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PGT-A(着床前検査)とは?

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目次

PGT-Aとは、体外受精で得られた胚を移植する前に、染色体数に異常がないかを調べる着床前検査のひとつです。主に、移植する胚を選ぶ参考情報を得るために行われますが、すべての不妊原因や流産原因が分かるわけではありません。

また、検査にはメリットがある一方で、胚への処置が必要になることや、費用負担、保険診療とは別枠での扱いになることがある点など、注意しておきたいポイントもあります。本ページでは、PGT-Aの基本、検査の流れ、メリット、リスク、費用の考え方を分かりやすく解説します。

PGT-Aとは?まず押さえたい基本

PGT-Aは着床前に胚を調べる検査

PGT-Aは、体外受精や顕微授精で得られた胚を対象に、移植前の段階で行う検査です。妊娠後にお腹の赤ちゃんを調べる出生前検査とは異なり、まだ子宮に戻す前の胚を対象にする点が大きな特徴です。

そのため、PGT-Aは「妊娠してから受ける検査」ではなく、「移植する胚を検討する前に行う検査」と理解すると整理しやすいでしょう。

何を調べる検査なの?

PGT-Aでは、主に胚の染色体数に関する情報を調べます。一般的には、染色体数が整っていると考えられる胚と、異数性が疑われる胚を見分けるための参考情報として扱われます。胚の見た目のグレードだけでは分からない部分を補うために用いられることがあります。

ただし、あらゆる病気や遺伝子異常をすべて調べられる検査ではありません。まずは「移植前に胚の染色体数に関する情報を確認する検査」と押さえておくと分かりやすいです。

PGT-Aという名前の意味

PGTは「着床前遺伝学的検査」を指し、Aは主に染色体数の評価に関わる区分です。略語だけを見ると難しく感じますが、役割としては「移植前の胚について、染色体数に関する参考情報を得る検査」と理解すれば十分です。

なお、同じPGTでも目的が異なる検査があるため、PGT-Aだけを見て「着床前検査は全部同じ」と考えないことも大切です。

PGT-Aはどのタイミングで行う?

採卵、受精、培養のあとに行う

PGT-Aは、採卵して受精させたあと、胚を培養した段階で検討されます。一般的には、胚盤胞まで育てた胚を対象にすることが多く、体外受精の流れの中では「採卵→受精→培養」のあとに位置づく検査です。

つまり、PGT-Aは治療の最初に受けるものではなく、胚が育ったあとに初めて実施の可否を考える検査です。

胚の一部を採取して検査する

PGT-Aでは、主に胚盤胞の一部の細胞を採取して検査します。この処置を経たあと、胚は凍結保存され、採取した細胞から検査結果を確認する流れが一般的です。

そのため、PGT-Aは単なる血液検査のようなものではなく、胚に対して生検という処置を行う検査であることも理解しておきたいポイントです。

新鮮胚移植ではなく凍結胚移植と組み合わされやすい

PGT-Aは結果が出るまで時間が必要になるため、採卵した周期の中でそのまま移植する新鮮胚移植とは組み合わせにくく、凍結胚移植と組み合わされることが多いです。採卵周期で検査と凍結を行い、結果を確認したうえで別周期に移植を考える流れになります。

そのため、PGT-Aを検討するときは、移植までのスケジュールが通常の新鮮胚移植とは変わることもあわせて理解しておく必要があります。

PGT-Aで何が分かるの?

分かるのは胚の染色体数に関する情報

PGT-Aで分かるのは、主に胚の染色体数に関する情報です。移植候補の胚を考える際に、見た目のグレードだけでは分からない情報を補う材料として用いられます。特に、異数性の有無をみる検査として説明されることが多いです。

つまりPGT-Aは、「この胚がどの順番で移植候補になりそうか」を考えるための材料を増やす検査といえます。

分からないこともある

一方で、PGT-Aですべてが分かるわけではありません。すべての遺伝子異常を網羅する検査ではありませんし、子宮内膜の状態や着床のしやすさ、ホルモン環境といった子宮側の条件までは分かりません。もちろん、妊娠や出産を保証する検査でもありません。

胚の染色体数に関する一部の情報を補う検査であって、不妊治療全体の答えを出す検査ではないという理解が大切です。

検査結果には判断が難しいケースもある

PGT-Aの結果は、いつも単純に「正常」「異常」の二択で整理できるとは限りません。判定不能になることもありますし、モザイク胚のように解釈が難しいケースもあります。結果票だけを見ても意味が分かりにくいことがあるため、医師からの説明が重要になります。

検査を受ける前に、どのような結果が返ってくる可能性があるのか、結果をどう治療方針に反映するのかまで確認しておくと安心です。

PGT-Aのメリット

移植胚を選ぶ判断材料が増える

PGT-Aの大きなメリットは、移植する胚を考えるときの判断材料が増えることです。胚盤胞のグレードは見た目や発育状態の評価ですが、PGT-Aではそれとは別に染色体数に関する情報が加わります。そのため、限られた胚をどう活かすかを考える際の参考になりやすいです。

見た目だけでは分からない情報を補いたいときに、PGT-Aが検討される理由のひとつになります。

不要な移植を減らせる可能性がある

染色体数の異常が強く疑われる胚を避ける判断材料になることで、結果として不要な移植を減らせる可能性があります。移植回数が減れば、身体的負担や通院負担、気持ちの負担が軽くなることも期待されます。

ただし、これはあくまで可能性の話であり、PGT-Aを受ければ必ず移植回数が減ると断定できるわけではありません

流産リスクの一部を考える参考になる場合がある

染色体数の異常は、流産の背景要因のひとつとして知られています。そのため、PGT-Aは流産リスクを考える参考情報のひとつとして検討されることがあります。特に、反復流産や反復不成功を経験した方が、移植胚の選択材料を増やしたいと考える場面で話題に上がりやすい検査です。

ただし、流産の原因はひとつではないため、PGT-Aだけで流産を完全に防げるわけではありません

PGT-Aのリスクと注意点

胚に処置を行う必要がある

PGT-Aでは検査のために胚の一部細胞を採取する必要があります。現在はこの処置が広く行われていますが、胚への影響が完全にゼロとは言い切れません。そのため、検査の実施には施設の技術や運用体制も重要になります。

「情報が増える」というメリットの裏側に、胚への処置があることは、あらかじめ理解しておきたい点です。

検査結果が絶対ではない

PGT-Aは精度の高い情報を得るための検査ですが、それでも結果が絶対ではありません。モザイクや判定不能など、単純に割り切れない結果が出ることもありますし、正常と判定された胚でも妊娠しないことはあります。

そのため、PGT-Aは「答えを断定する検査」ではなく、「治療判断の材料を増やす検査」として受け止めることが大切です。

費用負担が大きくなりやすい

PGT-Aは費用負担が大きくなりやすい検査です。検査そのものの費用に加えて、胚生検、凍結保存、融解、移植関連費用などを含めて考える必要があります。検査だけを見て安い・高いと判断すると、総額が見えにくくなることがあります。

また、施設や適応によって扱いが異なるため、「検査料」だけではなく、移植まで含めた全体費用を確認することが重要です。

すべての人に向く検査ではない

PGT-Aは先進的な検査ですが、すべての人に同じように向くわけではありません。胚数が少ない場合の考え方、年齢や治療歴との兼ね合い、検査で得たいものと負担のバランスなどを総合的に見て判断する必要があります。

「先進的だから受けたほうがよい」と単純に考えないことが大切です。

PGT-Aはどんな人が検討することがある?

反復流産や反復不成功の背景を整理したい場合

移植を繰り返している方や、流産を経験している方が、その背景を整理する一助としてPGT-Aを検討することがあります。移植胚の選択精度を上げたいという考えから、主治医と相談しながら検討されるケースです。

年齢要因が気になる場合

一般に、年齢とともに染色体異常胚の割合が上がると説明されることがあるため、年齢要因が気になる方にとってPGT-Aが候補に挙がることがあります。ただし、年齢だけで一律に必要と決まるものではありません。

年齢は検討材料のひとつであって、受けるべきかどうかを単独で決める要素ではありません

胚が複数あり、移植順の判断材料を増やしたい場合

凍結胚が複数ある場合、どの胚から移植するかという判断材料を増やしたいと考えてPGT-Aを検討することがあります。見た目のグレード以外の情報も参考にしたいケースでは、意味のある検査として受け止められることがあります。

PGT-Aの流れ

1. 採卵、受精、胚培養を行う

まずは通常の体外受精や顕微授精の流れで、採卵、受精、胚培養を行います。PGT-Aは胚盤胞まで育てた胚を対象とすることが多いため、ここでどの胚が候補になるかを見ていきます。

2. 胚の一部細胞を採取する

次に、胚生検として胚の一部細胞を採取します。採取した細胞は検査へ回され、胚そのものは凍結保存される流れが一般的です。検査をしたその日に移植するわけではない点は、通常の新鮮胚移植との大きな違いです。

3. 検査結果を確認する

検査結果としては、染色体数が整っていると考えられる胚、異数性が疑われる胚、モザイク、判定不能などが示されることがあります。結果の見方は単純ではない場合もあるため、医師からの説明を受けながら整理することが大切です。

4. 結果を踏まえて移植方針を決める

最後に、結果を踏まえてどの胚を移植候補にするかを検討し、別周期で凍結胚移植を行うことになります。ここでも、PGT-Aの結果だけでなく、子宮内膜の状態や全体の治療方針とあわせて考える必要があります。

PGT-Aの費用はどれくらい?

基本的に自費診療として考えるケースが多い

PGT-Aは、保険診療とは別枠で案内されることが多く、費用負担が大きくなりやすい検査です。日本では先進医療として扱われる枠組みや実施条件が関わるため、施設や適応によって自己負担の考え方が異なる場合があります。

そのため、「保険か自費か」だけでなく、実際に自分のケースでどこまで自己負担になるのかを確認することが大切です。

費用に含まれやすいもの

PGT-Aの費用としては、胚生検、検査料、胚凍結保存、融解、移植関連費用などが含まれることがあります。場合によっては管理料や追加説明料がかかることもあります。

クリニックによって、1胚ごとの料金設定か、複数胚をまとめた料金設定かが異なることもあるため、内訳の確認が欠かせません。

総額で確認したいポイント

費用を確認するときは、1胚あたりの料金かどうか、凍結更新費用があるか、判定不能時の扱いはどうなるか、移植まで含めると総額がいくらになりそうかを見ておくと安心です。検査単体ではなく、「結果が出て移植するまで」で考えると、実際の負担感がつかみやすくなります。

PGT-Aを考えるときの注意点

検査の目的をはっきりさせる

まず大切なのは、「何のためにPGT-Aを受けたいのか」を整理することです。流産への不安を少しでも減らしたいのか、移植胚の選択材料を増やしたいのか、限られた胚をどう活かすか考えたいのかによって、検査に求める意味合いは変わります。

メリットだけでなく限界も理解する

PGT-Aは有用な情報を与えてくれる可能性がありますが、妊娠や出産を保証するものではありません。子宮側の要因は別に考える必要がありますし、ほかの検査と役割も異なります。検査の限界を理解したうえで受けるかどうかを考えることが大切です。

クリニックの説明を細かく確認する

実施方針、対象者の考え方、結果説明の方法、費用内訳、移植までの流れなどは、施設によって違いがあります。特にPGT-Aは実施施設や適応条件が重要になるため、「この検査をするかどうか」だけでなく、「この施設でどう運用しているか」まで確認しておくと安心です。

PGT-Aと混同しやすい検査との違い

PGT-AとPGT-M、PGT-SRの違い

同じ着床前検査でも、PGT-A、PGT-M、PGT-SRは目的が異なります。PGT-Aは主に染色体数に関する情報を見る検査です。一方、PGT-Mは特定の単一遺伝子疾患、PGT-SRは染色体構造異常に関わる問題を対象にした検査です。似た略語でも、対象としている問題が異なります

ERA、EMMA、ALICEとの違い

PGT-Aは胚側の情報を見る検査です。これに対してERA、EMMA、ALICEなどは、子宮内膜や子宮内環境に関わる情報を見る検査です。つまり、同じ「移植のための検査」のように見えても、見ている対象が異なります。

胚盤胞グレードとの違い

胚盤胞グレードは、見た目や発育状態の評価です。一方、PGT-Aは染色体数に関する情報です。どちらも移植胚を考える材料にはなりますが、役割は同じではありません。見た目の評価と、染色体数の情報は、別々の軸として考えることが大切です。

PGT-Aに関するよくある質問(FAQ)

Q:PGT-Aを受ければ妊娠率は必ず上がる?

A:必ず上がるとは言えません。PGT-Aは移植胚を選ぶ参考情報を増やす検査ですが、すべての人に同じ効果があるわけではなく、適応や状況で意味合いが変わります。妊娠率を保証する検査ではないことを前提に考える必要があります。

Q:正常胚なら必ず出産できる?

A:いいえ、保証ではありません。正常と判定された胚でも、着床しないことや流産に至ることはあります。妊娠経過には、胚以外にも子宮環境や体調などさまざまな要因が関わります。

Q:胚の数が少なくても受ける意味はある?

A:ケースによります。胚が少ない場合は、検査のメリットとデメリットのバランスをより慎重に考える必要があります。自分の胚数、年齢、治療歴をふまえて主治医と個別に相談するべきテーマです。

Q:PGT-Aはすべての人が受けられるの?

A:実施施設や適応条件が関わるため、希望すれば誰でも同じ条件で受けられるとは限りません。施設によって案内の仕方や対象の考え方が異なるため、まずは受診中のクリニックで確認することが大切です。

Q:PGT-Aで異常がなければ、ほかの検査は不要ですか?

A:そうとは限りません。PGT-Aは胚側の染色体数に関する情報を見る検査であり、子宮内膜の状態や着床環境までは分かりません。必要に応じて、別の視点の検査や治療方針もあわせて考える必要があります。

まとめ

PGT-Aは、体外受精で得られた胚の染色体数に関する情報を移植前に調べる着床前検査のひとつです。移植胚を選ぶ参考になる可能性がある一方で、妊娠や出産を保証する検査ではなく、限界や判定の難しさもあります。

また、胚への処置、自費負担になりやすいこと、凍結移植前提になりやすいことなども踏まえて考える必要があります。メリットだけでなく、目的、費用、リスク、主治医の説明をあわせて確認することが大切です。

PGT-Aの基本が分かったら、次は「胚盤胞の見方」や「体外受精の流れ」「失敗続きの原因」もあわせて確認してみてください。胚そのものの評価だけでなく、移植方法や子宮環境も含めて全体像を理解すると、検査の位置づけが見えやすくなります。

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※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf