年齢別に見る妊娠判定陽性後の流産リスクと注意点

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不妊治療の末に妊娠判定で陽性が出たとき、多くの方が喜びと同時に「このまま無事に出産できるのか」という不安を感じています。

特に、年齢を重ねてから治療を始めた方や、過去に流産を経験したことがある方は、「判定陽性でも安心できない」という感覚を強くお持ちではないでしょうか。

このページでは、妊娠判定陽性後の流産リスクが年齢によってどのように変化するのか、医学的なデータをもとに正確にお伝えします。不安を煽るためではなく、「知ったうえで適切に向き合う」ための情報として参考にしていただければ幸いです。

妊娠判定後の「流産」とは?
まず定義を整理しておきましょう

流産についての話をする前に、不妊治療における「妊娠判定陽性」がどのような状態を指すのかを確認しておくことが大切です。

化学流産(生化学的妊娠)と
臨床的流産の違い

不妊治療のクリニックでは、胚移植後に血液中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモン値を測定することで妊娠の有無を判定します。この段階で陽性が確認されても、その後の超音波検査で赤ちゃんの袋(胎嚢)が確認できないまま終わることがあります。これを「化学流産(生化学的妊娠)」と呼びます。

一方、超音波検査で胎嚢が確認されてから妊娠22週未満に妊娠が終わることを「臨床的流産」と呼びます。一般的に「流産」と言うときは、こちらを指すことがほとんどです。

不妊治療中は、自然妊娠のように気づかないまま終わる化学流産も把握できるため、「流産率が高い」と感じやすい側面があります。

年齢別に見る妊娠判定後の流産率

妊娠後の流産率は、年齢とともに上昇することが統計的に示されています。その主な原因とされているのは、加齢によって起こる卵子の質の低下と、それに伴う染色体異常の増加です。

以下は、臨床的流産(胎嚢確認後の流産)の年齢別の目安です。

年齢 流産率の目安
20代 約10〜15%
30〜34歳 約15〜20%
35〜39歳 約25〜30%
40〜44歳 約40〜50%
45歳以上 約50〜80%

※上記はあくまで目安であり、個人の状態や治療内容によって異なります。参考:日本産科婦人科学会「ARTデータブック」、厚生労働省統計資料等をもとに作成。

35歳を境に流産率が顕著に上昇しており、40歳以上では約半数、45歳以上ではさらに高い割合で流産が起こりうることがデータから読み取れます。

これは「妊娠した女性の問題」ではなく、卵子の染色体異常が年齢とともに増えるという生物学的な現象によるものです。自分を責める必要はありません。

体外受精と自然妊娠で
流産率は違う?

体外受精によって妊娠した場合と自然妊娠とで、流産率そのものに大きな差はないと言われています。ただし、体外受精では移植胚の状態(グレードや染色体の状態)がより直接的に影響することがあります。

胚盤胞移植と流産リスク

「胚盤胞移植」は受精卵を5〜6日間培養し、胚盤胞まで育て上げてから移植する方法で、初期胚(2〜3日目)を移植するよりも着床率が高くなる傾向にあります。しかし胚盤胞まで育った胚であっても、染色体異常が含まれることがあるため、年齢が上がるほど流産のリスクは残ります。

PGT-Aで染色体を確認する選択肢

着床前遺伝子検査(PGT-A)は、移植前に胚の染色体数を調べる検査です。染色体異常のある胚を移植しないことで、流産リスクを下げる効果が期待されます。ただし、すべての方に適応されるわけではなく、保険適用外(自費)となる場合がほとんどです。

詳しくは「PGT-A(着床前検査)とは?」もあわせてご覧ください。

妊娠判定陽性後に
気をつけたいこと

妊娠判定で陽性が出てからも、引き続き注意が必要な時期が続きます。以下の点を心がけてください。

処方された薬・
ホルモン補充を続ける

体外受精・凍結胚移植後は、黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充するための薬(膣坐薬・注射など)が処方されることがあります。自己判断で中断せず、担当医の指示通りに継続することが大切です。

定期的な通院を欠かさない

判定陽性後も、胎嚢確認・心拍確認・週数確認と、段階的に超音波検査が行われます。特に指定された通院日は必ず受診するようにしましょう。

こんな症状があればすぐ受診を

下記のような症状があった場合は、自己判断せずクリニックへ連絡・受診してください。

  • 強い腹痛・下腹部の張り
  • 出血(少量でも続く場合)
  • hCG値が上昇しない・下がっている

心身の負担にも目を向けて

妊娠判定陽性後は、喜びと不安が入り混じった心理状態になりやすい時期です。過度な安静は必要ないとされていますが、極端な疲労や強いストレスは避けるよう心がけましょう。不安が強い場合は、担当医や看護師に率直に相談することをおすすめします。

流産が繰り返す場合は
「不育症」の可能性も

妊娠は成立するものの流産を繰り返す状態を「習慣性流産」または「不育症」と呼びます。一般的に流産が2回以上続いた場合、不育症の検査を検討することが勧められています。

不育症は子宮形態異常・抗リン脂質抗体症候群・夫婦の染色体異常・血液凝固異常など様々な原因が関わっていることがあり、適切な治療によって出産に至るケースも多くあります。

「何度妊娠しても続かない」という経験をされている方は、一人で抱え込まず、専門医への相談を検討してみてください。

詳しくは「習慣性流産(不育症)の主な原因と4大リスク」をご覧ください。

まとめ

妊娠判定陽性後の流産リスクは、年齢とともに高くなる傾向があります。特に35歳以上では統計的に流産の確率が上がっていき、40代においては約50%が流産に至るというデータもあるのです。

ただし、これは「妊娠しても出産できない」という意味ではありません。年齢が上がっても出産を経験されている方は多く、一人ひとりの状況や胚の状態によって結果は異なります。

大切なのは、正確な情報をもとに、担当医と丁寧にコミュニケーションをとりながら治療を進めること。「どうしてこうなったのか」よりも「これからどう向き合うか」を、医師とともに考えていきましょう。

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※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf