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不妊治療は、心身の負担だけでなく、通院や治療費など経済的な負担も少なくありません。
「どこまで費用がかかるのか不安」「助成金があると聞いたけれど、自分たちが対象になるのか分からない」――そんな京都市で不妊治療を受けている、または検討しているご夫婦に向けて、京都市の不妊治療費助成制度(一般不妊治療費等助成事業)について分かりやすくまとめました。
このページでは、
といった「まず知っておきたいポイント」にしぼって解説します。
なお、制度の内容は今後変更される可能性があります。最終的な条件・金額・様式などは、必ず京都市および京都府の公式サイトで最新情報をご確認ください。
京都市が実施している不妊治療の助成制度は、正式には「不妊治療費助成制度(一般不妊治療費等助成事業)」といいます。
この制度は、
にかかった医療費の一部を、京都市が助成することでご夫婦の経済的負担を軽くすることを目的としています。
不妊治療は、タイミング法や人工授精から、体外受精・顕微授精までステップが幅広く、治療が長期にわたることも少なくありません。そうした中で、「少しでも費用の不安を減らし、治療を続けやすくするための制度」と考えるとイメージしやすいでしょう。
なお、保険適用の上限回数を超えた体外受精・顕微授精や、通院交通費については、京都府が実施する別の助成制度(特定不妊治療費助成、通院交通費助成)の対象となる場合があります。京都市の制度と京都府の制度を組み合わせることで、負担をさらに軽減できるケースもあります。
京都市の不妊治療費助成の対象となる治療は、大きく分けて次の2種類です。
ひとつ目は、健康保険が適用される不妊治療です。具体的には、たとえば次のような治療や検査が含まれます(あくまで一例です)。
ポイントは、「不妊症」と診断されたあとに受けた保険診療が対象になるという点です。診断がつく前に受けた検査や、一部の自費診療は助成の対象外となるため、気になる場合は主治医に確認しましょう。
ふたつ目は、保険外の「先進医療」です。厚生労働省が「先進医療」として認め、指定医療機関で実施される技術に限って、助成対象となります。
たとえば、体外受精・顕微授精のオプションとして行われる
といったものが代表例です(実際の対象技術は、厚生労働省・京都府の公式情報をご確認ください)。
なお、先進医療を利用した場合は、年間の助成上限額が「10万円」に引き上げられる点が、通常の保険診療だけの場合との大きな違いです(詳細は後述の「助成金額」の章で解説します)。
ここで少しややこしいのが、京都府にも不妊治療の助成制度があるという点です。
つまり、
といったイメージで、市と府それぞれの制度を組み合わせて利用することができます。
どんな治療を受けていても、自動的に助成が受けられるわけではありません。京都市の不妊治療費助成には、「対象となる人」の条件がいくつか定められています。
京都市の公式情報では、対象者の条件は次の4つです。
上記の条件をすべて満たしていることが、助成を受けるための前提となります。
婚姻届を出していない事実婚のカップルも、一定の条件を満たしていれば助成対象になります。
オンライン申請の場合は、申立書そのものを紙で提出する必要はなく、フォーム上で事実婚に関する項目を入力する形になります。
自分たちが大まかに対象になりそうか、以下のチェックで確認してみましょう。
4つすべてに「はい」と言える場合、京都市の不妊治療費助成制度の対象になる可能性があります。
ただし、細かい条件や例外もありますので、最終的な判断は京都市の窓口・公式サイトでご確認ください。
つづいて、多くの方が気になる「助成額」について見ていきましょう。京都市の不妊治療費助成制度では、自己負担額の2分の1が助成対象になりますが、年度ごとに上限額が決まっています。
京都市内に住所がある期間に受けた不妊治療について、
というルールになっています。ここでいう「自己負担額」とは、健康保険でカバーされない自己負担分+先進医療の費用などを含めた、最終的にご自身が負担した金額です。
さらに、指定された先進医療を伴う場合は、年間の上限額が次のように変わります。
不妊治療の費用が高額になった場合、健康保険から高額療養費や、健康保険組合独自の付加給付が支給されることがあります。
この場合、京都市の助成制度では、
という計算になります。
そのため、
を確認したうえで、不妊治療費助成の申請タイミングを決めるとスムーズです。
あくまで目安ですが、イメージしやすいように簡単なケースを2つ挙げます。
ケース1:先進医療なしの治療が30万円かかった場合
ケース2:先進医療ありの治療が40万円かかった場合
※実際の金額は、治療内容・年齢・加入している健康保険の条件などによって変わります。詳細な試算は、医療機関、健康保険組合、京都市窓口などでご確認ください。
京都市の不妊治療費助成制度で特に注意したいのが、申請期限です。
申請期限は、「診療日の翌日から起算して1年以内」と決められています。
たとえば、申請日が令和6年2月10日だった場合
このように、「1回1回の診療日ごとに、1年以内かどうかを判定」する仕組みになっています。体外受精など、1クールとして考えがちな治療でも、助成制度上は「各診療日」に分けて判断される点に注意が必要です。
1年間の治療をまとめて年度末に申請することもできますが、「忙しくて申請を先延ばしにしていたら、いつの間にか1年を過ぎていた…」という事態を防ぐために、次のような工夫もおすすめです。
とくに体外受精・顕微授精などで通院回数が多くなる方は、「どの診療日までが助成対象になるか」を意識して、早め早めの申請を心がけると安心です。
ここからは、実際に助成金を受け取るまでの申請の流れを、ステップごとに解説します。オンライン申請と郵送(窓口)申請のどちらにも対応しているので、ご自身の事情に合った方法を選びましょう。
まずは、不妊治療を受けたあとに、医療機関や薬局に「一般不妊治療等医療機関等証明書」の作成を依頼します。
証明書の書式は京都市が定めているので、多くの医療機関では様式が共有されています。受付や会計のタイミングで「京都市の不妊治療助成の証明書をお願いしたい」と伝えるとスムーズです。
次に、申請に必要な書類をそろえます。主なものは以下のとおりです。
オンライン申請を利用する場合、これらの書類は画像データ(PDFや写真など)をアップロードする形式になります。事前にスマホやスキャナーで撮影・保存しておくと、申請がスムーズです。
令和7年8月22日から、従来の紙申請に加えてオンライン申請が可能になりました。忙しい方や、窓口に行く時間が取りづらい方には非常に便利な方法です。
オンライン申請では、申請書そのものを紙で提出する必要はありません。ただし、入力内容に誤りがあると確認や差し戻しに時間がかかることがあるため、送信前に必ず内容を見直しましょう。
オンラインではなく、紙の書類で申請したい場合は、郵送または窓口で提出します。
郵送の場合、申請書類が到着した日が「申請日」になります。申請期限ギリギリだと、郵便の遅延や不着で間に合わないリスクもあるため、できるだけ余裕を持って投函しましょう。
なお、ファックスによる申請は受け付けていないため注意が必要です。
申請後は、京都市で審査が行われます。
書類の記載漏れや添付忘れがあると、確認に時間がかかり、支給までの期間が長くなることもあります。申請前に、「必要書類が揃っているか・記載内容に誤りがないか」をチェックしておきましょう。
ここでは、申請時にありがちなミスや、気をつけたいポイントをまとめました。提出前に一度見直しておくことで、差し戻しや確認の手間を減らすことができます。
証明内容に不明点がある場合は、早めに医療機関や薬局に確認しておくと安心です。
助成金を受け取ったあとにも、いくつか知っておきたいポイントがあります。特に、医療費控除や書類の保管について注意しておきましょう。
京都市から送られてくる交付決定通知書は、次のような場面で必要になることがあります。
通知書は原則再発行できないため、ファイルなどで保管しておくとともに、スマホで写真を撮っておくなどの方法もおすすめです。
確定申告で医療費控除を受ける場合、控除の対象となるのは、助成金を差し引いた後の自己負担額です。
などを一覧にしておくと、後から整理しやすくなります。医療費控除の詳細な計算方法については、税務署や税理士に確認してください。
ここからは、京都府が行っている不妊治療関連の助成制度について、京都市の制度との関係をかんたんに整理します。
京都府の特定不妊治療費助成制度は、体外受精・顕微授精などの特定不妊治療について、保険適用の制限回数を超えた分の費用を助成する制度です。
年齢や婚姻状況(事実婚含む)など、細かな条件が設定されているため、実際に申請する際は京都府の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
体外受精・顕微授精などの特定不妊治療を受ける際に、1回の治療(1クール)でかかった通院交通費の合計が1万円を超えた場合、一部を助成する制度もあります。
イメージとしては、次のような流れで考えると整理しやすくなります。
さらに、高額療養費・付加給付・医療費控除と組み合わせることで、トータルの負担を抑えられる場合があります。どの制度がどの治療に当てはまるか分かりにくいときは、京都市・京都府の相談窓口で一度全体像を相談してみるのもおすすめです。
ここでは、あくまでイメージとして、ざっくりとしたケース別のシミュレーションを紹介します。実際の金額は、治療内容・年齢・健康保険・助成制度の利用状況などによって大きく変わる点にご注意ください。
このように、一つひとつの制度を「どの治療に対して使えるのか」整理しながら組み合わせていくことが、負担軽減のポイントになります。
A:申請期限は「診療日の翌日から1年以内」と厳格に定められており、期限を過ぎた診療分は助成対象外となります。郵送申請の場合は、書類が到着した日が申請日となるため、余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。
A:京都府内で他市町村に転居した場合、治療を受けていた時点の住所地が申請先になる場合があります。治療時期と住所の関係によって変わるため、京都市または新しい住所地の市町村窓口に確認してください。
A:治療費を支払った側の保険情報や、高額療養費・付加給付の状況を申請書に記載するのが基本です。ご夫婦で治療費を分担している場合など、扱いが分かりにくいときは、事前に京都市の窓口に相談しておくと安心です。
A:高額療養費や付加給付の扱いによって、助成額が変わってくるため、支給が確定してからの申請が望ましいケースもあります。どうしても期限が迫っている場合は、現在の状況を申請書に記載し、京都市に相談してみてください。
A:助成制度は「1年度あたりの上限額」が設定されています。2人目以降の不妊治療でも条件を満たしていれば対象になりますが、過去の助成利用状況や治療内容によって異なる場合があるため、詳細は京都市窓口で確認をお願いします。
制度の詳細や申請方法について不明点がある場合は、京都市の担当窓口に問い合わせができます。
制度のことだけでなく、不妊や不育そのものについて相談したい場合は、京都市・京都府が設けている各種相談窓口も活用できます。
治療やお金のことだけでなく、気持ちのつらさや将来への不安も、ひとりで抱え込まずに相談してみてください。
京都市の不妊治療費助成制度は、不妊治療に取り組むご夫婦の経済的な負担を少しでも軽くするための仕組みです。
不妊治療は、身体的にも精神的にも負担の大きいものです。だからこそ、使える制度は上手に活用しながら、「無理をしすぎない治療の続け方」を、ご夫婦や医師・相談窓口と一緒に考えていけますように。
このページが、京都市で不妊治療を検討・継続している方々の不安を少しでも減らす一助になれば幸いです。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf