京で妊娠 京都の不妊治療ガイド » 不妊の原因について » 甲状腺機能異常と不妊の関係と正しい対策

甲状腺機能異常と不妊の関係と正しい対策

公開日: |最終更新日時:

目次

「検査で異常なしと言われたのに妊娠しない」「流産を繰り返す」...もし心当たりがあるなら、それは首元の小さな臓器「甲状腺(こうじょうせん)」のホルモン異常が原因かもしれません。

甲状腺の病気は20〜30代の女性に多く、不妊症患者の約10〜20%に潜在的な異常が見つかると言われています。自覚症状が少ないため見逃されがちですが、「TSH」という数値を適切に管理することで、妊娠率・出産率は劇的に改善します。

この記事では、不妊治療において最も重要な「TSH 2.5の基準」と、早期発見のためのセルフチェックについて解説します。

知っておきたい「TSH 2.5」の壁

ここが最も重要なポイントです。一般的な健康診断で「A判定(異常なし)」であっても、妊娠を目指す場合は「不合格」になることがあります。

甲状腺機能を測る指標の一つに、脳から分泌される「TSH(甲状腺刺激ホルモン)」があります。多くのガイドラインでは、妊娠希望者に対してより厳しい基準を推奨しています。

対象 TSH基準値の目安 判定のポイント
一般的な健康診断 0.5 〜 5.0 μIU/mL 日常生活に支障がない範囲であれば正常とされます。
妊娠希望者・妊娠中 2.5 μIU/mL 未満 赤ちゃんの発育と流産予防のため、厳格にコントロールする必要があります。

※基準値は施設や測定方法により多少異なる場合があります。

TSHが2.5以上の「潜在性甲状腺機能低下症」を放置すると、以下のようなリスクが高まります。

  • 排卵障害:高プロラクチン血症を併発しやすくなる
  • 着床不全:受精卵が子宮内膜に着床しにくくなる
  • 流産率の上昇:未治療の場合、流産のリスクが約2倍になるというデータもあります

不妊の原因となる2つのタイプ

甲状腺の病気は大きく分けて、機能が下がる「低下症」と、上がりすぎる「亢進症」の2つがあります。どちらも不妊の原因となりますが、特に多いのが「低下症(橋本病)」です。

1. 甲状腺機能低下症(橋本病など)

甲状腺ホルモンの分泌が不足している状態です。代謝が落ち、卵胞がうまく育たなくなったり、黄体機能不全を引き起こしたりします。

主な症状
寒がり、むくみ、体重増加、やる気が出ない、一日中眠い、皮膚の乾燥

2. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態で、常に全力疾走しているような状態になります。月経不順や無月経、着床障害の原因となります。

主な症状
暑がり、動悸、食べているのに痩せる、イライラ、手指の震え

「もしかして?」と思ったらセルフチェック

甲状腺の不調は「なんとなく体調が悪い」で見過ごされがちです。以下のリストに当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

機能低下症(橋本病)の疑い
  • とにかく疲れやすく、日中も眠い
  • 異常に寒がりになった(夏でも冷える)
  • 食事量は変わらないのに体重が増えた
  • 肌が乾燥し、髪が抜けやすくなった
  • 顔や手足がむくみやすい
  • 首の前側(のどぼとけの下)が腫れぼったい
機能亢進症(バセドウ病)の疑い
  • 安静にしていても動悸がする、脈が速い
  • 暑がりになり、汗をかきやすくなった
  • 食べているのに体重が減る
  • 手指が細かく震える
  • イライラして落ち着かない
  • 生理の量が減った、または間隔が空く

一つでも当てはまる項目があり、妊娠を希望されている場合は、不妊治療クリニックや内分泌内科で血液検査(TSH, FT3, FT4)を受けることを強くおすすめします。

体外受精(IVF)を受ける方への注意点

体外受精を行う場合、甲状腺機能には特有の注意が必要です。治療前は正常値でも、治療プロセスの中で数値が悪化するケースがあります。

排卵誘発剤を使用すると、エストロゲン(女性ホルモン)が急上昇します。これにより、甲状腺ホルモンを運ぶタンパク質が増え、実際に働くことができるホルモン(Free T4)が相対的に不足してしまう現象(TBG効果)が起こります。

採卵や移植の時期はこまめに数値をチェックし、必要に応じて薬(チラーヂン)を増量することが、妊娠率を下げないための鍵となります。

甲状腺ケアは「赤ちゃんへの最初のプレゼント」

「一生薬を飲み続けるの?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、不足している甲状腺ホルモンを補うことは、単なる治療ではありません。

甲状腺ホルモンは、お腹の赤ちゃんの脳や体の発育に欠かせない「栄養素」のようなものです。ママのホルモン数値を整えることは、流産を防ぎ、赤ちゃんがすくすく育つための「最高の環境」を整えてあげることに他なりません。

甲状腺異常は、適切にコントロールすれば健康な方と同じように妊娠・出産が可能な「解決できる課題」です。ひとりで悩まず、まずは数値を測ることから始めましょう。

甲状腺ケアと不妊治療を両立できる病院選び

甲状腺ホルモンの管理は、妊娠成立だけでなく、その後の赤ちゃんの成長を守るためにも継続的なケアが必要です。

しかし、一般的な婦人科では専門的な甲状腺検査が即日できなかったり、内分泌内科との連携に時間がかかったりすることもあります。治療のスピードを落とさず、安全に妊娠を目指すためには、「不妊治療と甲状腺管理をワンストップで、または密な連携で行えるクリニック」を選ぶことが近道です。

ここでは、内分泌検査に対応し、リスク管理に強いクリニックを厳選してご紹介します。

京都にある不妊治療の
クリニック・病院
おすすめ3選

不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。

体外受精の
相談をするなら
足立病院 生殖医療センター
足立病院 生殖医療センター
引用元:足立病院 生殖医療センター公式HP
(https://www.adachi-hospital.com/infertility/)
おすすめの理由

2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。

妊娠しやすい身体づくりの
相談をするなら
田村秀子婦人科医院
田村秀子婦人科医院
引用元:田村秀子婦人科医院公式HP
(https://tamura-hideko.com/)
おすすめの理由

不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。

男性不妊治療の
相談をするなら
いちおか泌尿器科クリニック
いちおか泌尿器科クリニック
引用元:いちおか泌尿器科クリニック公式HP
(https://ichioka-urological-clinic.com/)
おすすめの理由

男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。

※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf