性感染症と不妊のリスク

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「性感染症(STD)=性器の病気」というイメージが強いですが、実は不妊の主要な原因の一つでもあります。自覚症状が少ないまま体内に菌が留まることで、知らず知らずのうちに精子や卵子の通り道を塞いでしまうリスクがあるのです。

この記事では、性感染症がなぜ不妊を引き起こすのかというメカニズム、特に注意すべき感染症の種類、そして早期発見のためのセルフチェックや治療の重要性について解説します。

性感染症が不妊を招くメカニズム

性感染症の恐ろしさは、感染箇所が「炎症」を起こし、治癒する過程で組織が癒着(くっつくこと)してしまう点にあります。これが生殖器の重要な通り道で起こると、物理的に妊娠が難しくなります。

女性の場合:卵管の閉塞・癒着

腟から侵入した菌(クラミジアや淋菌など)が、子宮頸管を通って子宮、さらには卵管へと広がります(上行感染)。卵管で炎症が起きると、卵管が詰まったり(閉塞)、卵管の先が周囲の臓器と癒着したりして、卵子を取り込めなくなります。

卵管因子による不妊は自然妊娠を困難にするだけでなく、子宮外妊娠のリスクも高めます。卵管は非常に細くデリケートなため、一度ダメージを受けると自然修復が難しいのが特徴です。

男性の場合:精子の通り道が塞がる

男性の場合、尿道から侵入した菌が、精子の通り道である精管や精巣上体(副睾丸)に炎症を起こします。重症化すると管が癒着して詰まり、精液の中に精子が出てこられなくなる(閉塞性無精子症)ことがあります。

また、炎症による酸化ストレスなどが原因で、精子を作る機能そのものが低下し、精子の数や運動率が悪化することもあります。

気をつけるべき主な性感染症

不妊の原因となる性感染症はいくつかありますが、特に頻度が高く、注意が必要なものが以下の2つです。

1. 性器クラミジア感染症

日本で最も感染者数が多い性感染症です。最大の特徴は「男女ともに自覚症状がほとんどない(無症状)」こと。 女性の約80%、男性の約50%が無症状と言われており、気づかないままパートナー間で感染を繰り返し(ピンポン感染)、不妊原因を進行させてしまうケースが後を絶ちません。

2. 淋菌(りんきん)感染症

クラミジアに次いで多い感染症です。男性は排尿時に激しい痛みや膿が出ることが多いですが、女性は症状が軽く、おりものが少し増える程度で見過ごされがちです。しかし、感染力は非常に強く、放置すると骨盤内まで炎症が広がりやすい危険な病気です。

「もしかして?」と思ったら…セルフチェック

性感染症は無症状のことが多いですが、体からの小さなサインを見逃さないことが重要です。以下の項目に心当たりがある場合は、早めの受診をおすすめします。

性感染症セルフチェックリスト
  • おりものの量が増えた、または色やにおいが気になる
  • 排尿時に痛みや違和感がある
  • 下腹部に鈍い痛みや違和感が続く
  • 性交時に痛みを感じる
  • 不正出血がある(生理以外の出血)
  • パートナーが排尿痛などを訴えている
  • 過去に一度も性感染症の検査を受けたことがない

不妊治療の第一歩は「検査」から

「自分は大丈夫」と思っていても、過去の感染が原因で不妊になっているケースは珍しくありません。これから妊活を始める方や、なかなか授からないと悩んでいる方は、まずはご夫婦で検査を受けることが大切です。

検査と治療の流れ

検査は、女性はおりもの検査や血液検査、男性は尿検査で行うことが一般的で、痛みはほとんどありません。もし感染が見つかった場合でも、抗生物質の内服(または点滴)で治療が可能です。

重要なのは「パートナーと同時に治療すること」です。片方だけが治療しても、もう一方が保菌していれば再び感染してしまいます。未来の赤ちゃんのために、お二人で一緒に「安心」を確認することから始めましょう。

性感染症の検査から不妊治療までトータルで相談できるクリニック選び

「性病かもしれない」という不安を解消し、その後の妊活までスムーズに進めるためには、以下のような視点でのクリニック選びがおすすめです。

  • プライバシーに配慮され、周囲を気にせず検査・相談ができる
  • パートナー(男性)も一緒に受診・治療しやすい体制がある
  • 万が一、卵管閉塞などが見つかった場合でも、高度な治療(体外受精など)に対応できる

当サイトでは、「検査から治療、そして妊娠までを一貫して任せられる信頼のクリニック」を厳選して紹介しています。まずは検査だけでも気軽に相談できるクリニックを見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。

記事監修医師紹介

髙橋怜奈 医師

髙橋怜奈医師
  • 山王ウィメンズ&キッズクリニック大森 院長
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医 女性ヘルスケア専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本思春期学会 性教育認定講師

山王ウィメンズ&キッズクリニック大森院長。

産婦人科専門医として診察を行うほか、メディア出演やSNS、YouTube(産婦人科YouTuber高橋怜奈)を通して、妊娠やセックス、生理など、体にまつわる幅広い情報を積極的に発信する。元プロボクサーでもある

※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術、商品等を推奨しているものではございません。

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※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf