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「検査では異常がないのに、なぜか妊娠しない」――。そんな原因不明不妊の数%〜10%程度に関与していると言われるのが、「免疫性不妊(抗精子抗体)」です。本来、体を守るはずの免疫機能が、誤って精子を攻撃してしまうこの症状。
「抗体があると妊娠できないの?」と不安になるかもしれませんが、決してそうではありません。この記事では、免疫性不妊の仕組みから、自然妊娠の可能性、そして抗体の強さに応じた最適な治療のステップアップについて解説します。
免疫性不妊とは、女性(または男性)の体内に「抗精子抗体」ができ、それが受精を妨げてしまう状態です。通常、女性の体は精子を異物として攻撃しないよう「免疫寛容」という仕組みが働きますが、何らかの原因でこれが機能せず、アレルギー反応のように精子を排除しようとしてしまいます。
抗体ができる詳しい原因は不明な点も多いですが、女性の場合は精液や精子への接触により自然に産生されることがあります。また男性の場合、精管の手術(パイプカット等)や外傷により、本来血液に触れないはずの精子が免疫細胞に認識され、自分の精子に対する抗体ができてしまうケースがあります。
一般的な不妊検査では見つからないため、以下の専門的な検査で診断を行います。
排卵期に性交渉を行い、翌朝などに子宮頸管粘液を採取して顕微鏡で観察します。精子の数や運動率に問題がないはずなのに、粘液の中で精子が動いていない(死滅している)場合、抗精子抗体の存在が疑われます。
フーナーテスト不良の場合や原因不明不妊の精密検査として行われます。採血により、血液中に精子を不動化させる抗体があるかどうか、またその強さ(抗体価)を測定します。
抗精子抗体があると診断されても、必ずしも自然妊娠が不可能なわけではありません。重要なのは「抗体の強さ(抗体価)」に合わせた治療を選ぶことです。
抗体の影響が弱く、一部の精子が子宮内へ進入できる可能性がある場合は、以下の方法で妊娠を目指せるケースがあります。
抗体が強く、精子の動きを完全に止めてしまうような場合、自然妊娠や人工授精での妊娠は非常に困難です。時間を無駄にせず、ステップアップすることが推奨されます。
免疫性不妊は、早期に発見し、抗体の強さに応じた適切な治療(人工授精や顕微授精など)を選択することで、十分に妊娠・出産が可能な症状です。「原因不明」で悩んでいる期間が長い場合は、一度専門医に相談し、抗体検査を検討してみることをおすすめします。
免疫性不妊(抗精子抗体)の場合、抗体の強さによっては早期に顕微授精(ICSI)へのステップアップが必要になるケースも少なくありません。そのため、クリニック選びでは「培養技術の高さ」や「顕微授精の実績」が重要な鍵となります。
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不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
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※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf