原因を身体の仕組みに沿って解説し、それぞれに必要な検査や対策についてご紹介します。
不妊の原因を特定することは、適切な治療への第一歩です。女性側の原因は、主に「排卵」「卵管」「子宮」「頸管」の4つに分類されます。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
月経が不順であったり、数ヶ月来ない場合は、排卵がスムーズに行われていない可能性があります。排卵がなければ、精子と出会うチャンス自体が失われてしまいます。
卵管は、卵子が精子と出会い「受精」する場所であり、受精卵を子宮へ運ぶ重要なパイプです。この卵管が詰まったり癒着したりすると、妊娠が極めて難しくなります。
受精卵が子宮にたどり着いても、ベッドとなる子宮内膜や環境に問題があると、うまく「着床」できず妊娠に至りません。
子宮の入り口(子宮頸管)には、排卵期になると精子の侵入を助ける「頸管粘液」が分泌されます。この粘液の量が少なかったり、性質が悪かったりすると、精子が子宮内へ進むことができなくなります。
上記の4大因子以外にも、女性不妊に関わる重要な原因があります。
本来子宮の内側にあるはずの内膜組織が、卵巣や腹膜など別の場所で増殖・剥離を繰り返す病気です。重い生理痛が特徴ですが、炎症により癒着を引き起こし、卵管の詰まりやピックアップ障害、卵子の質の低下など、不妊の複合的な原因となり得ます。
女性の体が精子を「異物(敵)」とみなし、攻撃してしまう抗体(抗精子抗体)を持っているケースです。頸管粘液の中にこの抗体があると、精子は子宮内に入ることができません。この場合、精子を直接子宮に送る人工授精や、体外受精へのステップアップが検討されます。
晩婚化が進む現代において、最も大きな不妊原因の一つが「加齢」です。女性が生まれたときに持っている卵子の数は決まっており、年齢とともに数は減少し、質も低下していきます。
「見た目が若いから大丈夫」ではなく、卵巣年齢は実年齢とともに進んでいるという事実を理解し、早めにライフプランを考えることが大切です。
一通りの検査を行っても、明らかな異常が見つからない場合を「機能性不妊(原因不明不妊)」と呼びます。実は不妊症全体の約10〜15%を占めると言われています。
「原因がないのに妊娠できない」のではなく、「現在の一般的な検査では見つけられない微細な原因がある(ピックアップ障害や受精障害など)」と考えられています。この場合も、年齢などを考慮しながらステップアップ治療(体外受精など)を行うことで、妊娠に至るケースは多くあります。
女性不妊の兆候は、月経の状態に表れることが多いです。以下の項目に心当たりがある場合は、早めの受診をおすすめします。
原因を特定するために、生理周期に合わせていくつかの検査を行います。
毎朝の体温を記録することで、排卵の有無や黄体機能の状態を推測できます。まずは自分のリズムを知るための基本です。
低温期(生理中)や高温期に採血し、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵巣年齢を測るAMH(アンチミューラリアンホルモン)などを調べます。
子宮筋腫や卵巣嚢腫の有無、卵胞の育ち具合、子宮内膜の厚さなどを視覚的に確認します。
子宮内に造影剤を注入し、レントゲン撮影を行います。卵管が詰まっていないか(通りの良さ)や、子宮の形に異常がないかを調べる重要な検査です。この検査後は「卵管の通りが良くなり妊娠しやすくなる」とも言われています。
当メディアでは、女性不妊の相談をはじめとした、治療の目的別に際立った特徴を持つ3院をご紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
「不妊かもしれない」と悩むのはとても辛いことですが、悩んでいるだけでは時間は過ぎてしまいます。特に女性の体は年齢とともに変化するため、一日でも早く原因を知り、適切な対策をとることが妊娠への一番の近道です。
検査で原因が見つかれば治療ができますし、もし「原因不明」であっても、それは「今の医学で治すべき悪いところが見当たらない」という前向きな捉え方もできます。まずは勇気を出して、不妊治療専門クリニックの扉を叩いてみてください。
不妊治療クリニックと一口にいっても、
など、治療のフェーズやライフスタイルによって「合うクリニック」は変わってくるので、自身の状態にあったクリニック選びを心がけましょう。

2007年よりひなたクリニック開業。
産婦人科医の傍ら、総合格闘技のリングドクターとしても活動中。婦人科で行うVIO脱毛(介護脱毛)を積極的に行い、日本医学脱毛学会の理事も務める。
産婦人科学会専門医、日本スポーツ協会スポーツドクター、北海道フードマイスター、利酒師、焼酎利酒師の資格を持ち、おいしい食べ物、酒をこよなく愛する。
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術、商品等を推奨しているものではございません。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf