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妊活を始めると、「お酒は完全にやめた方がいい?」「たまに飲む程度でも妊娠しにくくなる?」「男性がお酒を飲むのも精子に影響する?」と気になる方もいるでしょう。
飲酒と妊孕性の関係は、飲酒量や男女によって異なり、単純に「お酒を飲むと不妊になる」と説明できるものではありません。
女性については、少量~中等量の飲酒が妊孕性を低下させるかどうかについて研究結果が一致していない一方、多量の飲酒は妊娠を希望している場合には避けることが望ましいとされています。
男性についても、慢性的な多量飲酒と精子数・運動率・形態、ホルモンや性機能への影響との関連が報告されています。
また、「妊娠前の飲酒」と「妊娠成立後の飲酒」は分けて考える必要があります。妊娠中については、安全と確認されている飲酒量や時期はなく、飲酒を避けることが推奨されています。
この記事では、飲酒と不妊の関係を男女別に解説し、体外受精中の飲酒、採卵・胚移植との関係、妊娠に気づく前に飲酒した場合の考え方、妊活中のお酒との付き合い方について紹介します。
本記事は2026年9月時点の専門学会・公的機関等の公開情報をもとに作成しています。飲酒だけを不妊の原因と断定することはできません。妊娠を希望して一定期間妊娠しない場合や月経不順などがある場合は、飲酒習慣の見直しとあわせて医療機関へ相談してください。
飲酒している人でも自然妊娠するため、飲酒だけを不妊の直接的な原因とすることはできません。
| 確認したいこと | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 飲酒すると不妊になる? | 飲酒だけを不妊原因と断定することはできない |
| 女性の少量~中等量飲酒 | 妊孕性への影響について研究結果は一致していない |
| 多量飲酒 | 男女とも生殖機能への悪影響が懸念される |
| 男性への影響 | 慢性的な多量飲酒と精液所見・ホルモン・性機能との関連がある |
| 体外受精 | 飲酒とART成績について研究されているが結果は一定ではない |
| 妊娠成立後 | 安全と確認された飲酒量・時期はない |
| 妊娠に気づく前 | 分かった時点から飲酒をやめ、必要に応じて医師へ相談する |
妊娠の成立には、女性の年齢、排卵、卵管、子宮、男性側の精子など、さまざまな要因が関係します。
飲酒しているというだけで、妊娠できない原因を特定することはできません。
女性の飲酒と妊孕性については、飲酒量が多いほど妊娠しにくい傾向を示した研究がある一方、少量~中等量の飲酒では明確な関連を認めなかった研究もあります。
そのため、「少し飲んだだけで不妊になる」と考える必要はありません。
一方、多量の飲酒については、生殖機能や全身の健康への影響を考えて避けることが大切です。
妊娠を希望している場合には、飲酒量をできるだけ抑え、妊娠の可能性がある時期には飲酒を避けることを検討しましょう。
「お酒をやめれば妊娠するだろう」と長期間様子を見るのではなく、一定期間妊娠しない場合は、排卵、卵管、子宮、男性因子などについても確認します。
女性の飲酒量と妊娠までにかかる期間については、研究によって結果が異なっています。
高い飲酒量と妊孕性低下との関連を示す報告がある一方、少量~中等量では明確な関連がみられなかった報告もあります。
そのため、特定の飲酒量について「ここまでは妊孕性に絶対影響しない」と断定することはできません。
アルコールを大量に摂取する生活が続くと、生殖に関わるホルモンや月経周期などへ影響する可能性があります。
ただし、「お酒を飲んだら排卵しなくなる」と一律に考えるものではありません。
妊娠を希望している場合、妊娠成立の時期を完全に把握することは難しいため、飲酒量を減らす、飲酒しない期間を設けるなど、生活習慣を見直すことが大切です。
一度飲酒した、週末に飲酒したというだけで排卵障害になるとは判断できません。
大量の飲酒が続いている場合には、生殖ホルモンの働きなどに影響し、月経・排卵へ影響する可能性があります。
月経周期が大きく乱れている場合には、飲酒だけを原因と考えず、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、体重変化、強いストレスなどの可能性も確認します。
男性の慢性的な多量飲酒では、精子数、運動率、形態などの精液所見への悪影響が報告されています。
また、男性ホルモンの働きなどに影響する可能性もあります。
一方で、男性の少量~中等量の飲酒が妊孕性を低下させるかについては、十分に明確ではありません。
「少しでも飲めば精子が悪くなる」と考える必要はありませんが、日常的に大量飲酒している場合は見直すことが重要です。
慢性的な多量飲酒やアルコール依存では、性欲の低下や勃起・射精などの性機能へ影響することがあります。
性交自体が難しくなれば、妊娠する機会にも影響します。
飲酒している男性でも精液検査が正常範囲となる場合があります。
一方、飲酒していなくても精液所見に問題がある場合があります。
男性側の妊孕性を調べる場合は、飲酒歴だけではなく精液検査で実際の状態を確認しましょう。
慢性的に多量のアルコールを摂取している男性では、精子数、運動率、形態などに悪影響がみられることがあります。
ただし、男性が日常的にお酒を飲んでいるからといって、それだけで男性不妊と診断されるわけではありません。
精液検査で異常を指摘された場合には、喫煙、飲酒、睡眠、肥満などの生活習慣も含めて医師と確認しましょう。
体外受精や顕微授精などのARTについても、男女の飲酒量と治療成績との関係が研究されています。
一部では飲酒量が多い場合に治療成績が低下する可能性を示す報告がありますが、飲酒量、男女差、患者背景などによって結果にはばらつきがあります。
体外受精では、年齢、卵巣予備能、採卵数、受精、胚発育、子宮内膜、男性因子など多くの要素が関係します。
採卵数が少なかった、胚盤胞にならなかった、妊娠しなかったといった結果を「飲酒していたから」と単純に説明することはできません。
生殖機能は採卵当日の飲酒だけで決まるものではありません。
日常的な生活習慣全体を見直すことが重要です。
胚移植後は、その時点では妊娠判定がまだ出ていなくても、着床・妊娠が成立している可能性があります。
そのため、胚移植後は妊娠している可能性を前提として飲酒を避けましょう。
採卵前の飲酒については、日常的な大量飲酒を避けるとともに、通院先から指示がある場合はその内容に従ってください。
特に採卵では鎮静・麻酔を使用する場合があり、採卵前の食事・水分・飲酒について具体的な指示が出ることがあります。
鎮静・麻酔を使用した場合や処方薬を使用している場合には、アルコールとの併用が問題になることがあります。
採卵当日は飲酒を避け、医療機関からの注意事項に従いましょう。
採卵後には下腹部痛、出血、腹部膨満などがみられる場合があります。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがある場合などは、自己判断で飲酒せず医療機関へ確認しましょう。
「採卵翌日になれば必ず飲酒してよい」という共通ルールはありません。
胚移植後は、妊娠判定日まで結果が分からなくても、胚が着床して妊娠が成立している可能性があります。
妊娠中については、安全と確認された飲酒量はありません。
そのため、胚移植後は「妊娠判定までは飲んでも大丈夫」と考えず、飲酒を避けることが大切です。
「ビールを一杯だけ」「ワインを一口だけ」であれば安全と保証されているわけではありません。
胚移植後に妊娠の可能性を意識せず飲酒してしまった場合も、その事実だけで妊娠結果や胎児への影響を判断することはできません。
気づいた時点から飲酒をやめ、心配な場合は通院先へ相談してください。
自然妊娠でも体外受精でも、妊娠が成立した瞬間に本人が妊娠を確認できるわけではありません。
そのため、妊娠に気づく前に飲酒してしまうことはあり得ます。
妊娠中のアルコール曝露による影響には個人差があり、「妊娠に気づく前に一度飲んだから必ず胎児へ影響が出る」と判断することはできません。
妊娠が分かった場合は、その時点から飲酒をやめましょう。
「すでに飲んだから今さら禁酒しても意味がない」ということはありません。
心配な場合は、妊娠何週ごろに、どの程度の飲酒をしたのか主治医へ伝え、通常の妊婦健診を受けてください。
妊娠中のアルコールに関しては、「この量であれば胎児への影響はない」と確認されている安全な量はありません。
そのため、妊娠中は少量であっても飲酒を避けます。
妊娠初期だけ避ければよい、妊娠後期なら飲んでもよいというものでもありません。
胎児の脳などは妊娠期間を通して発達するため、妊娠中は時期にかかわらず飲酒を避けることが重要です。
ビール、ワイン、日本酒、焼酎など、種類によって「妊娠中でも安全なお酒」があるわけではありません。
妊娠中にアルコールへ曝露することで、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)が生じる場合があります。
FASDでは、身体の発育、脳の働き、行動や学習などへ長期的な影響がみられることがあります。
同じようにアルコールへ曝露しても、すべての胎児に同じ影響が出るわけではありません。
一方で、どの胎児なら影響を受けないかをあらかじめ判断することもできません。
FASDを防ぐためには、妊娠中のアルコール曝露を避けることが重要です。
女性の少量~中等量の飲酒が自然妊娠の可能性をどの程度下げるのかについては、研究結果が一致していません。
そのため、「妊活中に一度でもお酒を飲んだら妊娠できなくなる」ということではありません。
自然妊娠では、排卵・受精・着床の時期を本人が正確に把握できないこともあります。
妊娠に気づく前からアルコールへ曝露する可能性があるため、妊娠を希望している女性は飲酒を避ける考え方が安全です。
妊娠前の妊孕性への影響が明確ではないことと、妊娠成立後に安全な飲酒量が確認されていないことは別の問題です。
妊娠の可能性がある場合は飲酒を避けましょう。
「妊娠の3か月前から必ず禁酒する」など、すべての人に共通する期間が決まっているわけではありません。
妊娠成立時期を完全には予測できないため、妊娠を希望し始めた段階から飲酒習慣を見直しましょう。
少なくとも排卵後など妊娠成立の可能性がある時期には、飲酒を避けることが大切です。
体外受精では移植日が分かるため、胚移植後は妊娠の可能性を前提に飲酒を避けます。
排卵後に受精・着床が起こった場合、妊娠検査薬で陽性になるより前から妊娠は始まっています。
そのため、「生理が来るまでは妊娠していないから飲んでもよい」と考えることはできません。
妊娠に気づく前の時期も、妊娠中に含まれます。
妊娠を希望している場合は、妊娠判定を待たず飲酒を避けることを検討しましょう。
「ノンアルコール」と表示された製品を選ぶ場合も、商品ごとの表示を確認してください。
妊娠中にアルコール飲料の代替品を利用する場合は、アルコール分が0.00%と明記された製品を選ぶと分かりやすいでしょう。
見た目や商品名が似ている場合もあるため、購入時にアルコール度数の表示を確認してください。
過去にはワインなど特定の酒類と妊孕性との関係を調べた研究もありますが、結果は一致していません。
「赤ワインなら妊娠しやすくなる」などと考える根拠はありません。
妊娠中に重要なのは酒類の種類ではなく、アルコールへの曝露を避けることです。
ビール、ワイン、日本酒、焼酎など、すべてのアルコール飲料を避けましょう。
毎日どの程度飲んでいるか、1回にどの程度飲んでいるかを把握することから始めます。
飲酒が習慣になっている場合は、お酒を飲まない日を設けるなど、飲酒量を減らす方法を検討します。
ただし、「休肝日があるから妊娠中に飲酒しても安全」という意味ではありません。
「やめようと思っても毎日飲んでしまう」「飲酒量をコントロールできない」という場合は、本人の意思だけの問題とは限りません。
医療機関やアルコールに関する相談窓口へ相談しましょう。
男性でも、慢性的な大量飲酒は精液所見、ホルモン、性機能などへ悪影響を与える可能性があります。
妊活中は飲酒量を減らす、必要に応じて禁酒するなど生活習慣を見直しましょう。
男性については、少量~中等量の飲酒が妊孕性をどの程度低下させるかは明確ではありません。
「男性も一滴も飲んではいけない」という一律のルールではなく、自分の飲酒量や精液所見などを踏まえて考えます。
女性だけが飲酒を控えるよりも、男性も一緒に飲酒習慣を見直すことで取り組みやすくなる場合があります。
飲酒習慣がある人が妊娠しない場合でも、飲酒だけが原因とは限りません。
女性では、排卵、卵管、子宮、年齢、卵巣予備能などを必要に応じて確認します。
男性に飲酒習慣がある場合も、実際の精子の状態は精液検査をしなければ分かりません。
飲酒習慣を改善してからでなければ不妊検査を受けられないわけではありません。
年齢や不妊期間を踏まえ、飲酒習慣を見直しながら必要な検査・治療を進めましょう。
多量飲酒をしている場合に飲酒習慣を見直すことは重要ですが、禁酒すれば必ず妊娠できるというものではありません。
排卵障害、子宮の病気、卵管因子や男性因子などが隠れている可能性があります。
「半年禁酒してから検査しよう」などと自己判断で長期間受診を延期するのではなく、現在の年齢や妊活期間を踏まえて医師へ相談しましょう。
不妊は女性だけの問題ではありません。
飲酒についても、女性だけでなく男性の生活習慣や精液所見まで含めて確認してくれるか見ておきましょう。
妊娠前の妊孕性への影響と、胚移植後・妊娠成立後の胎児への影響は異なります。
どの時期に、なぜ飲酒を避けた方がよいのか説明してもらえることが重要です。
採卵前後の麻酔や薬、胚移植後の妊娠可能性などを踏まえて具体的な注意事項を説明してくれるか確認しましょう。
「怒られるのでは」と飲酒したことを隠すのではなく、不安なことを率直に相談できる医療機関であることも大切です。
飲酒量を自分でコントロールすることが難しい場合に、必要な相談先や専門医療へつないでもらえるかも確認しましょう。
A.飲酒だけを不妊の直接原因と断定することはできません。
女性の少量~中等量飲酒と妊孕性の関係は研究結果が一致していない一方、多量飲酒は避けることが大切です。
A.妊娠前の少量~中等量飲酒が妊孕性をどの程度低下させるかは明確ではありません。
一方、妊娠成立の時期を完全には把握できないため、妊娠を希望している女性は飲酒を避けることが安全です。
A.慢性的な多量飲酒と、精子数・運動率・形態などの低下との関連が報告されています。
少量~中等量の飲酒の影響については明確ではありません。
A.採卵前後は、麻酔、使用薬、身体の状態などを踏まえて通院先の指示に従ってください。
胚移植後は妊娠成立の可能性を考えて飲酒を避けましょう。
A.妊娠判定前でも妊娠が成立している可能性があります。
安全と確認された妊娠中の飲酒量はないため、胚移植後は飲酒を避けましょう。
A.その事実だけで胎児への影響を判断することはできません。
妊娠が分かった時点から飲酒をやめ、通常の妊婦健診を受けてください。心配な場合は、飲酒した時期・量を主治医へ伝えましょう。
A.妊娠中に安全と確認された飲酒量はありません。
少量であっても飲酒を避けましょう。
A.ワインだけが妊孕性へ良いという根拠はありません。
また、妊娠中は酒類の種類に関係なくアルコールを避けます。
A.全員に共通する「○か月前」という期限はありません。
妊娠を希望した時点から飲酒習慣を見直し、妊娠可能性のある期間は飲酒を避けるようにしましょう。
A.慢性的な大量飲酒をしている場合は、減酒・禁酒を検討することが大切です。
男性の少量~中等量飲酒と妊孕性との関係は明確ではないため、飲酒量や精液所見などを踏まえて医師へ相談しましょう。
飲酒しているから必ず不妊になるわけではありません。
女性の少量~中等量飲酒と妊孕性との関係については研究結果が一致しておらず、飲酒だけを不妊の直接原因とすることはできません。
一方、慢性的な多量飲酒については、女性の生殖機能や男性の精液所見・ホルモン・性機能などへの悪影響が懸念されます。
また、妊娠前の飲酒による妊孕性への影響と、妊娠成立後の胎児へのアルコール曝露は分けて考える必要があります。
妊娠中には、安全と確認された飲酒量や安全な時期はありません。そのため、胚移植後や自然妊娠の可能性がある時期には飲酒を避けることが大切です。
妊娠に気づく前に飲酒してしまった場合も、「もう手遅れ」と考える必要はありません。
妊娠が分かった時点から飲酒をやめ、必要に応じて飲酒した時期や量について主治医へ相談しましょう。
男性についても、慢性的な多量飲酒は見直し、必要に応じて精液検査などで実際の状態を確認します。
そして、飲酒習慣があるからといって、不妊検査・治療を後回しにしないことも重要です。
京都で不妊治療を検討している方は、女性・男性双方の生活習慣を確認し、妊娠前、採卵・移植中、妊娠成立後それぞれの段階に合わせて飲酒について相談できるクリニックを選ぶことも大切です。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf