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体外受精の採卵周期を始めても、必ず予定どおり採卵できるとは限りません。
卵巣刺激をしても卵胞が十分に育たず採卵を中止する場合もあれば、超音波では卵胞が確認できていても、採卵してみると卵子を回収できない場合もあります。また、卵子は回収できても未成熟で、受精へ進められないこともあります。
「採卵できなかった」と一言で表しても、採卵前に治療を中止したのか、採卵したものの卵子が0個だったのか、未成熟卵しか得られなかったのかによって、考えられる原因や次周期の見直し方は異なります。
採卵できなかったからといって、1回の結果だけで今後も採卵できないと決まるわけではありません。今回の卵巣反応や卵胞の発育、使用した刺激法、採卵時の状況を振り返り、次の治療計画に活かすことが重要です。
この記事では、体外受精で採卵できない主なケース、卵胞があるのに卵子が取れない理由、AMHとの関係、次周期に確認したいポイントを解説します。
本記事は2026年8月時点の公的機関・専門学会・医療機関の公開情報をもとに作成しています。採卵を中止する判断、卵巣刺激法、薬剤量、採卵タイミング、再採卵までの期間などは、年齢、卵巣予備能、卵胞の発育、治療歴、医療機関の方針によって異なります。実際の治療方針は担当医へ確認してください。
体外受精で「採卵できなかった」という場合、大きく3つの状態に分けて考えることができます。
| 状態 | 主な内容 |
|---|---|
| 採卵前に中止 | 卵胞が十分育たない、排卵してしまったなどの理由で採卵を実施しない |
| 採卵したが卵子0個 | 卵胞液を吸引したものの卵子を回収できない |
| 未成熟卵のみ | 卵子は回収できたものの、受精に適した成熟段階に達していない |
それぞれ原因や次周期で確認すべきことが異なるため、まず自分がどの状態だったのかを確認することが大切です。
卵巣刺激を開始しても、卵胞が期待したように発育しない場合があります。
また、採卵前に排卵してしまった場合や、卵胞発育・ホルモン値などを踏まえて採卵によるメリットが小さいと判断された場合には、採卵を実施せず周期を中止することがあります。
超音波検査で卵胞が見えていても、その卵胞から必ず卵子を回収できるわけではありません。
採卵では卵胞液を吸引し、その中に卵子が含まれているかを胚培養士などが確認します。卵胞液を回収できても卵子を確認できない場合があります。
採取した卵子がすべて成熟しているとは限りません。
卵子の成熟度によっては、通常の体外受精や顕微授精へそのまま進められない場合があります。
「採卵数0個」と「卵子は取れたが未成熟だった」は異なるため、採卵結果を確認するときは、回収卵子数だけでなく成熟卵数も確認しましょう。
体外受精では、採卵に向けて排卵誘発剤などを使用し、卵胞を育てる場合があります。
しかし、同じ刺激法や薬剤を使用しても、卵巣の反応には個人差があります。
年齢、AMH、胞状卵胞数(AFC)、過去の採卵歴などを参考に刺激法を選択しますが、実際にどの程度卵胞が発育するかは治療を始めてみなければ分からない部分もあります。
卵胞がほとんど発育しない場合や、採卵できる可能性が低いと判断された場合は、採卵を中止して次周期の治療法を見直すことがあります。
卵胞は発育していても、予定より少ない場合があります。
少数でも採卵を実施するか、今回は採卵を見送り次周期へ進むかは、年齢、卵巣予備能、これまでの治療歴、患者本人の希望、医療機関の方針などによって異なります。
「卵胞が1個なら必ず中止」「○個以上なら必ず採卵」と一律に決められるものではありません。
採卵は、卵胞から卵子が排卵する前に行います。
採卵前には自然排卵を防ぐ薬を使用したり、卵子の最終成熟を促す薬を決められた時間に使用したりして採卵時刻を調整します。
しかし、予定より早く排卵が起こった場合などには、採卵できなくなる可能性があります。
採卵前に排卵したからといって、必ずしも医療機関側の問題とは限りません。身体の反応には個人差があるため、次周期では今回の卵胞発育やホルモン変化を踏まえて治療計画を検討します。
卵巣刺激中は、経腟超音波検査で卵胞の数や大きさを確認し、必要に応じて血液検査でホルモン値を調べます。
卵胞の発育が大きくばらついている場合や、検査結果から採卵へ進むメリットが小さいと判断された場合などには、採卵を見送ることがあります。
採卵周期では、安全性を優先して治療計画を変更する場合もあります。
強い体調不良や感染症などがある場合、卵巣刺激への反応が想定と大きく異なる場合などには、その周期の治療継続について医師が判断します。
治療を中止すると聞くと落胆するかもしれませんが、安全性を確保するために必要な判断である場合もあります。
「超音波では卵胞が何個も見えていたのに、採卵したら卵子が少なかった」「卵子が0個だった」ということがあります。
これは、超音波で見えている「卵胞」と、その中から実際に回収できる「卵子」は同じものではないためです。
超音波検査では、卵子そのものを見ているわけではなく、卵子を含む可能性のある卵胞を確認しています。
例えば超音波で5個の卵胞が確認できていても、必ず5個の卵子を採取できるわけではありません。
卵胞液を吸引しても卵子が確認できない卵胞や、採取できても未成熟な卵子である場合があります。
採卵では、卵胞に採卵針を刺し、卵胞液を吸引します。
回収された卵胞液を胚培養士などが確認しますが、すべての卵胞液から卵子を確認できるとは限りません。
一部の卵胞から卵子を回収できないこともあれば、まれに採卵した卵胞すべてから卵子を確認できないこともあります。
卵胞から卵子を回収できなかった場合に、「空胞だった」と説明されることがあります。
ただし、単に一つの卵胞から卵子が回収できなかった状態と、医学的に報告されているEmpty Follicle Syndrome(空胞症候群)を同じ意味で捉える必要はありません。
「空胞だった」と言われた場合は、何個の卵胞を採卵し、そのうち何個から卵子が得られなかったのかを確認しましょう。
卵子は採取できても、成熟段階によっては通常の受精処置へ進めないことがあります。
採卵で回収される卵子は、すべて同じ成熟状態とは限りません。
体外受精や顕微授精へ進むには、卵子が適切な成熟段階に達していることが重要です。
そのため採卵後は、単に「卵子が何個取れたか」だけでなく、「そのうち成熟卵が何個だったか」も確認します。
卵巣刺激中に複数の卵胞が育っていても、それぞれの発育速度が完全にそろうとは限りません。
大きく育った卵胞と比較的小さい卵胞が混在している場合、採卵した卵子の成熟度にも差が生じることがあります。
採卵前には、hCG製剤やGnRHアゴニスト製剤などを用いて卵子の最終成熟を促すことがあります。
これらは採卵時刻との関係を考えて投与するため、医療機関から指定された時間を守ることが重要です。
未成熟卵が多かった場合は、次周期に向けて最終成熟を促す方法や採卵タイミングを見直す場合があります。
加齢に伴って卵巣内に残っている卵胞数は減少するため、採卵できる卵子数が少なくなる場合があります。
ただし、同じ年齢でも卵巣予備能や卵巣刺激への反応には個人差があります。
年齢だけで「採卵できる・できない」を判断することはできません。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵胞の量を推測するための指標の一つです。
AMHが低い場合は、卵巣刺激をしても発育する卵胞数が少なくなる可能性があります。
一方で、AMHは卵子の質を示す検査ではなく、AMHが低いから卵子をまったく採取できないと決まるわけでもありません。
胞状卵胞数(AFC)は、超音波検査で確認できる小さな卵胞の数です。
AMHなどと合わせて、卵巣刺激に対してどの程度反応する可能性があるかを検討する材料になります。
ただし、AFCの数と実際に採卵できる卵子数が必ず一致するわけではありません。
検査上は一定の卵巣予備能があると考えられていても、実際に卵巣刺激を始めると期待したほど卵胞が発育しない場合があります。
逆に、過去の採卵よりよく反応する周期もあります。
そのため、実際の刺激に対する卵巣反応は、次の採卵方法を考えるうえで重要な情報になります。
体外受精では、アンタゴニスト法、ロング法、ショート法、PPOS法、低刺激法、自然周期など、複数の治療方法があります。
刺激法によって使用する薬や量、採卵までの流れが異なります。
ただし、「刺激を強くすれば必ず採卵数が増える」「刺激法を変えれば必ず卵子が取れる」とは限りません。
採卵では、卵子が成熟し、かつ自然排卵する前のタイミングを見極める必要があります。
卵胞の大きさやホルモン値などを確認しながら採卵日を決定しますが、身体の反応には個人差があります。
AMHが低いと言われ、「採卵しても卵子が取れないのでは」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、AMHが低いことだけを理由に、採卵できないと判断することはできません。
AMHは、卵巣に残っている卵胞の量を推測するために用いられます。
AMHが低い場合は、一度の卵巣刺激で育つ卵胞数や採卵数が少なくなる可能性があります。
日本産科婦人科学会では、AMHは卵巣予備能を推測する目的で検査される一方、卵子の質を推測することはできないと説明しています。
AMHが低いからといって、採取された卵子の質が必ず悪いという意味ではありません。
AMHが低い場合でも、卵胞が発育し採卵できる場合があります。
採卵数だけで今後の治療可能性を判断せず、採取できた卵子の成熟状態、受精結果、胚発育などを含めて評価しましょう。
採卵できなかった場合に重要なのは、すぐに特定の治療法へ変更することではなく、今回どの段階で採卵へ進めなくなったのかを振り返ることです。
次周期の治療計画を考える際は、次のような項目を確認します。
この結果をもとに、次周期でも同じ方法を続けるか、刺激法や薬剤量などを変更するかを検討します。
前回の刺激に対する卵巣反応が弱かった場合などには、別の刺激法を検討することがあります。
高刺激から低刺激へ変更する場合もあれば、別の高刺激法や自然周期を検討する場合もあります。
どの方法が適しているかは個人によって異なるため、「採卵できなかったら次は必ず○○法」という決まりはありません。
刺激法自体を変更せず、排卵誘発剤の量や使用期間を調整する場合もあります。
前周期の卵胞発育を確認できたことで、その人の卵巣がどの程度薬へ反応するのかを次の治療計画に活かせます。
卵胞は十分育っていたものの卵子を回収できなかった場合や、未成熟卵が多かった場合には、卵子の最終成熟を促す薬や投与時間、採卵時刻などを振り返る場合があります。
具体的な変更が必要かどうかは、採卵時の状況を踏まえて担当医が判断します。
卵巣刺激を強くしても卵胞数が増えにくい場合などに、低刺激法や自然周期を検討することがあります。
ただし、低刺激・自然周期の方が必ず採卵できるという意味ではありません。
1回の採卵で得られる卵子数や、複数周期治療する可能性まで含めて検討します。
1回採卵できなかったからといって、必ず刺激法を変更するわけではありません。
卵巣の反応は周期によって変化することがあるため、今回の結果が偶発的な変動と考えられる場合には、同じ方法で次周期の採卵を行うこともあります。
採卵まで進めなかった場合、「時間も治療もすべて無駄になった」と感じる方もいるでしょう。
しかし、採卵できなかった周期からも、次の治療計画に役立つ情報を得られる場合があります。
治療前にはAMHや胞状卵胞数などから卵巣反応を予測しますが、実際の反応を完全に予測することはできません。
卵巣刺激を行ったことで、どの薬にどの程度反応したか、卵胞がどの速度で育ったかなどを確認できます。
前周期の卵巣反応は、次回の刺激法や薬剤量、採卵時期を検討する材料になります。
採卵できなかった理由について医師から説明を受け、今回得られた情報を次周期にどう活用するのか確認しましょう。
1回の採卵周期で卵子が得られなかったからといって、将来の採卵や妊娠の可能性がすべて否定されるわけではありません。
一方で、年齢や卵巣予備能によって治療の見通しは異なります。楽観的に考えすぎるのではなく、自分の場合の見通しを担当医へ確認することが大切です。
「AMHやAFCからある程度予想されていた結果なのか」「想定より大きく反応が悪かったのか」を確認しましょう。
結果の評価によって、次周期の方針も変わります。
次周期に変更できる可能性がある項目として、次のようなものがあります。
変更すれば必ず結果が改善するわけではありませんが、「今回は何を変えられるのか」を確認すると治療方針を理解しやすくなります。
採卵を何回行うかは、年齢、卵巣予備能、採卵結果、胚の有無、身体的・精神的・経済的負担などによって異なります。
「何回まで」という一律の答えではなく、自分たちの場合にどのタイミングで治療方針を見直すのか相談しておきましょう。
複数回採卵しても卵子が得られない場合や、治療結果について十分な説明を受けられていないと感じる場合は、別の生殖医療専門施設へ相談する方法もあります。
セカンドオピニオンは現在の主治医を否定するためではなく、治療方針や選択肢を整理するために利用できます。
体外受精を受けるクリニックを選ぶ際は、採卵件数や妊娠率だけでなく、採卵結果をどのように振り返り、次回の治療へ活かしているかも確認しましょう。
採卵できた卵子数だけでは、治療結果を十分に評価できません。
採卵数、成熟卵数、受精数、胚発育まで説明を受けられるか確認しましょう。
採卵中止や卵子0個という結果になった場合に、「仕方がない」で終わらず、考えられる原因や今回の卵巣反応について説明してもらえることが重要です。
卵巣刺激法には複数の方法があります。
対応する刺激法が多ければ必ず優れているわけではありませんが、患者の状態や過去の採卵結果に合わせて治療方法を検討してもらえるか確認しましょう。
採卵数、成熟卵数、卵胞発育、使用薬剤、副作用などを振り返り、次回の治療計画について説明してもらえるか確認します。
A.超音波で卵胞が確認できていても、すべての卵胞から卵子を回収できるとは限りません。
超音波では卵子そのものではなく卵胞を確認しているため、卵胞数と実際の採卵数が一致しない場合があります。
A.卵胞液を吸引しても卵子を確認できなかった場合に、「空胞」と説明されることがあります。
ただし、一つの卵胞から卵子が取れなかった状態と、医学的なEmpty Follicle Syndrome(空胞症候群)を同じものとして考える必要はありません。
A.採卵を実施しても卵子を回収できない場合があります。
頻度や原因は患者の状態や治療内容によって異なるため、今回どのような経過で卵子が得られなかったのか担当医へ確認しましょう。
A.次周期に再度採卵できる場合があります。
ただし、身体の状態、卵巣予備能、今回の刺激への反応、治療計画などによって再開時期は異なります。
A.AMHが低いからといって、必ず卵子を採取できないわけではありません。
AMHは卵巣予備能を推測する指標の一つであり、実際に発育する卵胞数や採卵できる卵子数には個人差があります。
A.排卵誘発剤の量を増やせば必ず採卵数が増えるとは限りません。
卵巣予備能や刺激への反応によっては、薬剤量を増やしても発育する卵胞数が大きく変わらないことがあります。
A.採卵前に排卵が起こり、採卵できなくなる可能性はあります。
そのため、採卵周期では排卵を抑える薬や、卵子の最終成熟を促す薬などを使用して採卵タイミングを調整します。
A.卵子の成熟状態によって、通常の受精処置へ進められるかどうかが異なります。
採卵後に成熟卵が何個あったか、未成熟卵をどのように扱うかは医療機関へ確認してください。
A.必ず変更するとは限りません。
今回の卵巣反応、採卵できなかった原因、過去の治療歴などを踏まえ、同じ方法を続ける場合もあれば、刺激法や薬剤量を変更する場合もあります。
A.すぐに転院が必要とは限りませんが、採卵できない理由や今後の治療方針について十分な説明を受けられていない場合は、セカンドオピニオンを利用する方法があります。
現在までの検査結果や刺激法、採卵結果を持参し、別の医療機関で治療方針について意見を聞くことも検討できます。
体外受精で「採卵できなかった」という場合でも、その状態は一つではありません。
卵胞が十分に育たず採卵前に中止した場合、採卵したものの卵子を回収できなかった場合、卵子は取れたものの未成熟だった場合では、次周期に確認すべきことが異なります。
また、超音波で確認した卵胞数と、実際に採取できる卵子数は必ずしも一致しません。卵胞が見えていたからといって、すべての卵胞から卵子が取れるわけではありません。
AMHが低い場合も、一度に得られる卵子数が少なくなる可能性はありますが、AMHだけで採卵できるかどうかや卵子の質を判断することはできません。
採卵できなかったときは、「今回なぜ採卵できなかったのか」「卵巣は刺激にどう反応したのか」「次回は刺激法・薬剤量・採卵タイミングをどう考えるのか」を担当医へ確認しましょう。
1回の採卵結果だけで今後の可能性を決めつけず、今回得られた治療データを次周期へどう活かすかを考えることが重要です。
京都で体外受精を検討している方は、採卵数や妊娠率だけではなく、採卵結果を振り返り、患者ごとに次の治療方針を説明してもらえるかという点も含めて医療機関を比較しましょう。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf