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妊娠しない期間が続くと、「女性側に何か原因があるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、不妊は女性だけの問題ではなく、男性側の原因も少なくありません。
男性不妊に関するAUA(米国泌尿器科学会)・ASRM(米国生殖医学会)のガイドラインでは、不妊カップルのおよそ半数で、男性因子が原因の全部または一部に関係するとされています。
一方、不妊の原因を「男性50%・女性50%」と単純に分けることもできません。女性側だけに原因がある場合、男性側だけに原因がある場合、男女双方に要因がある場合、基本的な検査を行っても明確な原因が見つからない場合があるためです。
そのため、不妊検査では「夫婦のどちらが悪いのか」を調べるのではなく、男女双方の状態を並行して確認し、妊娠するうえで妨げとなっている要因がないかを調べることが大切です。
この記事では、不妊原因の男女割合についての考え方、女性側・男性側に考えられる主な原因、夫婦で受ける不妊検査の進め方について解説します。
本記事は2026年9月時点のWHO、AUA・ASRM等の公開情報をもとに作成しています。不妊原因の割合は、調査対象、地域、年齢、検査方法、原因の分類方法などによって異なります。「男性○%・女性○%」という数字だけで個人の不妊原因を判断することはできません。
不妊は女性だけに起こるものではありません。
| 確認したいこと | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 不妊は女性側が多い? | 女性だけの問題ではない |
| 男性因子はどのくらい? | 約半数の不妊カップルで全部または一部に関与するとされる |
| 女性側の主な要因 | 排卵・卵管・子宮・年齢など |
| 男性側の主な要因 | 精子数・運動率・形態、精路や精巣機能など |
| 男女両方に原因 | 同時に要因が見つかる場合がある |
| どちらにも明確な原因がない | 原因不明不妊と判断される場合がある |
| 検査の基本 | 男女双方を並行して評価する |
AUA・ASRMの男性不妊ガイドラインでは、妊娠を希望して一定期間妊娠しないカップルのおよそ半数で、男性因子が原因の全部または一部に関係するとされています。
つまり、「不妊検査はまず女性だけが受ければよい」と考えるのは適切ではありません。
「不妊原因は男女半々」と説明されることがあります。
これは、男性因子が不妊の約半数に関係するという意味では大きく外れていませんが、実際には割合が重なる部分があります。
不妊には、
があります。
そのため、男性50%・女性50%と足して100%になるような単純な構造ではありません。
WHOでは、不妊は男性または女性の生殖器系の問題によって起こり、原因を説明できない場合もあるとしています。
大切なのは、統計上どちらが多いかよりも、自分たちの場合に女性側・男性側の双方をきちんと評価することです。
排卵や月経、妊娠、出産は女性の身体で起こるため、妊娠しないと女性側の問題だと考えられやすい面があります。
月経周期や排卵の確認などを目的として、女性が最初に婦人科・不妊治療クリニックを受診することもあります。
その結果、男性側の検査が後回しになる場合があります。
WHOは、不妊の実際の原因にかかわらず、女性が社会的に不妊の責任を負わされやすいことを指摘しています。
不妊はどちらか一方の「責任」を探すものではありません。
女性側の検査には、採血、超音波検査、卵管の検査など身体的負担を伴うものもあります。
一方、男性の初期評価では精液検査が重要な基本検査です。
最初から双方を並行して調べることで、必要以上に女性側だけへ検査負担を集中させずに済みます。
女性側の不妊には、卵巣、卵管、子宮、生殖ホルモンなど複数の要因があります。
卵胞が十分に発育しない、排卵が起こらない、排卵周期が不規則になるなどの排卵障害は、女性不妊の原因の一つです。
例えば、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、視床下部の機能低下、甲状腺やプロラクチンなどのホルモン異常が排卵へ影響する場合があります。
排卵された卵子と精子が出会い、受精卵が子宮へ移動するためには卵管が機能している必要があります。
卵管が閉塞・狭窄している場合には、自然妊娠が難しくなることがあります。
子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮の形態異常などが、位置や大きさによっては着床などへ影響することがあります。
子宮内膜症は、卵巣や卵管、骨盤内の環境などへ影響し、不妊と関連することがあります。
女性の妊孕性は年齢の影響を受けます。
年齢とともに卵巣内に残っている卵子数が減り、卵子・胚の染色体異常の割合も高くなるため、妊娠・出産へ至る可能性が低下していきます。
ただし、年齢による変化を「女性側に責任がある」と捉えるものではありません。
男性不妊には、精子を作る機能、精子を運ぶ経路、射精や性機能などさまざまな要因があります。
精液中の精子濃度が低い状態を乏精子症、精液中に精子が確認できない状態を無精子症と呼びます。
無精子症でも、精子を作っていない場合と、精子は作られていても通り道が塞がっている場合など、原因によって対応は異なります。
精子が卵子まで到達するためには運動する力が必要です。
精液検査では、精子濃度だけでなく運動率も確認します。
精液検査では、精子の形態も評価項目の一つです。
ただし、一つの精液所見だけで妊娠できる・できないを判断するものではありません。
精巣で精子が作られていても、精管など精子を運ぶ経路が閉塞していると精液中へ精子が出てこない場合があります。
また、射精障害などによって性交や採精が難しい場合もあります。
精巣自体の機能低下や、生殖ホルモンの異常によって精子形成が低下する場合があります。
男性不妊の原因の中には、精索静脈瘤など、状態によって治療を検討できるものがあります。
男性因子が見つかったからといって、必ず顕微授精しか選択肢がないわけではありません。
不妊原因は、夫婦のどちらか一方だけに存在するとは限りません。
例えば、女性に排卵障害があり、男性にも精子運動率の低下があるといったケースがあります。
女性に子宮内膜症や排卵障害などが見つかったからといって、男性側には問題がないとは判断できません。
反対に、男性の精液検査に異常が見つかった場合でも、女性側の排卵・卵管などの評価は必要です。
タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精のどの方法を選ぶかは、一つの検査結果だけでなく夫婦双方の状態から判断します。
女性側の排卵・卵管などを調べ、男性側の精液検査を行っても、妊娠しない理由を明確に特定できない場合があります。
このような状態を原因不明不妊と呼びます。
基本的な不妊検査ですべての妊娠過程を直接確認できるわけではありません。
自然妊娠では、卵管内で精子と卵子が出会い、受精し、胚が発育して子宮へ移動します。
これらをすべて通常の検査で確認することはできないため、「検査で異常がない=妊娠しない原因が何もない」という意味ではありません。
原因不明不妊では、女性の年齢、不妊期間、これまでの妊娠歴などを踏まえて、タイミング法、人工授精、体外受精などを検討します。
AUA・ASRMの男性不妊ガイドラインでは、不妊の初期評価において男性・女性双方を同時に評価することが推奨されています。
「まず女性をすべて検査して、異常がなければ男性を調べる」という順番にする必要はありません。
女性側の検査だけを数か月続けた後に男性側の精液検査を行い、そこで初めて男性因子が分かると、治療方針を決めるまでに時間がかかる可能性があります。
男性側の初期評価では、生殖歴などの問診と精液検査が基本となります。
女性の検査と並行して早い段階で精液検査を受けることで、夫婦全体の治療方針を考えやすくなります。
初診では、月経周期、妊娠歴、婦人科疾患、手術歴、これまでの不妊治療歴などについて確認します。
経腟超音波検査などで、子宮や卵巣、卵胞の発育状態などを確認します。
月経周期や必要に応じた血液検査から、排卵や生殖に関わるホルモンの状態を確認します。
必要に応じて、子宮卵管造影検査などで卵管が通っているか確認します。
AMHなどを用いて卵巣予備能や卵巣刺激への反応を予測する場合があります。
ただし、AMHは卵子の質や自然妊娠率そのものを示す検査ではありません。
AUA・ASRMでは、男性の初期不妊評価として、生殖に関する問診と1回以上の精液検査を行うことを推奨しています。
精液検査では、主に次の項目を確認します。
精液中にどの程度の精子が存在するか確認します。
精子のうち、どの程度が動いているか確認します。
精子の形態についても一定の基準に基づき評価します。
精液検査で異常がある場合や男性不妊が疑われる場合は、泌尿器科や男性不妊を専門とする医師による診察を受けます。
必要に応じて身体診察、ホルモン検査、超音波検査、遺伝学的検査などを行います。
精子濃度や運動率などは、同じ人でも採精した時期や体調などによって変動することがあります。
AUA・ASRMのガイドラインでも、男性の初期評価には1回以上の精液検査を含め、特に最初の検査で異常がある場合には複数回の評価が重要とされています。
精液検査の基準値は、妊娠できる人とできない人を完全に分ける境界線ではありません。
一つの項目が基準を下回ったからといって、「自然妊娠は不可能」と判断することはできません。
女性側に不妊原因が見つかっても、男性の検査が不要になるわけではありません。
女性に排卵障害や卵管因子があっても、同時に男性側の精液所見にも問題がある場合があります。
例えば、女性側の状態だけならタイミング法・人工授精を検討できる場合でも、男性の精液所見によっては別の治療方法を検討することがあります。
女性側に原因が見つかった後に男性検査を始めるのではなく、最初から並行して評価しておくことが大切です。
反対に、男性側に原因が見つかっても女性側の検査は必要です。
男性因子を治療できたとしても、女性に排卵障害や卵管閉塞などがある場合には自然妊娠が難しいことがあります。
妊娠には男女双方の生殖機能が関係するため、男性側だけを治療すればよいとは限りません。
男性不妊の治療は、精液検査の数値だけでなく、原因、女性側の年齢・状態、不妊期間などから決めます。
精索静脈瘤など、原因によっては手術などの治療を検討できる場合があります。
ホルモン異常などがある場合も、原因に応じた治療を検討します。
精液所見や女性側の状態などによっては、精子を調整して子宮内へ注入する人工授精を検討します。
精子数や運動率などの状態によっては、体外受精や顕微授精を検討します。
ただし、男性不妊が見つかったからといって、全員がすぐ顕微授精になるわけではありません。
排卵障害がある場合には、原因に応じて排卵誘発などを検討します。
卵管の閉塞や障害の程度によっては、手術治療や体外受精などを検討する場合があります。
子宮内膜ポリープや子宮筋腫などが妊娠へ影響すると判断された場合には、位置や大きさなどに応じて治療を検討します。
同じ不妊原因であっても、20代と40代では治療の進め方が同じとは限りません。
原因だけでなく、女性年齢や不妊期間などを踏まえて治療方法を選びます。
インターネットでは、「女性原因○%、男性原因○%、男女両方○%」などさまざまな数字が紹介されています。
割合が異なるのは、調査対象となった地域、年齢、医療機関、検査内容、不妊原因の分類方法などが異なるためです。
例えば男性因子があるカップルの中には、女性側にも別の不妊因子があるケースが含まれます。
そのため、「男性因子が約半数に関与する」という数字と「女性因子○%」という数字を単純に足して考えることはできません。
統計上の割合から、「うちは女性側が原因の可能性が高そう」と判断することはできません。
統計は、不妊が男女双方に起こり得ることを理解するための情報として利用し、実際の原因は検査で確認しましょう。
男女双方を調べることで、片方だけを検査していては見つからなかった不妊因子を確認できます。
女性側の検査が終わってから男性側を調べるより、並行して検査を行った方が夫婦全体の状態を早い段階で把握しやすくなります。
不妊を夫婦双方の問題として捉えることは、検査・治療の心理的な負担を一方だけへ集中させないことにもつながります。
女性側と男性側の情報がそろうことで、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精など、どの方法が適しているか判断しやすくなります。
男性不妊の評価をきっかけに、ホルモン異常や精巣の病気など、生殖以外にも関係する健康上の問題が見つかる場合があります。
男性因子は不妊カップルのおよそ半数で全部または一部に関係するとされています。
女性側の検査がすべて終わってから男性が検査を受ける方法では、原因把握までに時間がかかる可能性があります。
男性の不妊評価では、まず精液検査を行い、精子濃度、運動率などを確認します。
不妊検査は、夫婦のどちらに責任があるかを決めるための検査ではありません。
妊娠するためにどのような治療が必要なのかを判断するための検査です。
男性側の診察に抵抗がある場合には、男性不妊を専門的に扱う泌尿器科や生殖医療施設について相談することもできます。
WHOでは、不妊を「避妊せず定期的な性交を行っているにもかかわらず、12か月以上妊娠に至らない状態」と定義しています。
女性の年齢が35歳以上の場合には、一般に12か月を待たず、6か月程度妊娠しなければ不妊評価を始めることが検討されます。
女性が40歳を超える場合には、妊娠を希望した段階から早めに医療機関へ相談することが検討されます。
月経不順・無月経がある、子宮内膜症や卵管の病気が疑われる、男性の精巣・性機能・精液所見に問題が疑われる場合などは、1年を待たず相談しましょう。
| 段階 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 1.初診 | 月経・妊娠歴・婦人科歴などを確認 | 生殖歴・性機能・病歴などを確認 |
| 2.基本検査 | 超音波・ホルモン検査など | 精液検査 |
| 3.追加評価 | 卵管・子宮などを必要に応じて評価 | 異常があれば男性不妊専門医による評価 |
| 4.原因整理 | 女性因子の有無を確認 | 男性因子の有無を確認 |
| 5.治療方針 | 夫婦双方の結果、年齢、不妊期間などを踏まえて決定 | |
「同時評価」とは、夫婦が必ず同じ日時に診察室へ入るという意味ではありません。
女性だけの検査を長期間続けてから男性検査を開始するのではなく、双方の評価を並行して進めることが重要です。
不妊相談をした際に、女性の検査だけでなく男性の精液検査についても早い段階から案内してくれるか確認しましょう。
院内で精液検査を受けられるか、採精方法や提出方法について相談できるか確認します。
精液検査に異常があった場合に、男性不妊を専門とする泌尿器科医へ相談できるか、連携先があるかもポイントです。
不妊を女性だけの問題として扱わず、夫婦双方の検査結果から治療方針を考えてくれる医療機関を選びましょう。
「男性の精子が少ないから顕微授精」など一つの結果だけで説明するのではなく、女性の年齢、卵管、卵巣機能なども含めて治療方法を説明してくれることが重要です。
A.単純にどちらが多いとは言えません。
AUA・ASRMでは、不妊カップルのおよそ半数で男性因子が原因の全部または一部に関係するとされています。
A.男性因子が約半数の不妊に関与するという意味では近い表現ですが、「男性50%・女性50%」と完全に二分できるわけではありません。
男女双方に原因がある場合や、原因不明不妊もあります。
A.いいえ。
男女双方に不妊因子が存在する場合があるため、女性側に原因が見つかった場合でも男性の評価を行うことが大切です。
A.生殖に関する問診と精液検査が基本です。
精液量、精子濃度、運動率、形態などを確認します。
A.月経・排卵の状態、子宮・卵巣の状態などを確認し、必要に応じてホルモン検査や卵管の通過性検査などを行います。
A.精液所見は採精ごとに変動するため、1回だけで判断しない場合があります。
特に異常値がみられた場合は、必要に応じて再検査を行います。
A.基本的な不妊検査で明確な原因が見つからない場合、原因不明不妊と判断されることがあります。
A.必ずではありません。
原因や精液所見、女性側の年齢・状態などによって、治療可能な原因への治療、人工授精、体外受精、顕微授精などを検討します。
A.同じ日に受診しなければならないわけではありません。
重要なのは、どちらか一方の検査だけを長期間続けるのではなく、夫婦双方を並行して評価することです。
A.一般には、避妊せず定期的な性交を行って1年以上妊娠しない場合が不妊の目安です。
ただし、女性が35歳以上の場合や、月経不順、男性因子が疑われる場合などには、より早い時期から相談することが検討されます。
不妊は女性だけの問題ではありません。
AUA・ASRMのガイドラインでは、不妊カップルのおよそ半数で、男性因子が原因の全部または一部に関係するとされています。
ただし、これは「男性50%・女性50%」と不妊原因を二等分できるという意味ではありません。
不妊には、女性側の原因、男性側の原因、男女双方の原因、基本的な検査では原因を特定できない原因不明不妊があります。
女性側では、排卵障害、卵管因子、子宮の病気、子宮内膜症、年齢などを確認します。
男性側では、精液検査で精子濃度、運動率、形態などを確認し、異常がある場合には男性不妊を専門とする医師による評価を行います。
女性側に原因が見つかったから男性検査は不要、男性側に原因が見つかったから女性検査は不要というものでもありません。
AUA・ASRMでも、不妊の初期評価では男性・女性双方を並行して評価することが推奨されています。
夫婦で早い段階から検査を進めることで、原因の見落としを減らし、年齢や不妊期間も踏まえて適切な治療方法を選びやすくなります。
不妊検査は、「夫婦のどちらが悪いか」を決めるためのものではありません。
妊娠するために何を確認し、どのような治療を選ぶべきかを夫婦で考えるための検査です。
京都で不妊治療を検討している方は、女性側の検査だけではなく、男性の精液検査や必要に応じた男性不妊診療まで含めて、夫婦双方を評価できるクリニックを選ぶことも大切です。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf