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不妊検査や月経不順の検査で「プロラクチンの値が高い」と言われ、「妊娠しにくいの?」「下垂体に腫瘍があるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
プロラクチンは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、主に出産後の乳汁分泌に関わっています。
妊娠・授乳中ではない時期にプロラクチンが高い状態が続くと、排卵に関係するホルモンの働きが抑えられ、月経不順や無排卵につながる場合があります。その結果、妊娠の機会が少なくなることがあります。
一方で、プロラクチンは睡眠、運動、食事、精神的ストレス、乳房刺激などでも一時的に上昇するため、一度数値が高かっただけで高プロラクチン血症や不妊原因と判断することはできません。
また、高プロラクチン血症の原因には、薬剤、甲状腺機能低下症、プロラクチノーマなどがあり、原因によって必要な治療が異なります。
この記事では、高プロラクチン血症と不妊の関係、主な症状、プロラクチンが高くなる原因、検査方法、治療法、妊娠を希望する場合に知っておきたいことについて解説します。
本記事は2026年9月時点の専門学会等の公開情報をもとに作成しています。プロラクチンの基準値や検査方法、治療の必要性は、検査法、数値、月経・排卵の状態、服用薬、原因疾患などによって異なります。検査結果だけで自己判断したり、服用中の薬を自己判断で中止したりせず、医師へ相談してください。
高プロラクチン血症とは、血液中のプロラクチン濃度が基準値を超えて高い状態です。
ただし、プロラクチンの基準値は測定方法や検査機関によって異なるため、一律に「○ng/mL以上なら高プロラクチン血症」と判断するのではなく、検査結果に記載された基準範囲や採血条件も含めて評価します。
| 確認したいこと | 基本的な考え方 |
|---|---|
| プロラクチンとは? | 主に下垂体から分泌され、乳汁分泌などに関わるホルモン |
| 高プロラクチン血症とは? | 妊娠・授乳などの生理的な上昇を除き、血中プロラクチンが異常高値を示す状態 |
| 不妊との関係 | 排卵に関わるホルモンの働きを抑え、排卵障害や月経異常につながることがある |
| 主な症状 | 月経不順、無月経、乳汁漏出など。症状がない場合もある |
| 主な原因 | 薬剤、甲状腺機能低下症、プロラクチノーマ、生理的要因など |
| 主な検査 | 血液検査、服薬確認、甲状腺機能検査、必要に応じてMRIなど |
| 主な治療 | 原因疾患の治療、薬剤調整、ドパミン作動薬など |
プロラクチンは、脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
妊娠中から分泌量が増加し、出産後には乳腺へ作用して母乳の産生を促します。
プロラクチンの分泌は、脳から分泌されるドパミンによって普段は抑えられています。
妊娠中や授乳中にはプロラクチンが高くなることは正常な生理現象です。
一方、妊娠・授乳中ではないにもかかわらずプロラクチンが高い状態が続く場合には、原因を調べる必要があります。
ただし、プロラクチン値は病気だけでなく睡眠やストレスなどでも変化するため、「プロラクチンが高い=下垂体腫瘍」と考える必要はありません。
プロラクチンが高い状態が続くと、排卵を調節している視床下部・下垂体・卵巣のホルモン系へ影響することがあります。
通常、脳の視床下部からGnRHというホルモンが分泌され、その刺激によって下垂体からFSHやLHが分泌されます。
FSHやLHは卵胞の発育や排卵を調節する重要なホルモンです。
高プロラクチン血症では、こうした生殖に関わるホルモンの働きが抑制されることがあります。
大まかな流れは次のようになります。
プロラクチンが高い
↓
視床下部からのGnRHなどの働きが抑えられる
↓
FSH・LHによる卵巣への刺激に影響
↓
卵胞発育・排卵がうまく進まない
↓
月経不順・無排卵
↓
妊娠の機会が減る
日本産婦人科医会でも、高プロラクチン血症ではGnRHのパルス分泌やLHサージが阻害され、排卵が抑制されると説明しています。
排卵が不規則になると、月経周期が長くなったり、数か月月経が来なくなったりすることがあります。
排卵回数が少なくなれば、その分だけ自然妊娠できる機会も少なくなります。
高プロラクチン血症は、排卵後の黄体期のホルモン環境にも影響する可能性が指摘されています。
ただし、「プロラクチンが高い=黄体機能不全」というわけではありません。
黄体機能不全自体にも確立された単一の診断方法はなく、高温期やプロゲステロンの数値だけから判断することはできません。
高プロラクチン血症があるからといって、妊娠できないという意味ではありません。
排卵障害の原因が高プロラクチン血症であれば、原因に応じた治療によってプロラクチン値が改善し、排卵が回復することで妊娠を目指せる場合があります。
一方で、妊娠の可能性には年齢、卵管、子宮、卵巣予備能、男性側の精液所見なども関係します。
「プロラクチンを正常にすれば必ず妊娠できる」と考えず、ほかの不妊原因も合わせて確認することが重要です。
プロラクチンが排卵に関わるホルモンの働きを抑えることで、月経周期が長くなることがあります。
例えば、以前は毎月月経が来ていたのに、周期が40日、50日と長くなってきた場合などには、排卵障害の原因の一つとして高プロラクチン血症を調べることがあります。
排卵障害が強くなると、3か月以上月経が来ないなどの無月経につながることがあります。
ASRMでは、高プロラクチン血症は無月経の代表的な原因の一つとして挙げられています。
無月経にはPCOS、視床下部性無月経、早発卵巣不全、甲状腺機能異常などほかの原因もあるため、プロラクチンだけでなく複数のホルモンを確認する場合があります。
高プロラクチン血症では、妊娠や授乳をしていないにもかかわらず、乳房から母乳のような分泌物が出る「乳汁漏出」がみられる場合があります。
乳汁漏出は高プロラクチン血症を疑う代表的な症状の一つです。
一方で、乳汁漏出がないからといって高プロラクチン血症を否定することはできません。
月経不順や無排卵だけがみられる場合もあります。
明らかな乳汁漏出や無月経がなくても、妊娠しにくいことをきっかけに検査を行い、プロラクチン高値が見つかる場合があります。
特に月経周期が不規則で排卵障害が疑われる場合には、プロラクチンを測定することがあります。
プロラクチンを分泌する下垂体腫瘍が大きくなると、周囲の組織や視神経を圧迫し、頭痛や視力・視野の異常が起こることがあります。
特に、見える範囲が狭くなった、視力が急に低下した、強い頭痛があるといった場合には、下垂体病変の評価が必要になることがあります。
日本産科婦人科学会では、下垂体卒中、視力・視野障害を伴う腫瘍、薬物療法が効かない場合などには脳神経外科への紹介を推奨しています。
プロラクチン値が高くても、月経異常や乳汁漏出などをほとんど自覚しない場合があります。
そのため、検査値だけでなく、月経周期、排卵状況、症状、服用薬などを合わせて判断します。
高プロラクチン血症が見つかった場合は、「数値を下げる」だけではなく、なぜ高くなっているのかを確認することが重要です。
プロラクチンは病気がなくても一時的に上昇することがあります。
日本産科婦人科学会では、プロラクチンが上昇する生理的要因として次のようなものを挙げています。
採血時に緊張したり、直前に運動したりしたことで軽度に上昇する場合もあります。
そのため、一度だけ軽度高値だった場合には再検査を行うことがあります。
一部の薬には、ドパミンの作用を弱めるなどしてプロラクチンを上昇させるものがあります。
原因となる可能性がある薬として、抗精神病薬、制吐薬、一部の抗うつ薬、消化器系薬剤、エストロゲン製剤などがあります。
高プロラクチン血症が見つかった場合は、婦人科で処方された薬だけでなく、心療内科・精神科・内科・消化器内科などで処方されている薬についても医師へ伝えましょう。
薬が原因と思われても、妊娠を希望しているからという理由で自己判断で服用を中止してはいけません。
原疾患への治療が必要な場合があるため、中止・減量・変更が可能かを処方医と相談します。
甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンを増やそうとしてTRHというホルモンの働きが強くなり、その影響でプロラクチン分泌が増える場合があります。
高プロラクチン血症が確認された場合には、必要に応じてTSHや甲状腺ホルモンを測定します。
甲状腺機能低下症が原因の場合には、甲状腺ホルモン補充によってプロラクチンや卵巣機能が改善する場合があります。
プロラクチノーマとは、プロラクチンを産生する下垂体腺腫です。
下垂体腺腫は通常、良性の腫瘍ですが、プロラクチンを過剰に分泌することで月経異常や排卵障害、不妊、乳汁漏出などを起こすことがあります。
腫瘍が大きい場合には、視神経への圧迫によって視力・視野障害や頭痛などが生じることがあります。
ただし、プロラクチン値が高い方すべてにプロラクチノーマがあるわけではありません。
服薬状況、甲状腺機能、数値の程度、症状などを確認し、必要に応じてMRI検査を行います。
プロラクチンを直接産生する腫瘍でなくても、下垂体と視床下部の間にある下垂体茎が圧迫されることで、ドパミンによるプロラクチン分泌抑制が弱まり、プロラクチンが上昇する場合があります。
必要に応じてMRIなどで下垂体周辺を確認します。
慢性腎不全や重い肝疾患などでもプロラクチンが上昇することがあります。
高プロラクチン血症だけを見るのではなく、既往歴や全身状態を含めて原因を確認します。
検査を行っても明らかな薬剤、甲状腺疾患、下垂体病変などが確認できない場合があります。
このようなものは特発性高プロラクチン血症と呼ばれることがあります。
検査結果を受け取ると、「プロラクチンが何ng/mLなら不妊なのか」「何以上なら腫瘍なのか」が気になる方もいるでしょう。
しかし、数値だけで不妊の原因や病気を確定することはできません。
日本産科婦人科学会では、血清プロラクチンの正常値は測定方法によって異なるとしています。
そのため、自分の検査結果を見る際は、インターネット上の数値だけと比較せず、検査票に記載された基準範囲を確認しましょう。
ASRMでは、20~40ng/mL程度の軽度上昇については、高プロラクチン血症と判断する前に再測定して確認することを勧めています。
プロラクチンは睡眠、運動、食事、乳房刺激、ストレスなどでも一時的に上昇するためです。
一度の軽度高値だけで「不妊の原因」と決める必要はありません。
日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」では、画像診断を行うべきプロラクチン値について一定の見解はないとしたうえで、複数回連続して100ng/mL以上の場合には腫瘍性疾患の可能性を考え、MRI検査や専門科への紹介を検討するとしています。
また、150ng/mL以上ではプロラクチノーマである患者が多いとされています。
ただし、「100ng/mL以上なら腫瘍」「150ng/mL以上なら必ずプロラクチノーマ」という意味ではありません。
数値、再検査結果、服用薬、甲状腺機能、症状などを合わせて判断します。
高プロラクチン血症の確認には、血液検査でプロラクチン濃度を測定します。
プロラクチンは生理的な条件によっても変動するため、採血する時間帯や月経周期などを考慮する場合があります。
日本産科婦人科学会では、排卵前後の上昇などを避けるため、月経終了後早い時期に、起床から数時間後、食事前など一定の条件で測定することが望ましいとしています。
一度だけプロラクチン値が高かった場合、特に軽度の上昇では再検査することがあります。
再検査でも高値が続くのかを確認することで、一時的な変動なのか持続的な高プロラクチン血症なのかを判断する材料にします。
高プロラクチン血症の原因を調べる際には、現在服用している薬について確認します。
受診時には、お薬手帳などを利用して、ほかの医療機関から処方されている薬も伝えましょう。
自己判断で中止せず、原因となる可能性がある場合には処方医と変更・減量などを相談します。
高プロラクチン血症には甲状腺機能低下症が関係する場合があるため、必要に応じてTSHや甲状腺ホルモンを測定します。
月経不順や不妊では甲状腺機能異常自体が関係している場合もあるため、原因を分けて評価することが重要です。
血液中には、通常のプロラクチンとは異なり、プロラクチンと免疫グロブリンが結合した「マクロプロラクチン」が存在する場合があります。
マクロプロラクチンは検査ではプロラクチンとして測定される一方、生物学的な作用が弱いため、数値が高くても月経異常や乳汁漏出などがみられない場合があります。
ASRMでは、軽度の高値が持続し、症状がほとんどない場合などにはマクロプロラクチンについて確認することを検討しています。
数値と症状が合わない場合には、医師が必要性を判断します。
プロラクチン値が持続して高い場合や、プロラクチノーマなど下垂体病変が疑われる場合には、MRI検査を行うことがあります。
MRIでは、下垂体に腫瘍があるか、大きさはどの程度か、周囲への圧迫がないかなどを確認します。
すべての軽度高プロラクチン血症の方が必ずMRIを受けるという意味ではありません。
再検査、薬剤性、甲状腺機能、症状などを踏まえて判断します。
高プロラクチン血症は排卵障害の原因になりますが、すべての不妊女性にプロラクチン検査を行う必要があるとは限りません。
ASRMでは、明確な臨床的な適応がない場合、プロラクチン測定を通常の不妊検査として一律に行うことは推奨していません。
プロラクチン測定を検討する代表的なケースとして、次のようなものがあります。
実際にどの検査が必要かは、月経歴や症状、不妊期間などから医師が判断します。
高プロラクチン血症の治療は、プロラクチン値の高さだけで決めるものではありません。
原因、症状、排卵状態、妊娠希望の有無、下垂体腫瘍の有無や大きさなどによって治療方針が異なります。
| 主な原因・状態 | 治療の考え方 |
|---|---|
| 薬剤性 | 処方医と中止・減量・変更が可能か相談する |
| 甲状腺機能低下症 | 甲状腺ホルモンによる治療を行う |
| 治療が必要な高プロラクチン血症 | ドパミン作動薬を検討する |
| プロラクチノーマ | ドパミン作動薬を中心に治療し、腫瘍の状態も確認する |
| 視力・視野障害、薬物療法不応など | 脳神経外科などと連携し、手術を含めて検討する |
服用している薬が高プロラクチン血症の原因と考えられる場合には、薬剤を処方している医師と相談します。
原疾患の治療を継続する必要がある場合もあるため、単純に服用を中止できるとは限りません。
薬の種類や治療目的を考慮しながら、中止、減量、別の薬への変更が可能か検討します。
甲状腺機能低下症が高プロラクチン血症の原因となっている場合には、甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。
甲状腺機能が改善することで、プロラクチン値や卵巣機能が改善する場合があります。
薬剤性や甲状腺機能低下症など、ほかの原因への対応だけではない治療適応例では、ドパミン作動薬を使用することがあります。
日本で高プロラクチン血症の治療に用いられるドパミン作動薬には、次のようなものがあります。
ドパミン作動薬は、ドパミンと同じようにプロラクチンの分泌を抑える作用を持っています。
プロラクチノーマに対しても薬物療法が中心となり、国際的なコンセンサスではカベルゴリンが有効性や忍容性の点から優先されるドパミン作動薬とされています。
どの薬を使用するかは、原因、腫瘍の有無、副作用、妊娠希望などを踏まえて医師が判断します。
ドパミン作動薬では、吐き気、めまい、だるさ、血圧低下などがみられる場合があります。
副作用の程度には個人差があります。
自己判断で量を増減したり中止したりせず、副作用がつらい場合は処方医へ相談しましょう。
「下垂体腫瘍」と聞くとすぐに手術が必要と思うかもしれませんが、プロラクチノーマではドパミン作動薬による治療が高い効果を示すことがあります。
薬物療法によってプロラクチン値を下げるだけでなく、腫瘍が縮小する場合もあります。
そのため、腫瘍が見つかったからといって必ず手術になるわけではありません。
日本産科婦人科学会では、次のような場合には脳神経外科への紹介を推奨しています。
下垂体腫瘍が疑われる場合は、婦人科だけでなく内分泌内科や脳神経外科などと連携して治療することがあります。
高プロラクチン血症によって排卵が抑えられている場合には、プロラクチン値が改善することで月経・排卵が回復することがあります。
排卵が再開すれば、タイミングを合わせて自然妊娠を目指せるケースもあります。
プロラクチノーマでも、適切な治療によって妊孕性が回復することがあります。
ドパミン作動薬によってプロラクチンや排卵が改善しても、妊娠にはほかの条件も関係します。
例えば、次のような要因があります。
高プロラクチン血症が見つかった場合も、それだけで不妊原因の検査を終了しないことが重要です。
プロラクチンを適切に治療しても排卵が十分に回復しない場合には、排卵障害のほかの原因を確認します。
状態によっては排卵誘発を行ったり、年齢やほかの不妊原因を踏まえて人工授精、体外受精などを検討したりする場合があります。
高プロラクチン血症の治療中に妊娠した場合は、妊娠が分かった段階で処方医へ連絡しましょう。
日本産婦人科医会では、高プロラクチン血症に対するドパミン作動薬は妊娠が成立したら休薬するとしています。
国際的なプロラクチノーマのコンセンサスでも、胎児への薬剤曝露を減らすため、一般的には妊娠確認後にドパミン作動薬を中止する方針が示されています。
大きなプロラクチノーマがあり、妊娠中に腫瘍が増大するリスクがある場合などには、妊娠中も薬物療法を継続したり、必要に応じて再開したりする場合があります。
そのため、「妊娠したら必ず自分で薬をやめる」のではなく、妊娠が分かったら医師へ連絡して指示を確認することが重要です。
妊娠すると生理的にプロラクチン値が上昇します。
そのため、プロラクチノーマがある妊婦でも、妊娠中の腫瘍増大を確認するためにプロラクチン値を繰り返し測定することは一般的ではありません。
頭痛や視野異常などの症状がないかを確認し、腫瘍増大が疑われる場合には画像検査などを検討します。
妊娠中に普段と異なる強い頭痛が現れた、視野が狭くなった、見えにくくなったなどの変化がある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
プロラクチノーマの大きさなどに応じて、妊娠前から内分泌内科や脳神経外科と連携して管理する場合があります。
高プロラクチン血症は排卵や黄体期へ影響する可能性があることから、流産との関係についても研究されてきました。
過去には、プロラクチン値を正常化することによって流産が減る可能性を示した研究もあります。
一方、ASRMが2026年に更新した反復流産に関する委員会見解では、プロラクチン異常と反復流産を直接結びつける質の高い根拠や、ドパミン作動薬によって将来の流産を予防できることを示す十分な根拠はないとしています。
また、排卵障害などの症状がない方に、流産予防だけを目的として高プロラクチン血症の治療を行うことにも有効性を示す根拠はありません。
「プロラクチンが高いから流産した」と数値だけで原因を決めつけないことが重要です。
流産には、胚・胎児の染色体異常、子宮の形態異常、抗リン脂質抗体症候群などさまざまな要因があります。
流産を繰り返している場合は、高プロラクチン血症だけに原因を限定せず、不育症として必要な評価について医師へ相談しましょう。
検査でプロラクチン値が高かった場合は、数値だけを見て不安になるのではなく、次の点を整理してみましょう。
「数値を下げること」だけを目的にせず、プロラクチンが高くなった背景を確認することが重要です。
軽度の上昇であれば、一時的な変動の可能性も考えて再検査する場合があります。
採血条件や症状も含め、本当に持続的な高プロラクチン血症なのかを確認します。
服用薬、甲状腺機能、下垂体病変などを確認します。
原因が分かれば、その原因に応じて治療方法を選択できます。
妊娠を希望している場合は、プロラクチンの数値だけではなく、実際に排卵しているか確認することが重要です。
月経周期、経腟超音波検査、必要なホルモン検査などから排卵状態を評価します。
高プロラクチン血症が見つかったとしても、妊娠しにくい原因がそれだけとは限りません。
必要に応じて、卵管の通過性、子宮・卵巣の状態、卵巣予備能なども確認します。
女性側に高プロラクチン血症があっても、男性側の不妊要因が同時に存在する場合があります。
不妊検査では、女性だけに原因を求めず、男性側も精液検査などを受けることが重要です。
高プロラクチン血症の治療によって排卵回復を待つ場合も、女性の年齢は重要な要素です。
特に30代後半以降では、プロラクチンの治療だけを長期間続けるのではなく、年齢や卵巣予備能、卵管・男性因子などを踏まえて不妊治療全体の計画を立てることが重要です。
プロラクチンが高いからといって、すぐに薬を処方すればよいとは限りません。
生理的な変動、薬剤、甲状腺機能低下症、プロラクチノーマなど、原因によって治療方法は異なります。
数値だけではなく、高くなっている原因まで確認してくれる医療機関か見ておきましょう。
妊娠を希望する場合には、プロラクチン値が正常かどうかだけでなく、実際に卵胞が発育し排卵しているかが重要です。
月経周期や超音波検査などを含めて排卵状態を確認してもらえるか見ておきましょう。
高プロラクチン血症が見つかった場合でも、それだけが不妊の原因とは限りません。
卵管、子宮、卵巣、年齢、男性側の精液所見など、不妊原因全体を評価できる医療機関を選ぶことが大切です。
プロラクチノーマや甲状腺疾患などが疑われる場合は、生殖医療だけではなく内分泌内科や脳神経外科などでの評価が必要になることがあります。
必要に応じて専門科へ紹介・連携できる体制があるか確認しましょう。
高プロラクチン血症の治療では、妊娠成立後にドパミン作動薬の扱いを見直す場合があります。
妊娠前の治療だけではなく、「妊娠したらどうするか」まで説明してもらえることが重要です。
A.プロラクチンが高いからといって、妊娠できないわけではありません。
高プロラクチン血症によって排卵障害が起きている場合には、原因に応じた治療によって排卵が回復し、妊娠を目指せる場合があります。
A.プロラクチンの基準値は測定法や検査機関によって異なります。
検査票に記載された基準範囲と比較して確認してください。
ASRMでは20~40ng/mL程度の軽度高値の場合には、診断前に再検査して確認することを勧めています。
A.数値だけでは判断できません。
プロラクチンが軽度に高くても正常に排卵している場合があります。また、一時的なストレスなどで数値が上昇している可能性もあります。
実際に月経・排卵へ影響しているかを確認することが重要です。
A.100ng/mLを超えたからといって、必ず下垂体腫瘍があるという意味ではありません。
日本産科婦人科学会では、画像検査を行うべき絶対的な数値は定まっていないとしたうえで、複数回の検査で100ng/mL以上の場合には腫瘍性疾患の可能性を考え、MRI検査などを検討するとしています。
A.いいえ。
プロラクチンは、睡眠・運動・ストレスなどでも上昇します。また、薬剤、甲状腺機能低下症、腎疾患などが原因になる場合もあります。
必要な検査を行って原因を確認します。
A.精神的ストレスによって一時的にプロラクチンが上昇することがあります。
睡眠、運動、食事、乳房刺激などでも変動するため、一度だけ軽度高値だった場合には再検査することがあります。
A.乳汁漏出がなくても高プロラクチン血症の場合があります。
月経不順や無月経、排卵障害だけがみられるケースもあるため、乳汁の有無だけでは判断できません。
A.自己判断で中止しないでください。
精神科疾患など原疾患の治療に必要な薬である場合があります。
高プロラクチン血症への影響が疑われる場合は、中止・減量・変更が可能か処方医と相談します。
A.高プロラクチン血症による排卵障害が原因であれば、カベルゴリンなどによる治療によって排卵が回復し、妊娠につながる可能性があります。
ただし、妊娠には年齢、卵管、子宮、男性因子なども関係するため、服用すれば必ず妊娠できるというものではありません。
A.妊娠が分かったら処方医へ連絡してください。
一般的には妊娠成立後にドパミン作動薬を休薬しますが、大きなプロラクチノーマがある場合などは対応が異なることがあります。
自己判断で中止せず、医師の指示を確認しましょう。
A.高プロラクチン血症と反復流産との関係は研究されていますが、明確な因果関係を示す質の高い根拠は確立していません。
流産を繰り返している場合は、プロラクチンだけでなく、染色体、子宮、抗リン脂質抗体症候群などほかの要因も含めて評価します。
A.自然妊娠できる場合があります。
高プロラクチン血症によって排卵が止まっている場合でも、原因に応じた治療で排卵が回復すれば、タイミングを合わせて自然妊娠を目指せることがあります。
A.同じものではありません。
高プロラクチン血症はプロラクチンが高い状態を指し、排卵や黄体期へ影響することがあります。
黄体機能不全は排卵後の黄体期に関する異常を指して使われてきた概念であり、両者を同じ病気として扱うことはできません。
プロラクチンは脳の下垂体から分泌され、主に乳汁分泌に関わるホルモンです。
妊娠・授乳中ではない時期にプロラクチンが高い状態が続くと、排卵を調節するホルモンの働きが抑えられ、月経不順、無月経、排卵障害などにつながる場合があります。
その結果として妊娠の機会が減少することがありますが、「高プロラクチン血症=妊娠できない」というわけではありません。
プロラクチンは、睡眠、運動、食事、ストレス、乳房刺激などによっても一時的に上昇するため、一度の軽度高値だけで不妊原因と判断することはできません。
高プロラクチン血症の原因には、薬剤、甲状腺機能低下症、プロラクチノーマなどがあります。
薬剤性の場合は処方医と薬の調整を相談し、甲状腺機能低下症があればその治療を行います。治療が必要な高プロラクチン血症やプロラクチノーマでは、カベルゴリンなどのドパミン作動薬が使用される場合があります。
プロラクチノーマが見つかった場合も、必ず手術が必要になるわけではなく、薬物療法によってプロラクチン値の正常化や腫瘍縮小を目指せる場合があります。
また、妊娠を希望している場合には、プロラクチン値だけではなく、実際に排卵が起きているか確認することが重要です。
治療によって排卵が回復すれば自然妊娠を目指せる場合がありますが、妊娠の可能性には年齢、卵管、子宮、卵巣予備能、男性側の精液所見なども関係します。
「プロラクチンが高いことが不妊のすべての原因」と決めつけず、夫婦双方の不妊原因を確認しましょう。
京都で不妊治療を検討している方は、プロラクチンの数値だけを見るのではなく、原因や排卵状態を確認し、必要に応じて内分泌内科や脳神経外科とも連携しながら治療計画を提案してくれる医療機関へ相談することが大切です。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf