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「体外受精は高額」というイメージが強く、20代で治療を始めることに経済的な不安を感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大され、状況は大きく変わりました。
「まだ若いけれど、保険は使えるの?」「自分は対象になる?」といった疑問をお持ちの方に向けて、20代が体外受精を受ける際の保険適用の条件や注意点、費用負担の仕組みについて分かりやすく解説します。
まず結論からお伝えすると、2022年4月以降、体外受精や顕微授精といった高度生殖医療も公的医療保険の対象となりました。20代だからといって保険適用外になることはなく、むしろ年齢制限などの条件をクリアしやすいため、制度をフルに活用できる年代と言えます。
条件さえ満たしていれば、風邪で病院にかかるのと同じように、原則3割負担で高度な治療を受けることが可能です。
ただし、誰でも自動的に保険が適用されるわけではありません。以下の3つの条件を満たしている必要があります。
単に「子供が欲しいから体外受精をしたい」というだけでは保険適用にはなりません。医師による診察や検査の結果、「不妊症」であると診断され、治療計画が作成されることがスタートラインとなります。
以前は法律婚のみが対象でしたが、現在は事実婚のカップルも対象となります。ただし、事実婚の場合は「双方が独身であること」や「同一世帯であること(またはその理由)」などの確認が必要になる場合があります。
すべての産婦人科で保険適用の体外受精が受けられるわけではありません。厚生労働省の施設基準を満たし、指定を受けた医療機関(生殖補助医療管理料の届出を行っている施設)である必要があります。病院選びの際には、ホームページなどで「保険診療対応」かどうかを確認しましょう。
保険適用には、治療開始時点の女性の年齢によって回数制限が設けられています。20代の方は、最も余裕のある回数が適用されます。
この「通算6回」は、子ども1人ごとのカウントです。つまり、第1子の治療で回数を使い切っても、第2子の治療時には回数がリセットされ、再び6回まで保険適用で治療を受けることができます。
なお、回数のカウント方法は「胚移植の回数」が基準となることが一般的ですが、治療内容や自治体の助成金との兼ね合いで細かいルールがあるため、詳細は受診する医療機関で確認してください。
保険適用の場合、窓口での支払いは原則として治療費の3割となります。
例えば、以前は1回あたり50万円〜かかることも珍しくなかった体外受精ですが、保険適用であれば自己負担額はおおよそ10万円〜20万円程度に収まるケースが多くなっています(薬剤や治療内容により変動します)。
さらに、「高額療養費制度」を利用すれば、月ごとの自己負担上限額(年収により異なる)を超えた分が払い戻されるため、実質的な負担をさらに抑えることも可能です。
「基本は保険適用」とお伝えしましたが、注意が必要なケースもあります。以下の場合は全額自己負担となる可能性があります。
「タイムラプス培養」や「SEET法」など、有効性は期待されているものの保険収載されていない技術を「先進医療」と呼びます。これらを併用する場合、先進医療の費用分は全額自己負担となります(診察や基本的な手技料は保険適用が維持されます)。
保険適用外の検査や治療(PGT-Aなど)を行う場合、あるいは保険のルール(回数制限やガイドライン)から外れる治療を行う場合は「自由診療」となり、治療費の全額が自己負担となります。
混合診療(保険診療と自由診療の併用)は原則禁止されているため、一連の治療すべてが自費になる点に注意が必要です。
これから治療を始める20代の方の多くは、まずは経済的負担の少ない「保険適用」の範囲内でスタートすることが一般的です。保険診療でも標準的かつ十分な質の医療が提供されています。
まずは保険診療で進め、もし結果が出ない場合や、医師から特定の先進医療や自由診療の提案があった場合に、次のステップとして検討するという流れがスムーズでしょう。「保険だから質が低い」「自由診療だから確実」ということは決してありません。
20代で初めて体外受精を受ける際、病院選びでは以下の点を確認しておくと安心です。
A:年齢条件はクリアしていますが、「不妊症の診断」「婚姻関係(事実婚含む)」などの条件も満たす必要があります。まずはクリニックで相談しましょう。
A:可能です。ただし、同じ周期内での切り替えは難しいため、通常は周期の区切りで変更することになります。
A:いいえ、下がることはありません。保険診療で行われる治療は、医学的に有効性が認められた標準的な治療法です。
A:回数上限を超えた場合は、それ以降の治療が全額自己負担(自由診療)となります。
20代の体外受精において、保険適用は経済的なハードルを下げてくれる強力な味方です。条件や回数、対象外となるケースを正しく理解しておくことで、費用の不安を減らし、治療そのものに専念することができます。
大切なのは、ご自身の状況に合わせて最適なプランを提案してくれる医療機関を選ぶことです。まずは信頼できるクリニックで、保険適用の詳細やご自身の場合のシミュレーションについて相談してみることから始めてみましょう。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf