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不妊治療では、月経周期や卵胞の発育状況に合わせて診察日が決まることがあります。予定していた通院日に加え、医師から「明日もう一度来てください」と言われる場合もあり、仕事の予定を早い段階で確定しにくいことが特徴です。
採血や超音波検査のために数時間だけ職場を離れたい日もあれば、採卵や手術のために一日休みたい日、治療後の体調によって急きょ休みたい日もあるでしょう。
一方で、すべての会社に「不妊治療休暇」という専用の休暇制度が設けられているわけではありません。
勤務先によっては、年次有給休暇、時間単位年休、会社独自の特別休暇、フレックスタイム、時差出勤、テレワーク、短時間勤務などを組み合わせて、不妊治療との両立を図れる場合があります。
厚生労働省も、不妊治療と仕事を両立するための制度として、休暇制度だけでなく、半日・時間単位の年次有給休暇、時差出勤、フレックスタイム、短時間勤務、テレワークなどを挙げています。
このページでは、京都で働きながら不妊治療を受ける方が利用を検討できる休暇・勤務制度と、会社へ相談するときの進め方を解説します。
不妊治療のための独立した休暇を、すべての会社が必ず設けなければならないわけではありません。
勤務先によっては「不妊治療休暇」「妊活休暇」などの専用制度がありますが、そのような名称の制度がない会社もあります。
専用休暇がない場合も、次のような制度を利用できる可能性があります。
「不妊治療休暇がないから仕事を休めない」と考えず、制度名を限定せずに就業規則や社内制度を確認することが大切です。
会社独自の休暇や勤務制度については、就業規則、休暇規程、給与規程、福利厚生制度などで定められています。
同じ会社でも、雇用形態、勤続期間、所属部署、業務内容によって利用条件が異なることがあります。
社内ポータルや就業規則で確認できない場合は、人事・総務へ次のように問い合わせてみましょう。
| 制度 | 主な使い方 | 賃金の扱い | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 診察、採卵、胚移植、体調不良 | 有給 | 残日数、申請期限、当日申請 |
| 時間単位年休 | 採血、超音波検査、薬の受け取り | 有給 | 導入の有無、取得単位、上限 |
| 半日単位年休 | 午前・午後の通院 | 有給 | 会社の運用、午前・午後の区分 |
| 不妊治療休暇 | 検査・治療のための通院 | 会社による | 対象者、日数、必要書類 |
| 病気休暇 | 治療後の体調不良、手術、療養 | 会社による | 対象となる状態、取得単位 |
| 積立休暇 | 失効した有給休暇を治療に利用 | 会社による | 不妊治療が対象か、利用上限 |
| 時差出勤 | 朝の診察後に出勤 | 通常勤務扱いの場合あり | 始業・終業時刻、申請期限 |
| フレックスタイム | 診察に合わせて勤務時間を調整 | 通常勤務扱い | コアタイム、中抜け、清算期間 |
| 短時間勤務 | 治療期間中の勤務時間を短縮 | 減額される場合あり | 利用期間、給与、復帰条件 |
| テレワーク | 通院前後を自宅勤務にする | 通常勤務扱いの場合あり | 中抜け時間、対象業務 |
| 休職 | 長期間勤務が難しい場合 | 無給の場合が多い | 期間、給与、社会保険、復職条件 |
名称が同じ制度でも、利用条件や賃金の扱いは会社ごとに異なります。必ず勤務先の規程を確認してください。
採卵や手術など、ある程度まとまった時間が必要な日は、一日単位の年次有給休暇を利用する方法があります。
一日休暇を検討する場面の例は、次のとおりです。
採卵や胚移植で必要になる休養時間は、処置内容、麻酔の有無、仕事内容、本人の体調によって異なります。
立ち仕事、運転、高所作業、重量物を扱う仕事などをしている場合は、処置後いつから勤務できるか、医療機関へ具体的に確認しましょう。
時間単位年休は、勤務先で制度が導入され、労使協定が締結されている場合に利用できます。
時間単位年休を導入する場合、労使協定で対象者、利用できる日数、1日分に相当する時間数などを定めます。利用できる日数は、1年につき5日以内の範囲です。
不妊治療では、次のような短時間の通院に使いやすい制度です。
制度の有無に加えて、次の点を確認しましょう。
半日単位の年次有給休暇を利用できれば、午前中に通院して午後から勤務したり、午前中に勤務して午後から胚移植を受けたりできます。
半日単位年休は、すべての会社に一律に義務付けられた制度ではありません。勤務先の就業規則や運用を確認しましょう。
会社によっては「午前休」「午後休」の時間区分が、実際の勤務時間の半分とは一致しない場合もあります。
会社によっては、不妊治療に利用できる独自の休暇制度を設けています。
制度名には、次のようなものがあります。
厚生労働省が案内する「くるみんプラス」の認定基準でも、不妊治療のための休暇制度に加え、時間単位年休、時差出勤、フレックスタイム、短時間勤務、テレワークなどの制度が挙げられています。
制度を確認するときは、次の項目を見ましょう。
不妊治療専用の休暇がなくても、病気休暇や療養休暇を利用できる場合があります。
利用が考えられるのは、次のようなケースです。
通常の通院が病気休暇の対象になるか、医師の証明が必要かは会社によって異なります。
会社によっては、時効によって失効する年次有給休暇を積み立て、病気や治療などのために使える制度があります。
確認したい点は次のとおりです。
京都産業保健総合支援センターでも、両立支援に関わる就業規則の制度例として、病気休暇、休職、短時間勤務、時間・半日単位年休、失効年次有給休暇の積立などを紹介しています。
時差出勤では、所定労働時間を大きく変えずに、始業・終業時刻を前後へずらします。
不妊治療では、次のような使い方が考えられます。
前日や当日に勤務時間を変更できるか、遅刻・早退扱いにならないかを確認しましょう。
フレックスタイムを利用できる場合は、月の総労働時間を調整しながら、通院日に始業・終業時刻を変更できる可能性があります。
ただし、コアタイムが設定されている場合は、その時間帯に勤務する必要があります。中抜けを認めているか、清算期間内でどのように時間を調整するかも確認してください。
通院回数が多い期間や、治療後の体調が不安定な期間には、一定期間だけ勤務時間を短縮できる場合があります。
短時間勤務では、勤務時間に応じて給与や賞与が減額される可能性があります。社会保険料や人事評価への影響も含めて確認しましょう。
テレワークが可能な職種では、通院前後を自宅勤務にすることで移動負担を減らせる場合があります。
ただし、テレワーク中であっても、診察を受けている時間がそのまま勤務時間として認められるとは限りません。
診察時間について、次のいずれで処理するのかを確認しましょう。
| 検査・治療 | 仕事への影響例 | 検討できる制度 |
|---|---|---|
| 初期検査 | 検査ごとに複数回通院することがある | 有給、半日休暇、時間休 |
| 採血・超音波検査 | 朝の短時間通院 | 時間休、時差出勤 |
| タイミング法 | 月経周期に応じて通院日が決まる | 時間休、フレックス |
| 人工授精 | 実施日が直前に決まる場合がある | 半日休暇、時差出勤 |
| 卵巣刺激 | 採血・超音波検査の頻度が増える | 時間休、フレックス、時差出勤 |
| 採卵 | 処置、麻酔、院内での安静が必要な場合がある | 一日休暇、特別休暇 |
| 胚移植 | 指定された時間に受診する | 半日休暇、一日休暇 |
| 婦人科・男性不妊手術 | 入院・療養が必要 | 病気休暇、有給、休職 |
| 妊娠判定 | 採血・結果説明 | 時間休、半日休暇 |
| 男性不妊検査 | 精液検査、診察、採血など | 時間休、半日休暇 |
医療機関や治療方法によって、通院回数や必要な時間は異なります。
「採卵は必ず一日休めばよい」「胚移植後は必ず安静にしなければならない」などと一律に考えず、医療機関へ確認してください。
厚生労働省は、不妊治療を受ける労働者と企業をつなぐツールとして「不妊治療連絡カード」を公開しています。
不妊治療中であることを会社へ伝えるときや、会社独自の休暇・勤務制度を利用するときに活用することが想定されています。
カードには、医療機関から会社へ伝える情報として、次のような内容を記載できます。
不妊治療連絡カードは、治療と仕事の両立に必要な情報を共有するためのツールです。
病気休暇や休職の申請に必要な診断書とは、役割が異なる場合があります。
医療機関へ記載を依頼する前に、勤務先がどの書類を必要としているか確認しましょう。
「配慮してほしい」とだけ伝えるよりも、必要な勤務調整を具体的に示すと、会社側も対応を検討しやすくなります。
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 就業規則・休暇規程を確認した | |
| 年次有給休暇の残日数を確認した | |
| 時間単位・半日単位休暇の有無を確認した | |
| 不妊治療休暇・病気休暇を確認した | |
| 時差出勤・フレックスタイムを確認した | |
| テレワーク・中抜けの扱いを確認した | |
| 申請に必要な書類を確認した | |
| 制度が有給か無給か確認した | |
| 相談する相手を決めた | |
| 会社へ伝える情報の範囲を決めた |
会社へ相談するときに、不妊原因、検査結果、採卵数など、治療の詳細をすべて説明する必要はありません。
勤務調整に必要な情報として、次の内容を整理しましょう。
通常の年次有給休暇を申請する場合などは、治療内容を詳しく伝えずに利用できることもあります。
次のような伝え方が考えられます。
ただし、会社独自の不妊治療休暇を利用する場合は、不妊治療を受けていることを確認する書類が必要になる可能性があります。
相談先には、次のような選択肢があります。
直属の上司へすべての情報を伝えたくない場合は、人事や産業医を通じて、業務上必要な配慮だけを上司へ共有できるか相談しましょう。
「継続的な治療のため、月に数回、数時間の通院が必要です。時間単位の有給休暇や時差出勤を利用できるか相談したいです」
「治療の性質上、診察日が数日前に確定する場合があります。急な勤務調整をお願いする可能性があるため、申請方法を事前に相談させてください」
「採卵などの処置日には、一日休暇が必要になる可能性があります。日程が決まり次第、できるだけ早く共有します」
「治療内容の詳細は、限られた担当者だけで管理していただきたいです。直属の上司には、勤務調整に必要な範囲だけ共有することは可能でしょうか」
「今後数か月間、通院回数が増える見込みです。フレックスタイム、時差出勤、テレワークのいずれかを一時的に利用できないか相談したいです」
治療のたびに同じ説明を繰り返すことが負担になる場合は、一定期間の勤務調整について事前に相談しましょう。
治療、手術、合併症、心身の不調などによって長期間働くことが難しい場合は、勤務先の休職制度を確認します。
確認したい項目は次のとおりです。
単に不妊治療へ通院するため仕事を休んだ場合に、傷病手当金を当然に受給できるとは限りません。
傷病手当金には、業務外の病気やけがによる療養であること、仕事に就けない状態であることなどの支給条件があります。
不妊治療に伴う状態が支給対象になるかは、医師の判断や加入している健康保険の審査によります。勤務先の健康保険組合や協会けんぽへ確認してください。
長期休職と通常勤務の二択ではなく、一時的な働き方の変更で両立できないか相談してみましょう。
次の項目について、就業規則や給与規程を確認します。
制度利用や相談をしたことを理由に不適切な扱いを受けたと感じる場合は、社内相談窓口、労働組合、行政の労働相談窓口などへ相談しましょう。
年次有給休暇は、所定の要件を満たしていれば、正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーも付与対象になります。
ただし、会社独自の不妊治療休暇、特別休暇、短時間勤務などの対象範囲は、就業規則によって異なります。
派遣社員の場合、休暇制度や雇用管理は原則として派遣元の会社が担当します。
一方で、実際の勤務時間や業務の調整には、派遣先との連携も必要です。
治療内容を派遣先へどこまで伝えるかについても、まず派遣元へ相談しましょう。
不妊治療に伴って仕事を休む必要があるのは、女性だけではありません。
男性側でも、次のような場面で通院・休暇が必要になることがあります。
会社独自の不妊治療休暇がある場合は、男性社員も対象か、パートナーの付き添いにも使えるかを確認しましょう。
京都産業保健総合支援センターでは、治療と仕事の両立に関する相談を、企業担当者だけでなく、働いている本人からも受け付けています。
両立支援促進員が面談や電話で相談に対応し、本人の同意を前提として、会社と労働者の間の調整や、両立支援プランの作成に関する助言・支援も行っています。サービスは無料で、利用には予約が必要です。
相談できる内容の例は次のとおりです。
すでに退職した方は相談対象外と案内されているため、退職を決める前に相談することが大切です。
休暇や勤務制度をめぐって会社とのトラブルが生じた場合は、京都労働局や総合労働相談コーナーへの相談も検討します。
相談例は次のとおりです。
窓口の所在地、受付時間、相談方法は変更される場合があるため、利用時に京都労働局の公式案内を確認してください。
勤務先に産業医や労働組合がある場合は、次のような相談ができます。
不妊治療は、治療段階によって通院頻度や必要な配慮が変わります。
一度決めた勤務方法を固定せず、治療状況に応じて会社と見直しましょう。
すべての会社に、不妊治療専用の休暇を設けることが一律に義務付けられているわけではありません。
専用休暇がなくても、年次有給休暇、病気休暇、時差出勤、フレックスタイムなどを利用できる場合があります。
勤務先で時間単位年休が導入され、労使協定が締結されている場合に利用できます。
時間単位で利用できる日数は、一年につき5日以内の範囲で定められます。
通常の年次有給休暇を利用する場合などは、治療の詳細まで伝える必要がないこともあります。
ただし、会社独自の不妊治療休暇や両立支援制度を利用する場合は、不妊治療中であることを示す書類を求められる可能性があります。
利用する制度によって異なります。
通常の年次有給休暇では不要でも、病気休暇、休職、短時間勤務などでは、診断書や主治医の意見書が必要になる場合があります。
必要な休養時間は、麻酔の有無、採卵方法、本人の体調、仕事内容によって異なります。
採卵当日の勤務や翌日の仕事について、医療機関へ確認してください。
不妊治療連絡カードは、治療状況や必要な配慮を会社へ伝えるためのツールです。
提出するだけで、希望する休暇や勤務制度の利用が自動的に認められるものではありません。会社の規程と申請手続きを確認しましょう。
まずは、評価基準、休暇制度の扱い、出勤率の計算方法などを人事へ確認します。
制度利用や不妊治療の相談を理由に不適切な扱いを受けたと感じる場合は、労働組合、社内相談窓口、京都労働局などへ相談しましょう。
退職を決める前に、不妊治療休暇、病気休暇、積立休暇、時差出勤、短時間勤務、テレワーク、休職などを利用できないか確認しましょう。
京都産業保健総合支援センターでは、働いている本人からの両立支援相談にも無料で対応しています。
不妊治療中に仕事を休む方法は、一日単位の有給休暇だけではありません。
勤務先によっては、次のような制度を組み合わせて利用できます。
会社へ相談する前には、次の点を整理しましょう。
厚生労働省は、不妊治療と仕事との両立支援として、休暇制度に加え、時間単位年休、時差出勤、フレックスタイム、短時間勤務、テレワークなど、柔軟な働き方を整えることを企業へ促しています。
「休むか、仕事を辞めるか」の二択にせず、治療段階に合った休暇と勤務調整を組み合わせ、退職を決める前に社内外の相談先を利用することが大切です。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
2001年からの不妊治療による累計妊娠数は3万人以上(2025年4月調査時点)※1。チーム医療による総合力で、35歳未満の方の体外受精(融解胚移植)による妊娠率は53.4%※2(2024年度実績)と全国平均の48.6%※3よりも高い実績です。
不妊治療に取り組む患者の妊娠しやすい身体作りをサポートするため、専門薬剤師(ウィメンズ漢方)によるオンライン漢方相談を実施。医師によるタイミング療法の指導などと合わせることで、できるだけ自然に近い治療で子どもを授かることができるよう尽力しています。
男性不妊に特化した日本生殖医学会認定生殖医療専門医が在籍する泌尿器科クリニック。男性不妊治療である精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術、無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)などの日帰り手術も可能で、忙しい方でもスケジュールの調整がしやすくなっています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf