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「30代で体外受精にステップアップしたのに、なかなか結果が出ない」
「検査では特に問題がないと言われたのに、なぜ着床しないの?」
30代は仕事や周囲の環境変化も大きく、妊娠へのプレッシャーを感じやすい年代です。体外受精を始めればすぐに妊娠できると期待していた分、うまくいかない時のショックや焦りは計り知れません。
しかし、30代で体外受精をしてもすぐに結果が出ないことは、決して珍しいことではありません。原因は「卵子」だけでなく、「子宮」や「精子」、あるいは「治療方法との相性」など多岐にわたります。
このコラムでは、30代の方が妊娠に至らない主な原因を整理し、現状を打破するために見直すべきポイントや対策について解説します。
まずは、30代における体外受精の現状を客観的なデータで見てみましょう。日本産科婦人科学会のデータによると、体外受精(胚移植1回あたり)の妊娠率は以下のようになっています。
このデータから分かる通り、1回の治療で妊娠に至らないことは「失敗」や「異常」ではなく、確率的に十分あり得ることです。特に30代後半になると、卵子の質の低下などにより、どうしても成功率は緩やかに低下していきます。
「なぜ私だけ?」と自分を責める必要はありません。大切なのは、この確率を少しでも上げるために何ができるかを知ることです。
何度か移植を繰り返しても妊娠しない場合、大きく分けて3つの原因が考えられます。
最も多い原因の一つが、受精卵(胚)自体の生命力です。見た目のグレードが良い胚であっても、染色体異常を持っている確率は年齢とともに上昇します。30代後半では、良好胚盤胞であっても染色体正常率は50%程度とも言われており、「着床しない」「流産してしまう」原因の多くは受精卵側にあると考えられます。
「良い胚を戻しても着床しない」場合、子宮側に受け入れを妨げる要因があるかもしれません。
不妊治療はどうしても女性側の負担が大きくなりがちですが、受精卵の質には精子の状態も大きく関わっています。精液検査の数値が基準をクリアしていても、精子のDNAに損傷(断片化)が多い場合、受精卵の発育停止や着床率低下につながることが分かっています。
同じ治療を繰り返しても結果が出ない場合は、アプローチを変える必要があります。医師と相談し、以下のような見直しを検討してみましょう。
採卵しても良い卵子が取れない、受精卵が育たない場合は、排卵誘発剤の種類を変える(高刺激から低刺激へ、またはその逆など)ことで卵子の質が変わることがあります。また、受精方法を顕微授精に切り替えたり、特殊な培養液を使用したりすることも選択肢の一つです。
採卵した周期にそのまま戻す「新鮮胚移植」よりも、一度凍結して子宮環境を整えてから戻す「凍結胚移植」の方が、着床率が高い傾向にあります。もし新鮮胚移植で結果が出ていないなら、凍結胚移植を検討する価値があります。
反復して着床しない場合、子宮鏡検査や慢性子宮内膜炎検査(CD138)、子宮内の菌環境を調べる検査(EMMA/ALICE)、着床の窓を調べる検査(ERA)などの追加検査を行うことで、隠れた原因が見つかることがあります。
結果が出ない期間が続くと、SNSで他人の妊娠報告を見て落ち込んだり、焦りで心身のバランスを崩したりしがちです。
しかし、ストレス過多は自律神経を乱し、ホルモンバランスにも悪影響を与えかねません。「今は原因を探る期間」と割り切り、時には治療をお休みしてリフレッシュすることも、遠回りのようでいて大切な治療の一環です。
また、現在通っている病院の方針に疑問を感じたり、質問しづらい雰囲気がある場合は、転院やセカンドオピニオンを検討するのも一つの手です。30代はまだ選択肢が多い年代です。培養技術の高いクリニックや、男性不妊に強いクリニックなど、自分たちに合った環境を選ぶことが、結果への近道になることもあります。
A:卵巣機能に合わせた刺激法の見直しや、サプリメント等による体質改善、あるいは採卵のタイミングを微調整することなどで改善する場合があります。医師と相談して戦略を変えてみましょう。
A:流産を繰り返している場合や、反復して着床しない場合には有効な選択肢となります。ただし、メリットとデメリットがあるため、十分な説明を受けて判断することが大切です。
A:まずは通院回数の少ない治療法や、夜間診療のあるクリニックへの転院などを検討してみてください。仕事が精神的な支えになることもあるため、即決せずに周囲やカウンセラーに相談することをお勧めします。
30代の体外受精で妊娠しないことには、必ず何らかの理由や、まだ試していないアプローチが存在します。
「もうダメかもしれない」と諦める前に、検査で見落としはないか、治療方針は合っているか、生活習慣で改善できることはないか、一つずつ確認していきましょう。納得できる治療を積み重ねることが、赤ちゃんに出会うための着実な一歩となります。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf