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「なかなか授からない」と感じはじめたとき、多くの方はまず女性側の原因を思い浮かべます。しかし実際には、不妊の原因の約半分は男性側にも関係していると言われています。男性不妊は、自覚症状がほとんどないまま進んでいるケースも多く、「気づかないうちに時間だけが過ぎてしまう」ことも少なくありません。
この記事では、男性側に多い不妊の原因と、検査でわかること・日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすくまとめました。そのうえで、自己判断で悩み続けるのではなく、信頼できる不妊治療クリニックで早めに相談することの大切さについてお伝えします。
男性不妊とは、精子の数や運動率、通り道、ホルモンバランスなどの問題によって、自然な妊娠が難しくなっている状態を指します。原因はひとつとは限らず、いくつかの要因が重なっているケースも多くあります。
大切なのは、「男性側に原因がある=誰かが悪い」ということでは決してないという点です。体質や病気、生活習慣など、さまざまな要素が関わるため、責任を追及するのではなく「一緒に原因を探し、対策をしていく」という視点が重要です。
ここでは、男性不妊につながる代表的な原因を分かりやすく整理して紹介します。
男性不妊でもっとも多いのが、精子そのものに関するトラブルです。精巣で精子がつくられる過程に問題があると、
といった状態になり、卵子にたどり着き受精する力が弱くなってしまいます。見た目や自覚症状から判断することは難しく、精液検査で初めてわかるケースがほとんどです。
精巣から心臓へ戻る静脈にコブのようなふくらみができ、血液の流れが滞る状態を「精索静脈瘤」といいます。陰嚢内の血流が悪くなると、精巣の温度が上昇し、精子をつくる機能に悪影響が出ると考えられています。
症状がほとんどない場合もあれば、
といった違和感を覚える人もいます。一般的には手術で改善が期待できるケースも多く、早めに専門医に相談することで将来の選択肢を広げられる可能性があります。
精子をつくる指令は、脳(視床下部・下垂体)から分泌されるホルモンによってコントロールされています。このホルモンバランスが崩れると、精巣自体に問題がなくても、精子をうまくつくれなくなることがあります。
ストレスや過度なダイエット、睡眠不足、内分泌系の病気などが影響することもあり、血液検査でホルモン値を確認することで原因の手がかりが得られます。
精巣でつくられた精子は、精巣上体〜精管〜精嚢〜尿道といった「通り道」を通って射精されます。このルートのどこかが生まれつき塞がっていたり、炎症や手術の影響で傷ついたりすると、精液中に精子がほとんど含まれない(閉塞性無精子症など)状態になることがあります。
また、糖尿病や神経の障害、服用中の薬の影響などで、射精自体がうまくできない「射精障害」も男性不妊の一因となります。
近年では、生活習慣や環境要因が精子の質に影響しているのではないか、と指摘されています。たとえば、
などは、精子の数や運動率に悪影響を与える可能性があると考えられています。生活習慣の改善でどこまで変化が出るかは個人差がありますが、治療と並行して見直していくことが推奨されることが多いです。
検査をしても、はっきりとした異常が見つからない「原因不明」の男性不妊も少なくありません。この場合でも、「検査で異常なし=問題がない」ではなく、現在の検査では捉えきれない要因が隠れている可能性があります。
原因が特定できないからこそ、タイミング法・人工授精・体外受精など、ご夫婦の状況に合わせた治療戦略を、不妊治療クリニックと相談しながら決めていくことが大切です。
以下のような場合には、早めに男性側の検査を検討したほうがよいとされています。
あくまで目安であり、セルフチェックだけで「大丈夫」「問題あり」と決めてしまうのは危険です。不安な点がひとつでもあれば、早めに専門クリニックへ相談することをおすすめします。
男性不妊の検査は、イメージされるよりもシンプルなものが多く、短時間で終わる基本検査から始められることがほとんどです。
男性不妊の出発点となるもっとも基本的な検査です。精液の
などを調べ、自然妊娠の可能性や、次に検討すべき治療方法の目安を確認します。少なくとも2回以上の検査結果をもとに総合的に判断することが多いです。
採血によって、精子の形成に関わるホルモンの値を調べます。脳からの指令がきちんと出ているか、精巣がその指令に応えているか、といった情報が得られます。
泌尿器科医や生殖医療を専門とする医師が、精巣の大きさ・硬さ・位置、静脈のふくらみなどを確認します。精索静脈瘤が疑われる場合は、超音波検査(エコー)で血流の状態を詳しく調べることもあります。
症状や検査結果によっては、
などが必要になることもあります。どこまで検査を進めるかは、ご夫婦の希望や治療の方向性も含めて、医師と相談しながら決めていく形が一般的です。
男性不妊は、はっきりとした自覚症状がないまま年月が経ってしまうことがあります。しかし、時間だけが過ぎてしまうと、治療の選択肢が狭まってしまう可能性があります。
「もっと早く調べておけばよかった」と後悔する声も少なくありません。だからこそ、「もしかして?」と思ったタイミングで、早めに専門クリニックに相談することが大切です。
男性不妊の話題は、センシティブでデリケートなものです。だからこそ、
といったスタンスが、とても大切になってきます。「男性側だけが頑張る」「女性側だけが背負う」のではなく、ふたりで情報を集め、ふたりで相談に行くことで、精神的な負担は大きく変わります。
次のような場合は、男性不妊も含めたトータルな検査・治療を行っている不妊治療クリニックへ、早めに相談することをおすすめします。
不妊治療クリニックでは、男性側の検査だけでなく、ご夫婦それぞれの状況を踏まえた「今後の治療方針」を一緒に考えることができます。「いきなり大がかりな治療をする」ということではなく、まずは情報収集と相談から始めるイメージです。
男性不妊を含めた原因をきちんと調べるためには、クリニック選びも重要です。チェックしておきたいポイントをまとめました。
精液検査だけでなく、必要に応じてホルモン検査・画像検査・泌尿器科的な精密検査なども行える体制があると安心です。男性不妊外来や泌尿器科との連携が明記されているクリニックは、男性側の診療にも力を入れていると考えられます。
検査結果や治療方針について、専門用語に偏りすぎず、納得いくまで説明してくれるかも大切なポイントです。生殖医療相談士や心理カウンセラーが在籍しているクリニックでは、治療への不安や仕事との両立についても相談しやすくなります。
男性不妊の検査や治療も、基本的には複数回の通院が必要になります。仕事と両立するためには、
などを確認しておくとよいでしょう。通いやすいクリニックほど、「続けやすい治療」につながりやすいという側面もあります。
当メディアでは、男性不妊の相談をはじめとした、治療の目的別に際立った特徴を持つ3院をご紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
A:もちろん可能です。男性不妊は自覚症状が少ないため、まず精液検査だけでも受けておくことで、今後の方針を立てやすくなります。ご夫婦そろって相談に行くケースも多くあります。
A:夜間診療・土日診療・オンライン予約など、働きながら不妊治療を続けやすい工夫をしているクリニックも増えています。当サイトでは、通いやすさや診療時間も含めて特徴を整理しているので、自分の生活スタイルに合うクリニックを探す参考にしていただけます。
A:不安を感じるのは当然のことです。ただ、原因が分からないまま時間だけが過ぎてしまうよりも、現状を知ることで対策の選択肢が増えるというメリットもあります。信頼できる不妊治療クリニックでは、結果をただ伝えるのではなく、「今後どうしていくか」まで一緒に考えてくれます。
A:すべてのケースで劇的な変化が出るとは限りませんが、禁煙・節酒・適度な運動・十分な睡眠などは、健康全体にとってプラスになります。治療と並行して生活習慣を整えることで、妊娠しやすい土台づくりにつながると考えられています。
男性不妊は、見えにくく、話題にしづらいテーマだからこそ、ひとりで抱え込んでしまいがちです。しかし、
を知っておくだけでも、次の一歩を踏み出しやすくなります。
大切なのは、「誰かのせい」にするのではなく、ふたりで現状を知り、ふたりで今後を考えていくことです。そのためにも、自己判断やインターネットの情報だけに頼らず、信頼のおける不妊治療クリニックに早めに相談することをおすすめします。
不妊治療クリニックと一口にいっても、
など、治療の目的や重視したいポイントによって「合うクリニック」は変わってきます。
当サイトでは、「治療の目的別に、際立った特徴を持つ3つの不妊治療クリニック」を厳選して紹介しています。男性不妊を含めて総合的に相談したい方も、「仕事との両立を重視したい」「できるだけ負担の少ない治療から始めたい」といった方も、ご自身の希望に近いクリニックを見つける手がかりとしてご活用ください。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf