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胚盤胞とは?グレードと妊娠率の関係

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目次

体外受精では、採卵した卵子と精子を受精させたあと、数日間培養して胚の成長を見ていきます。その中で、移植の候補としてよく登場するのが「胚盤胞」です。クリニックで「胚盤胞まで育てます」「胚盤胞移植を行います」と説明されても、初めて聞く方にとっては、どのような状態を指すのか分かりにくいかもしれません。

胚盤胞とは、受精卵が成長し、子宮に着床しやすい段階に近づいた胚のことを指します。また、胚盤胞には見た目や発育状態をもとにした「グレード」がつけられることがありますが、グレードはあくまで評価のひとつであり、それだけで妊娠の可否が決まるわけではありません。本ページでは、胚盤胞の基本、初期胚との違い、グレードの見方、妊娠率との関係を分かりやすく解説します。

胚盤胞とは?まず押さえたい基本

胚盤胞は受精卵が成長した段階のひとつ

胚盤胞とは、受精した卵子が培養の中で細胞分裂を繰り返し、さらに成長した段階の胚を指します。体外受精や顕微授精では、受精後すぐに移植するのではなく、数日間培養して胚の発育を見ながら、移植する候補を検討していきます。その中で、受精卵がある程度成長した状態が胚盤胞です。

一般的には受精後5〜6日目ごろに到達する

胚盤胞は、一般的に受精後5〜6日目ごろに到達する段階とされています。ただし、すべての受精卵が同じスピードで成長するわけではなく、胚ごとに発育の速さには差があります。また、すべての受精卵が胚盤胞になるわけでもありません。受精したからといって必ず胚盤胞まで育つとは限らないことは、あらかじめ理解しておきたいポイントです。

なぜ胚盤胞が注目されるのか

胚盤胞が注目される理由のひとつは、子宮に着床する時期に比較的近い段階まで成長していることです。受精直後や初期胚よりも発育が進んでいるため、移植胚の候補として説明されることが多くあります。また、培養を続けることで、胚の成長の様子をある程度見極めやすくなることも、胚盤胞がよく話題に上がる理由です。

受精卵はどう成長して胚盤胞になる?

受精後は分割しながら成長していく

受精が確認されると、受精卵は少しずつ細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。まずは分割胚と呼ばれる段階へ進み、その後さらに発育が続くと、胚盤胞へと到達します。体外受精の現場では、この一連の流れを培養士が観察しながら、発育の状態を確認していきます。

つまり胚盤胞は、突然できるものではなく、受精後の成長過程の延長線上にある段階だと考えるとイメージしやすいでしょう。

初期胚と胚盤胞の違い

初期胚とは、一般的に受精後2〜3日目ごろの胚を指します。一方で胚盤胞は、それよりもさらに培養が進んだ段階です。どちらも移植の候補になる可能性がありますが、移植するタイミングや培養方針の考え方が異なることがあります。

初期胚は、比較的早い段階で移植を検討する胚です。胚盤胞は、それより数日長く培養して、より成長した状態で移植を考える胚と整理すると分かりやすいです。

すべてが胚盤胞まで育つわけではない

培養中の胚は、すべてが順調に成長するとは限りません。途中で成長が止まることもありますし、分割はしても胚盤胞まで到達しないこともあります。これは珍しいことではなく、卵子や精子の状態、受精後の発育力、培養経過など、さまざまな要因が関わります。

胚盤胞まで育たなかったからといって、すぐに「完全に異常だった」と決めつけられるわけではありません。次の治療方針を考えるときには、結果だけでなく全体の経過を見ながら判断することが大切です。

胚盤胞の中はどうなっている?

胚盤胞は大きく3つの見方で評価される

胚盤胞は、単に「大きくなった胚」というだけでなく、いくつかの要素に分けて観察されます。主に見られるのは、胚盤胞全体の膨らみ具合、赤ちゃんになる部分、胎盤になる部分です。医療現場では、こうした複数の視点を組み合わせながら胚の状態を評価しています。

そのため、胚盤胞の評価は「良い・悪い」と一言で決まるものではなく、どの部分がどのように見えているかを細かく見ていると理解しておくと、後のグレード説明も分かりやすくなります。

内細胞塊と栄養外胚葉とは

胚盤胞の評価でよく出てくる専門用語に「内細胞塊」と「栄養外胚葉」があります。内細胞塊は、将来赤ちゃんになる部分です。栄養外胚葉は、将来胎盤になる部分です。少し難しい言葉ですが、要するに「赤ちゃん側のもとになる部分」と「胎盤側のもとになる部分」と考えると理解しやすいです。

グレードでは、これらの見え方も参考にされるため、結果票にアルファベットが並んでいるときは、この2つの部分の評価が含まれていることがあります。

胚盤胞のグレードとは?

グレードは胚の見た目や発育状態の評価

胚盤胞のグレードとは、培養士が顕微鏡で観察した見た目や発育状態をもとに行う評価です。数字やアルファベットで表されることが多く、たとえば「4AA」「3BB」などの表記が使われます。

グレードは移植胚を選ぶときの参考情報のひとつですが、見た目だけで将来の結果を完全に決めるものではありません。あくまで、その時点で観察できる状態を整理したものとして受け止めることが大切です。

数字は胚盤胞の発育段階を示す

グレードの最初の数字は、胚盤胞がどの程度ふくらんでいるか、どの段階まで進んでいるかを示します。数字が進むほど、膨張や孵化に近い段階にあることを表すのが一般的です。

ただし、数字が大きいことだけで単純に優れていると断定できるわけではありません。どのタイミングで観察されたかによっても見え方は変わるため、数字だけを切り取って判断しないことが大切です。

アルファベットは2つの部分の状態を示す

数字に続く2つのアルファベットは、胚盤胞内の各部分の状態を示します。1つ目は内細胞塊、2つ目は栄養外胚葉の評価です。一般的にはA、B、Cなどで評価され、Aに近いほど見た目が整っていると説明されることが多いです。

ただし、表記方法や説明の仕方は施設ごとに細かい違いがある場合もあります。そのため、自分のクリニックではどのような基準で説明しているのかも確認しておくと安心です。

胚盤胞グレードの見方を簡単に整理すると?

たとえば「4AA」はどう見る?

たとえば「4AA」という表記の場合、最初の「4」は胚盤胞全体の膨らみ具合や発育段階の目安です。最初の「A」は内細胞塊、次の「A」は栄養外胚葉の評価を示します。このような表記は、全体として良好胚と説明されることがあります。

ただし、4AAだから必ず妊娠する、という意味ではありません。あくまで、観察時点での見た目の評価として理解することが大切です。

「3BB」「4BC」などの違いは?

「3BB」であれば、発育段階は3で、内細胞塊と栄養外胚葉はいずれもB評価です。「4BC」であれば、発育段階は4で、内細胞塊はB、栄養外胚葉はCという見方になります。数字が違えば発育段階が異なり、アルファベットが違えば各部位の見え方が異なります。

見た目には差がありますが、その差だけで結果がすべて決まるわけではありません。評価の違いは参考にしつつも、必要以上に数字や記号だけで落ち込みすぎないことが大切です。

良好胚とは何を指す?

「良好胚」という言葉は、一般的に評価が高いと考えられる胚を指して使われることがあります。ただし、どのグレードを良好胚とするかは、施設によってやや考え方が異なる場合があります。

そのため、「良好胚でした」と言われたときは安心材料のひとつになりますが、逆にそう言われなかったからといって可能性がないと決めつける必要はありません。言葉の印象だけで一喜一憂しすぎないことも大切です。

胚盤胞グレードと妊娠率は関係ある?

グレードは妊娠率の参考になることがある

一般的に、見た目や発育状態が良好と評価される胚は、移植候補を考えるうえで期待が持たれやすい傾向があります。そのため、グレードは妊娠率を考える際の参考情報のひとつにはなります。

ただし、それはあくまで「参考」であって、グレードだけで妊娠率を決められるわけではありません。見た目の評価と実際の結果は、必ずしも完全に一致しないことを前提に見る必要があります。

妊娠率は胚だけで決まるわけではない

妊娠の成立には、胚の状態だけでなく、年齢、子宮内膜の状態、移植方法、ホルモン環境など、さまざまな要素が関わります。胚盤胞のグレードが良くても、子宮側の条件やタイミングが合わなければ、思うような結果につながらないことがあります。

逆に、グレードがそれほど高くないと説明された胚でも、子宮環境や移植条件が整っていれば妊娠に至る可能性はあります。

良好胚でも妊娠しないことはある

評価が良い胚であっても、着床しないことはあります。これは決して珍しいことではなく、期待値と結果が必ず一致するわけではありません。そのため、良好胚と言われたときは前向きな材料にはなりますが、絶対的な保証と受け止めすぎないことが大切です。

グレードは「保証」ではなく「参考」という考え方を持っておくと、結果に対する受け止め方も少し整理しやすくなります。

グレードが高くなくても妊娠することはある

一方で、グレードが高くないと説明された胚でも、実際に妊娠に至る例はあります。見た目の評価だけでは分からない部分もあるため、数字や記号だけで可能性をゼロと考える必要はありません。

大切なのは、評価表だけを見るのではなく、医師や培養士の説明を総合的に受け止めることです。不安な場合は、なぜその評価なのか、今回の治療方針にどう関係するのかを確認してみましょう。

胚盤胞まで育てるメリットと注意点

胚盤胞まで培養するメリット

胚盤胞まで培養するメリットは、成長の様子をより長く観察できるため、移植する胚を選ぶ際の参考情報が増えることです。また、子宮に戻す時期とのズレが小さく、移植のタイミングを考えやすい面もあります。さらに、凍結胚移植との相性を考えやすいことも、胚盤胞培養の特徴です。

つまり胚盤胞培養は、「より育った段階で評価し、移植を考える」ための方法として位置づけられます。

胚盤胞培養で注意したいこと

一方で、胚盤胞まで培養する過程では、途中で成長が止まることがあります。その結果、移植できる胚が残らない場合もあります。すべての人にとって胚盤胞培養が万能というわけではなく、卵子の数や治療歴、培養方針によって向き不向きがあります。

胚盤胞まで育てることにはメリットもありますが、必ずしも全員に同じ利点があるとは限りません。初期胚移植との違いも含めて、医師と相談しながら考えることが大切です。

胚盤胞移植が行われるのはどんなとき?

体外受精や顕微授精で胚盤胞まで育ったとき

体外受精や顕微授精で培養した胚が胚盤胞まで育った場合、移植候補として検討されることがあります。新鮮胚移植か凍結胚移植かは別途判断されますが、胚盤胞移植は治療の一場面としてよく行われています。

そのため、「胚盤胞」という言葉は、培養の説明だけでなく、実際の移植方針を考える場面でもよく出てくる言葉です。

凍結胚移植で用いられることも多い

胚盤胞は、凍結保存したうえで別周期に移植されることも多くあります。採卵周期とは切り分けて移植を考えることで、子宮内膜の状態を整えやすくなり、治療計画も立てやすくなる場合があります。

そのため、胚盤胞の理解は、「新鮮胚移植と凍結胚移植の違い」を理解するうえでも役立ちます。

胚盤胞のグレードで不安になりやすいポイント

グレードが低めと言われて落ち込んだ

グレードが低めと言われると、不安になったり、可能性が低いのではないかと落ち込んだりする方は少なくありません。ただし、グレードはあくまでひとつの評価指標であり、それだけで妊娠の可否を断定することはできません。

評価が低めでも、即座に可能性がないとは言えません。まずは医師から、今回のグレードをどう受け止めるべきかを確認することが大切です。

胚盤胞にならなかったらどう考える?

胚盤胞まで育たなかった場合、「自分の卵子や精子に大きな問題があるのでは」と不安になることもあるでしょう。しかし、胚盤胞まで育たないこと自体は珍しいことではありません。卵子、精子、培養経過など複数の要因が関わるため、1回の結果だけで結論を急がないことが大切です。

今後どう進めるかについては、次周期以降の治療方針を医師と一緒に整理することが重要です。

数字や記号だけで気持ちが振り回される

結果票に書かれた数字やアルファベットを見ると、それだけで気持ちが大きく揺れてしまうことがあります。ただ、評価表はあくまで全体像の一部にすぎません。実際の治療では、胚の状態だけでなく、子宮環境や治療経過もあわせて考えます。

不安が強いときは、結果票だけを見て抱え込まず、説明を受け直して意味を整理することも大切です。

胚盤胞に関するよくある質問(FAQ)

Q:胚盤胞と初期胚はどちらがいいの?

A:一概には言えません。治療歴、胚の数、培養方針などによって、どちらが適しているかは異なります。胚盤胞まで育てることにメリットがある場合もあれば、初期胚で移植を検討する意味がある場合もあります。医師の方針には、その人の状況に応じた理由があります

Q:胚盤胞のグレードが良ければ必ず妊娠する?

A:必ず妊娠するわけではありません。グレードが良いことは期待材料のひとつですが、妊娠は胚以外の条件にも左右されます。子宮内膜の状態やホルモン環境なども関わるため、グレードは保証ではなく参考情報として受け止めることが大切です。

Q:グレードが低い胚は移植しても意味がない?

A:そうとは言い切れません。グレードが高くない胚でも妊娠するケースはあります。見た目の評価だけで結果が決まるわけではないため、移植する意味がないと単純に考える必要はありません。個別の状況に応じた判断が大切です。

Q:胚盤胞まで育たなかったら次も難しいですか?

A:1回の結果だけで次回も同じになるとは限りません。採卵できた卵子の数や質、精子の状態、刺激法、培養経過などによって結果は変わることがあります。今回の結果をふまえて、次回の治療方針をどう調整するかを医師と相談していくことが大切です。

Q:「AA」や「AB」はどこまで気にしたほうがいい?

A:気になるのは自然なことですが、数字や記号だけで一喜一憂しすぎないことが大切です。AAは一般的に評価が高いと説明されやすい一方で、ABやBBでも妊娠に至ることはあります。評価はひとつの材料として見つつ、全体の治療状況とあわせて考えるようにしましょう。

まとめ

胚盤胞とは、受精卵が数日間の培養を経て、着床に近い段階まで成長した胚のことです。体外受精や顕微授精の中では、移植候補としてよく説明される重要な段階といえます。

また、胚盤胞には発育段階や見た目をもとにしたグレードがつけられ、移植の参考情報として用いられます。ただし、グレードは妊娠率の目安のひとつであり、それだけで妊娠の可否が決まるわけではありません

不安になったときは、数字や記号だけに振り回されず、胚の状態、子宮環境、治療方針を含めて総合的に考えることが大切です。胚盤胞の意味やグレードの見方が分かったら、次は「新鮮胚移植と凍結胚移植の違い」や「体外受精の流れ」もあわせて確認してみてください。胚の評価だけでなく、移植の方法や治療全体の流れまで理解すると、見通しが立てやすくなります。

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※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf