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「なかなか子どもができない」と悩むご夫婦が受診した際、非常に高い頻度で見つかるのが男性側の原因、特に「造精機能障害(ぞうせいきのうしょうがい)」です。
これは精巣(睾丸)で精子を作る機能そのものに問題がある状態で、男性不妊の原因の約80%〜90%を占めると言われています。
自覚症状がほとんどないため、検査をして初めて「精子の数が少ない(乏精子症)」や「動きが悪い(精子無力症)」といった事実が発覚するケースが大半です。この記事では、造精機能障害の症状や原因、精索静脈瘤との関係、そして現在選択できる治療法について詳しく解説します。
造精機能障害とは、精子を作る能力が低下している状態の総称です。主に精液検査を行うことで、以下の3つのタイプのいずれか(あるいは複数)に分類されます。
精液中の精子の数が基準よりも少ない状態です。
WHOの基準値(1mlあたり1,500万匹以上)を下回ると診断されます。数が極端に少ない場合は「高度乏精子症」と呼ばれ、自然妊娠が難しくなる傾向にあります。
精子の数は足りていても、活発に動いている精子が少ない状態です。
前進運動率が32%未満、または総運動率が40%未満の場合に診断されます。卵子まで辿り着く力が弱いため、受精の確率が下がります。
正常な形をした精子が少ない状態です。
頭部が欠けていたり、尾部が曲がっていたりする精子が多いと、受精能力に影響します。正常形態率が4%未満の場合に診断されます。
また、精液中に精子が1匹も見当たらない状態を「無精子症」と呼びますが、これも造精機能障害の最も重い症状の一つに含まれます(※通り道が詰まっている閉塞性を除く)。
「なぜ自分が?」と思われるかもしれませんが、造精機能障害の原因は多岐にわたり、実は原因が特定できないケースも半数近くにのぼります。
造精機能障害の原因として特定できる中で最も多いのが「精索静脈瘤」です。男性不妊患者の約30〜40%に見られます。
精巣から心臓へ戻る静脈の弁が壊れ、血液が逆流して陰嚢の周りに「こぶ」ができる病気です。血液の温かさで精巣の温度が上昇し、熱に弱い精子を作る機能が低下してしまいます。進行性の病気ですが、手術によって精液所見の改善が期待できる代表的な原因です。
残念ながら、現段階の医学では検査をしても明らかな原因が見つからない「特発性造精機能障害」が全体の約40〜50%を占めます。この場合、生活習慣の改善や漢方薬・サプリメントによる治療、あるいは高度生殖医療(体外受精・顕微授精)へのステップアップが検討されます。
原因や重症度、そして奥様の年齢や状況に合わせて、治療方針は変わります。大きく分けて3つの選択肢があります。
原因不明の場合や、軽度の乏精子症・精子無力症の場合に行われます。
精索静脈瘤が見つかった場合、顕微鏡を使った手術(低位結紮術など)を行うことで、約60〜70%の方に精液所見の改善が見られます。自然妊娠や人工授精での妊娠を目指したいご夫婦にとって有効な選択肢です。
治療を行っても改善が見られない場合や、女性側の年齢などを考慮して時間を優先する場合は、少ない精子でも妊娠を目指せる方法を選択します。
当メディアでは、男性不妊の相談をはじめとした、治療の目的別に際立った特徴を持つ3院をご紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
精子は日々新しく作られていますが、完成までには約74日かかります。今日からの生活習慣の改善が、3ヶ月後の精子の質を変える可能性があります。
A:造精機能障害とは、精巣で精子を作る機能が低下している状態の総称です。精液検査によって、乏精子症(数が少ない)、精子無力症(動きが悪い)、奇形精子症(形に異常が多い)などに分類されます。自覚症状がほとんどないため、検査で初めて分かるケースが大半です。
A:男性不妊の原因のうち、約80〜90%が造精機能障害とされています。その中でも、乏精子症や精子無力症といった軽度〜中等度の異常が多く、決して珍しい病気ではありません。
A:精索静脈瘤があると、精巣周囲の血液がうっ滞し、精巣の温度が上昇します。精子は熱に弱いため、この温度上昇が精子の数や運動率の低下につながります。精索静脈瘤は手術で改善が期待できる、数少ない「治療可能な原因」です。
A:はい。原因が特定できない特発性造精機能障害でも、治療の選択肢はあります。生活習慣の改善、漢方薬やビタミン剤による治療を行いながら経過を見る方法や、状況に応じて人工授精・体外受精・顕微授精といった補助生殖医療を選択することも可能です。
A:重症度によります。軽度であれば生活改善や治療によって精液所見が改善し、自然妊娠に至るケースもあります。一方で、重度の場合や時間を優先したい場合は、人工授精や顕微授精などを併用することで妊娠の可能性を高められます。まずは精液検査で状態を正確に把握することが重要です。
造精機能障害は、決してご本人の責任ではありません。しかし、放置していても自然に治ることは稀であり、時間が経過するほど女性側の妊孕性(妊娠する力)も変化していきます。
精液検査は痛みもなく、短時間で終わる検査です。「もしかして?」と悩む時間を、「こうすれば妊娠できる」という具体的なアクションに変えるために、まずは泌尿器科や不妊治療クリニックで現状を知ることから始めてみてください。
など、治療の目的や重視したいポイントによって「合うクリニック」は変わってきます。
当サイトでは、「治療の目的別に、際立った特徴を持つ3つの不妊治療クリニック」を厳選して紹介しています。男性不妊を含めて総合的に相談したい方も、「まずは検査だけでも」という方も、ご自身の希望に近いクリニックを見つける手がかりとしてご活用ください。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf