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胚移植を終えて妊娠判定日を待つ間は、少しの体調変化も気になりやすい時期です。
「下腹部がチクチクするのは着床したから?」「胸が張っているから妊娠している?」「逆に何も症状がないから今回はダメだった?」と、不安になる方もいるでしょう。
体外受精の判定日前には、下腹部痛、少量の出血、胸の張り、眠気、だるさなどを感じる場合があります。
ただし、こうした症状は妊娠初期だけに起こるものではありません。黄体ホルモンなどの薬、月経前の体調変化、採卵後の身体の状態などでも似た症状が出ることがあります。
また、妊娠していても判定日前には何も症状を感じない方もいます。
この記事では、体外受精の判定日前に起こることがある症状、症状がなくても妊娠している可能性がある理由、着床痛・着床出血の考え方、医療機関へ相談したい症状について解説します。
本記事は2026年8月時点の公的機関・専門学会等の情報をもとに作成しています。判定日前の症状や薬の副作用には個人差があります。妊娠の有無は症状だけでは判断できないため、医療機関から指定された妊娠判定を受けてください。
胚移植後から妊娠判定日までの間に、何らかの身体の変化を感じる方もいれば、まったく症状を感じない方もいます。
| 症状 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 下腹部痛・チクチクする感じ | 起こる場合はあるが、着床したとは断定できない |
| 少量の出血 | 起こることがあるが、必ずしも着床出血ではない |
| 胸の張り | 妊娠だけでなく黄体ホルモンなどの影響でも起こる |
| 眠気・だるさ | 妊娠、薬、睡眠不足など複数の要因が考えられる |
| 吐き気 | 症状だけでは妊娠の有無を判断できない |
| 腰痛 | 月経前などにも起こり、妊娠特有ではない |
| 症状がない | 妊娠していないとは限らない |
妊娠初期の症状には大きな個人差があります。
同じ人でも、妊娠した周期ごとに症状が異なることがあります。
そのため、「前回は胸が張ったのに今回は何も感じない」「同じ時期に移植した人は症状があるのに自分にはない」と比較しても、妊娠結果を判断することはできません。
胚移植前後には、黄体ホルモン製剤やエストロゲン製剤などを使用する場合があります。
これらの薬によって、胸の張り、眠気、だるさ、腹部の違和感など、妊娠初期と似た症状が出ることがあります。
そのため、症状があっても「妊娠しているから」とは言い切れません。
判定日前の症状の有無だけで、妊娠しているかどうかを判断することはできません。
妊娠の有無は、医療機関で血液や尿中のhCGを確認して判定します。
胚移植後に、下腹部がチクチクする、生理痛のような軽い痛みがある、違和感があると感じる方もいます。
こうした痛みは、子宮周辺の変化、ホルモンの影響、便秘などさまざまな理由で起こる可能性があります。
「チクチクしたから着床した」と症状だけで判断することはできません。
判定日前に少量の出血や、茶色・ピンク色のおりものがみられる場合があります。
妊娠初期に出血がみられることはありますが、胚移植時に使用したカテーテルなどによる刺激や、子宮頸部からの出血などが原因となる場合もあります。
そのため、出血があったからといって必ず「着床出血」と判断できるわけではありません。
胸が張る、乳房が痛い、乳首が敏感になったように感じる場合があります。
妊娠初期にもみられることがありますが、黄体ホルモン製剤などの影響でも起こる症状です。
強い眠気や身体のだるさを感じる方もいます。
ホルモンの変化だけでなく、薬、睡眠不足、治療による緊張や疲れなども関係する可能性があります。
吐き気や胃のむかつきを感じると、「つわりでは?」と思うかもしれません。
しかし、判定日前の段階では、吐き気だけで妊娠を判断することはできません。
薬の副作用や食事、体調不良などでも同様の症状が起こります。
腰の重さや痛みを感じる場合があります。
腰痛は月経前にも起こりやすい症状で、妊娠の有無を判断する材料にはなりません。
腹部の張りを感じることもあります。
黄体ホルモンの影響で腸の動きが変化したり、便秘になったりすることが関係する場合があります。
また、新鮮胚移植では、採卵前の卵巣刺激によって卵巣が腫れている場合もあります。
お腹の張りが急激に強くなる、強い吐き気や息苦しさなどを伴う場合は、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の可能性もあるため医療機関へ相談してください。
胚移植後の下腹部痛について、「着床痛」という言葉を目にすることがあります。
胚が子宮内膜へ着床する時期に、下腹部の違和感などを感じたと考える方もいます。
しかし、特定の痛みがあったことをもって「着床した」と医学的に確認することはできません。
着床の成立は、最終的にはhCGによる妊娠判定やその後の経過で確認します。
下腹部痛は、月経前の症状、ホルモン薬、消化管の状態などでも起こります。
どの場所が痛いか、どのような痛みかだけで妊娠結果を判断することはできません。
妊娠していても、着床時期に痛みを感じない方は多くいます。
「着床痛がない=失敗」と考える必要はありません。
妊娠初期に少量の出血がみられることがあります。
一方で、判定日前に出血したからといって、その原因が着床によるものだと断定することはできません。
胚移植では、腟鏡やカテーテルを使用します。
その刺激などによって、移植後に少量出血がみられる場合があります。
「茶色なら着床出血」「鮮血なら生理」といったように、出血の色だけで妊娠結果を判断することはできません。
出血量、痛み、経過などを確認します。
少量ではなく出血量が多い場合や、強い腹痛を伴う場合、体調が悪い場合は医療機関へ相談してください。
胚移植後に何も症状がないと、「今回は着床していないのでは」と不安になることがあります。
しかし、症状がないことだけで陰性とは判断できません。
妊娠初期の症状には大きな個人差があります。
判定日前にほとんど身体の変化を感じないまま、妊娠判定で陽性となる場合もあります。
胸の張り、眠気、吐き気などが強く出る方もいれば、ほとんど感じない方もいます。
症状の強さと妊娠が順調かどうかも単純には一致しません。
黄体ホルモンなどを使用していても、必ず副作用や体調変化が出るわけではありません。
「薬を使っているのに胸が張らない」といったことだけで、薬が効いていないと判断することもできません。
「昨日まで胸が張っていたのに今日はなくなった」「腹痛が突然なくなった」など、症状が日によって変化することもあります。
症状が減った・消えたことだけで妊娠が継続していないと判断することはできません。
「移植後○日目に症状が出たから着床した」といった判断はできません。
同じ日に胚移植を受けても、症状が出る時期や種類は人によって異なります。
初期胚と胚盤胞では、移植した時点の胚の発育段階が異なります。
ただし、その違いから「移植後○日目にこの症状が出れば妊娠」と予測することはできません。
インターネット上では、「BT5で胸が張った」「BT7で何も症状がなかった」といった体験談を目にすることがあります。
しかし、体験談はその人個人の経過です。
使用している薬、移植方法、身体の状態なども異なるため、自分の症状と単純比較しないようにしましょう。
胚移植前後には、着床や妊娠初期を支える目的でホルモン剤を使用する場合があります。
黄体ホルモンの影響で乳房の張りや痛みを感じることがあります。
眠気、だるさ、疲れやすさなどを感じる場合があります。
ホルモンの影響で便秘などが起こり、腹部が張ったように感じることがあります。
使用している薬によって、頭痛や気分の変化などの副作用がみられる場合があります。
症状が強い場合や日常生活に支障がある場合は、薬を自己判断で中止せず医療機関へ相談してください。
生理前のような下腹部痛があると、「もうすぐ生理が来るのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、腹痛だけでは妊娠判定はできません。
胸の張りが途中でなくなっても、それだけで陰性とは判断できません。
基礎体温は睡眠時間、測定時刻、体調などでも変化します。
特にホルモン補充周期では薬の影響もあるため、基礎体温だけで妊娠の有無を判断しないようにしましょう。
判定日前に出血が始まっても、自己判断で「生理が来た」と決めつけないでください。
医療機関から指示された妊娠判定を受けるか、出血時の対応について通院先へ確認します。
処方されている薬も自己判断で中止しないようにしてください。
症状が気になり、市販の妊娠検査薬を判定日前に使いたくなる方もいるでしょう。
しかし、判定日前の「フライング検査」は結果の解釈に注意が必要です。
妊娠が成立していても、検査時期が早いと尿中のhCGが十分に増えておらず、妊娠検査薬で陰性になる場合があります。
治療中にhCG製剤を使用している場合は、体内に残っているhCGが妊娠検査薬の結果に影響する可能性があります。
妊娠検査薬が陰性でも、黄体ホルモンなどの処方薬を自己判断で中止しないでください。
妊娠の有無は、指定された妊娠判定日に医療機関で確認しましょう。
判定日前の軽い症状だけで妊娠結果を判断する必要はありませんが、症状の強さによっては早めの相談が必要です。
次のような症状がある場合は、妊娠判定日を待たず医療機関へ相談してください。
新鮮胚移植の場合は、採卵前の卵巣刺激からそれほど日数が経っていないことがあります。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)では、腹部膨満、腹痛、急な体重増加、尿量減少、息苦しさなどがみられる場合があります。
「妊娠症状かもしれない」と様子を見続けず、症状が強い場合は通院先へ連絡してください。
強い腹痛や多量出血などがある場合、「妊娠しているならよくある症状かもしれない」と我慢する必要はありません。
妊娠判定日前であっても、症状の重さや経過を基準に医療機関へ相談しましょう。
胚移植後、妊娠判定日まで一日中横になって過ごす必要があるとはされていません。
体調に問題がなければ、通常の日常生活を基本とします。
通常の歩行や軽い家事などを、着床のためにすべて避ける必要はありません。
強度の高い運動、重量物を扱う仕事、性交渉などについては、採卵後の身体の状態なども踏まえて医療機関へ確認してください。
黄体ホルモンなどが処方されている場合は、症状の有無にかかわらず指示どおり使用します。
胚移植後の腹痛や出血などについて、どこまでが経過観察でき、どのような症状なら連絡するべきか説明してもらえるか確認しましょう。
黄体ホルモンなどによってどのような症状が起こる可能性があるのか、事前に説明を受けられると、妊娠症状との違いに過度に不安を感じにくくなります。
診療時間外も含め、不安な症状があったときにどこへ連絡すればよいか確認しておきましょう。
いつ妊娠判定を行い、陽性・陰性だった場合に次に何をするのかまで説明してもらえることが重要です。
陽性後の経過確認だけでなく、陰性だった場合にも今回の治療を振り返り、次回の移植や採卵について相談できるか確認しましょう。
A.症状がないことだけで陰性とは判断できません。
妊娠していても判定日前にほとんど症状を感じない方はいます。
A.痛みだけで着床したと判断することはできません。
月経前の変化、ホルモン薬、消化管の状態などでも似た痛みが起こる可能性があります。
A.判定日前に生理痛のような腹痛を感じることはありますが、妊娠・非妊娠のどちらでも起こる可能性があります。
痛みが強い、悪化する場合は医療機関へ相談してください。
A.妊娠初期に出血がみられることはありますが、出血だけで着床によるものとは判断できません。
胚移植時の刺激など、ほかの原因も考えられます。
A.少量の古い血液がおりものに混ざって茶色く見える場合などがあります。
出血量が増える、強い腹痛などを伴う場合は医療機関へ相談してください。
A.胸の張りは妊娠初期にみられることがありますが、黄体ホルモン製剤などの影響でも起こります。
症状だけでは妊娠を判断できません。
A.症状は日によって変化することがあります。
症状が消えたことだけで妊娠していない、または妊娠が継続していないとは判断できません。
A.妊娠初期だけでなく、ホルモン薬や睡眠不足、体調などでも起こる可能性があります。
A.吐き気だけで妊娠を判断することはできません。
薬や食事、体調不良などでも同様の症状が起こります。
A.基礎体温だけで妊娠の有無を判断することはできません。
測定条件や薬の影響などでも変動します。
A.出血だけで陰性と判断せず、処方薬を自己判断で中止しないでください。
出血量が多い、強い腹痛がある場合は通院先へ相談してください。
A.判定日前は時期が早く、妊娠していても陰性になる場合があります。
また、治療で使用したhCG製剤が結果に影響することもあるため、指定された妊娠判定を優先しましょう。
体外受精の判定日前には、下腹部痛、少量の出血、胸の張り、眠気、だるさなどを感じる場合があります。
ただし、これらの症状は妊娠特有のものではなく、黄体ホルモンなどの薬や月経前の変化などでも起こる可能性があります。
「チクチクするから着床した」「出血したから着床出血」「胸の張りがなくなったから陰性」といったように、症状だけで妊娠結果を判断することはできません。
反対に、判定日前に何も症状がなくても妊娠している場合があります。
他の方の「BT○日目」の症状と比較するのではなく、処方された薬を指示どおり使用し、医療機関から指定された妊娠判定日を待ちましょう。
一方、強い腹痛、多量の出血、急激なお腹の張り、尿量減少、息苦しさなどがある場合は、妊娠判定日まで待たず医療機関へ相談してください。
京都で体外受精を検討している方は、胚移植そのものだけでなく、判定日前の症状や薬の副作用、不安なときの連絡方法まで相談できるクリニックかという点も確認しましょう。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf