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「そろそろ体外受精を考えているけれど、費用が心配」
「30代後半になって、保険の回数制限が気になり始めた」
2022年から不妊治療の保険適用がスタートし、30代の方にとっても高度生殖医療(体外受精・顕微授精)は以前より身近な選択肢となりました。しかし、30代は仕事の責任が増す時期でもあり、将来の教育費や住宅ローンなどを考えると、治療費の負担は大きな関心事です。
また、30代後半(特に39歳前後)の方にとっては、「40歳の壁」による保険回数の減少も切実な問題となります。
このコラムでは、30代が体外受精を受ける際の「費用のリアル」や「年齢による回数制限の注意点」、そして制度を賢く利用するためのポイントを解説します。
結論から言うと、30代は保険適用のメリットを最大限に活かせる年代です。20代に比べて治療を必要とする方の割合が増える一方で、保険適用の年齢上限(43歳未満)まではまだ猶予があるためです。
保険適用であれば、治療費は原則3割負担。かつて1回50万円前後かかっていた治療費が、自己負担額として10万円〜20万円程度(薬剤等による変動あり)に抑えられるケースが多く、経済的なハードルは大幅に下がっています。
保険適用には年齢と回数に厳しいルールがあります。特に30代後半の方は、ご自身の年齢と治療計画を照らし合わせておく必要があります。
保険適用回数は、「初めての治療開始時点の年齢」で決まります(子ども1人につき)。
ここで重要なのは、「39歳までに治療を開始すれば、40歳を超えても通算6回の権利が維持される」という点です。もし現在39歳であれば、40歳の誕生日を迎える前に1回目の治療計画を立ててスタートすることが、将来の選択肢を広げる鍵となります。
実際の自己負担額は、採卵できた数や受精方法(ふりかけ法か顕微授精か)、凍結する胚の数によって変動します。
30代は働き盛りで収入が安定している方も多いため、医療費が高額になった場合に払い戻しを受けられる「高額療養費制度」の対象になるケースがほとんどです。
年収によって自己負担の上限額(約8万円〜など)が決まっており、それを超えた分は申請すれば戻ってきます。マイナンバーカードを保険証として利用(マイナ保険証)すれば、窓口での支払いを最初から上限額までに抑えることも可能です。
基本的には費用の安い「保険診療」からスタートするのが王道ですが、30代後半、特に40歳が近づいている方の場合は、戦略的な判断が必要になることもあります。
保険診療と併用できる「先進医療」には、タイムラプス培養やSEET法、子宮内膜スクラッチなどがあります。これらは全額自己負担(数万円程度〜)となりますが、治療の質を高めるための追加オプションとして検討する価値があります。
流産を繰り返している場合や、どうしても結果が出ない場合、着床前診断(PGT-A)などの自由診療(全額自己負担)を検討することもあります。自由診療は高額ですが、時間を優先する場合や、保険診療の枠組みでは対応できない原因がある場合には、有力な選択肢となります。
「まずは保険で6回」と決めるのも良いですが、「期限を決めて、結果が出なければ自由診療も視野に入れる」といった柔軟な計画も、30代には必要かもしれません。
30代の病院選びでは、単に「保険対応」であるだけでなく、以下の点もチェックしましょう。
A:40歳になる前に治療を開始していれば、40歳を過ぎても「通算6回」の権利はそのままです。ただし、43歳になると、その時点で保険適用は終了となり、以降は全額自己負担(自由診療)となります。
A:はい、対象になります。ただし、お互いが独身であることや、同一世帯であることの証明など、法律婚よりも手続きに必要な書類が増える場合があります。
A:いいえ、治療自体は続けられますが、全額自己負担(自由診療)となります。また、2人目の治療を開始する際は、回数カウントがリセットされます。
A:不妊治療の保険適用自体に収入制限はありません。ただし、高額療養費制度の自己負担上限額は年収によって異なります。
30代の体外受精は、保険適用の恩恵を十分に受けられる一方で、年齢による期限も意識し始める時期です。「費用を抑えること」と「妊娠という結果を出すこと」、この2つのバランスを取りながら進めることが大切です。
特に39歳前後の方は、スタートのタイミングが回数制限に大きく影響します。迷っているなら、まずは保険適用の条件や費用シミュレーションについて、クリニックで相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf