40代の体外受精、何回目で成功する?
確率の現実と後悔しない戦略

公開日: |最終更新日時:

「40代で体外受精を始めたけれど、結果が出ない」
「あと何回続ければいいのか、あるいは、いつ諦めるべきなのか」

40代の不妊治療は、まさに時間との戦いです。希望を持ってスタートしても、厳しい現実に直面し、先の見えない不安に押しつぶされそうになることも少なくありません。

20代や30代とは異なり、40代では「何回目で成功する」という目安が立てにくく、1年、いや数ヶ月の違いで状況が大きく変わるのが現実です。

このコラムでは、データに基づく40代の体外受精の成功率、回数を重ねる際のリスク、そして後悔しないために知っておくべき「治療の引き際」や「戦略」について解説します。

データで見る40代の現実|「何回目」の目安は存在しない?

まず、直視しなければならない現実があります。日本産科婦人科学会のデータによると、40代の体外受精(胚移植1回あたり)の妊娠率は、年齢とともに急激に低下します。

年齢別の妊娠率(胚移植1回あたり)の目安

40歳 約25〜27%
42歳 約15〜17%
43歳 約10〜12%
45歳以上 約5%未満

40歳では約4人に1人が妊娠に至りますが、43歳を超えると10回に1回程度の確率となります。さらに、これは「妊娠判定が出る確率」であり、流産せずに出産まで至る確率(生産率)は、ここからさらに半分近くまで下がるのが40代の厳しい現実です。

そのため、「〇回やれば妊娠できる」という目安を立てることは非常に難しく、「1回で奇跡的に成功する人」と「何十回やっても結果が出ない人」の差が極端に開く年代と言えます。

なぜ40代は回数を重ねても成功しにくいのか

40代の治療が難航する最大の理由は、「卵子の老化」による染色体異常の増加です。

見た目がどんなに綺麗なグレードの良い胚盤胞であっても、40代ではその多くに染色体異常が含まれている可能性があります。染色体異常のある胚は、着床しなかったり、着床しても初期で流産してしまったりすることがほとんどです。

つまり、「移植の回数」よりも、「正常な染色体を持つ胚に出会えるかどうか」が、40代の成功の鍵を握っているのです。

40代の治療戦略|ただ回数を重ねるだけでは意味がない

確率が低いからこそ、40代の体外受精では「漫然と同じ治療を繰り返す」ことだけは避けなければなりません。限られた時間と資金を有効に使うために、以下のような戦略的な視点が必要です。

① 刺激法の見直し(量より質へ)

高刺激でたくさんの卵子を育てようとしても、40代では卵巣機能が低下しており、数が採れないことも多いです。無理に刺激するよりも、低刺激や自然周期で、質の良い少数の卵子を丁寧に育てる方が結果につながるケースもあります。

② 着床前診断(PGT-A)の検討

流産を避けるための選択肢として、移植前に胚の染色体数を調べる「PGT-A」があります。正常な胚のみを移植することで、移植あたりの妊娠率を高め、流産による身体的・精神的なダメージや、時間のロスを防ぐことが期待できます。
(※先進医療や自由診療となり、実施には条件があります)

③ 男性側の改善も必須

卵子の老化が主因とはいえ、精子の質が悪ければ受精率や胚盤胞到達率は下がります。40代の治療では、少しでも確率を上げるために、男性側の生活習慣改善やサプリメント摂取、禁煙なども徹底すべきです。

「あと何回?」治療のやめ時(卒業)をどう考えるか

40代の治療において、最も難しく、かつ重要なのが「やめ時」の決断です。終わりが見えない治療を続けることは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。

後悔しないためには、夫婦であらかじめ「リミット」を決めておくことが大切です。

  • 年齢のリミット:「43歳の誕生日まで」「45歳まで」など
  • 回数のリミット:「採卵あと3回まで」「移植あと5回まで」など
  • 予算のリミット:「総額〇〇万円まで」など

「諦める」のではなく、「夫婦二人の人生にシフトする」「特別養子縁組を検討する」など、次のステージへ進むための「卒業」と捉えることで、前向きな決断ができる場合もあります。

病院選びが40代の運命を分ける理由

40代の治療は、クリニックの実力差が結果に直結しやすい領域です。

  • 40代以上の治療実績が豊富か
  • 難治性不妊に対する引き出し(PGT-A、特殊な培養技術など)が多いか
  • やめ時やステップダウンについても親身に相談に乗ってくれるか

通いやすさだけで選ぶのではなく、厳しい現実を共有し、最後まで伴走してくれる医療機関を選ぶことが、納得のいく結果(妊娠、あるいは納得しての終結)につながります。

【京都】体外受精の相談ができる
おすすめクリニック3選を見る

よくある質問(FAQ)

Q:40代でも保険適用は受けられますか?

A:治療開始時点で43歳未満であれば対象となります。ただし、40歳以上43歳未満の場合、通算回数は「1子につき3回まで」となります。

Q:40代で1回目で成功する人はどんな人ですか?

A:運の要素も強いですが、AMH(卵巣予備能)が年齢の割に保たれており、かつ偶発的に染色体正常な胚に出会えたケースが多いです。

Q:流産を繰り返しています。諦めるべきでしょうか?

A:流産の原因の多くは胚の染色体異常ですが、不育症の検査やPGT-Aを行うことで対策が見つかる場合もあります。まずは専門医に相談してください。

まとめ|厳しい現実の中で、自分らしい選択を

40代の体外受精は、決して平坦な道のりではありません。「何回目で成功する」という保証もありません。

しかし、その厳しい確率の中で赤ちゃんを授かっている方がいるのも事実です。大切なのは、可能性とリスクの両方を正しく理解し、夫婦で話し合い、納得した上で1回1回の治療に臨むことです。

どんな結果になったとしても、「私たちはやれるだけのことをやった」と思えるよう、悔いのない選択を積み重ねていってください。

京都にある不妊治療の
クリニック・病院
おすすめ3選

不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。

体外受精の
相談をするなら
足立病院 生殖医療センター
足立病院 生殖医療センター
引用元:足立病院 生殖医療センター公式HP
(https://www.adachi-hospital.com/infertility/)
おすすめの理由

2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。

妊娠しやすい身体づくりの
相談をするなら
田村秀子婦人科医院
田村秀子婦人科医院
引用元:田村秀子婦人科医院公式HP
(https://tamura-hideko.com/)
おすすめの理由

不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。

男性不妊治療の
相談をするなら
いちおか泌尿器科クリニック
いちおか泌尿器科クリニック
引用元:いちおか泌尿器科クリニック公式HP
(https://ichioka-urological-clinic.com/)
おすすめの理由

男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。

※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf