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体外受精の採卵を終えて「卵子が5個取れました」「1個しか取れませんでした」と聞くと、「これは多いのか少ないのか」「何個取れれば成功なのか」と気になる方は少なくありません。
しかし、採卵数には大きな個人差があり、すべての人に共通する「理想的な採卵数」が決まっているわけではありません。年齢、AMH、胞状卵胞数(AFC)、卵巣刺激法、薬剤への反応などによって、1回の採卵で得られる卵子数は異なります。
また、採卵できた卵子がすべて成熟しているわけではなく、成熟卵がすべて受精し、胚盤胞まで発育するわけでもありません。
そのため、採卵結果は「何個取れたか」だけでなく、成熟卵数、受精数、胚盤胞数、凍結できた胚数まで含めて評価することが大切です。
この記事では、採卵数の目安をどう考えるか、年齢・AMHとの関係、採卵数が少ない・多い場合の考え方、採卵後に確認したいポイントを解説します。
本記事は2026年8月時点の公的機関・専門学会・医療機関の公開情報をもとに作成しています。採卵数、成熟卵数、受精率、胚発育は、年齢、卵巣予備能、卵巣刺激法、精子の状態、培養条件などによって異なります。個別の治療結果や今後の見通しは担当医・胚培養士へ確認してください。
体外受精では、「○個以上取れれば成功」という、すべての患者に共通する採卵数の基準はありません。
同じ年齢でも、AMHや胞状卵胞数、卵巣刺激への反応によって採卵数は異なります。また、採卵数が多いことだけで、妊娠や出産につながるとは限りません。
採卵数に関係する主な要因として、次のようなものがあります。
そのため、「同年代の人は10個取れたから、自分も10個取れなければ少ない」と単純に比較することはできません。
採卵後の体外受精では、次のような段階を進みます。
各段階で次へ進まない卵子や胚があるため、採卵数と最終的に移植できる胚数は一致しません。
1回の採卵で複数の卵子を得られれば、受精・培養へ進められる卵子が増える可能性があります。
一方で、採卵数を増やすために卵巣刺激を強くしても、治療結果がそのまま比例して改善するとは限りません。
卵巣が強く反応した場合にはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などにも注意が必要です。
採卵では「できるだけ多く取ること」だけではなく、必要な卵子を安全に得ることも重要です。
採卵結果を評価するときは、「採卵数」と「成熟卵数」を分けて考える必要があります。
卵胞から卵子を回収できても、すべての卵子が受精に適した成熟段階に達しているとは限りません。
複数の卵胞を同時に育てていても、それぞれの卵胞や卵子の発育には差が生じることがあります。
採卵後は胚培養士などが卵子の状態を確認します。
顕微授精では、通常、成熟した卵子を対象に精子を注入します。そのため、採卵数だけを見ても、実際に受精へ進められる卵子数は分かりません。
採卵後には、次の数字を確認してみましょう。
「卵子が5個取れた」という結果だけでなく、そのうち何個が成熟していたかを確認すると、その後の受精結果を理解しやすくなります。
採卵した卵子は、その後、体外受精または顕微授精によって受精を目指し、胚として培養されます。
| 段階 | 確認する内容 |
|---|---|
| 採卵 | 回収できた卵子数 |
| 成熟確認 | 成熟卵数 |
| 受精 | 正常に受精した卵子数 |
| 培養 | 発育を続けた胚数 |
| 胚盤胞 | 胚盤胞まで発育した胚数 |
| 凍結・移植 | 凍結や移植へ進めた胚数 |
成熟卵を用いて体外受精や顕微授精を行っても、すべての卵子が正常に受精するとは限りません。
卵子や精子の状態などによって、受精しない場合があります。
受精後の胚は細胞分裂を繰り返して発育しますが、途中で発育が止まることがあります。
そのため、採卵数、成熟卵数、受精数、胚盤胞数はそれぞれ異なります。
採卵結果を評価するときは、採卵数だけで終わらず、その後に何個の胚が移植や凍結へ進めたかまで確認することが大切です。
採卵数が少なくても胚を得られる場合がある一方、多数の卵子を採取できても、移植できる胚が少ない場合もあります。
卵巣内に存在する卵子・卵胞の数は、年齢とともに減少していきます。
そのため、年齢が上がるにつれて、一度の卵巣刺激で発育する卵胞数や採卵できる卵子数が少なくなる場合があります。
「35歳なら○個」「40歳なら○個」と、年齢だけで適正な採卵数を決めることはできません。
同じ40歳でもAMHや胞状卵胞数、過去の卵巣刺激への反応などは異なります。
年齢は重要な判断材料の一つですが、それだけで採卵数を予測するものではありません。
年齢が上がるときは、採卵数だけでなく、成熟卵数、受精結果、胚の発育なども含めて治療計画を考えることが重要です。
一度の採卵で必要な胚を確保できない場合は、複数周期で採卵を行うことについて相談する場合もあります。
比較的卵巣予備能が保たれている方も多い年代ですが、若ければ必ず多数の卵子を採卵できるわけではありません。
AMHが低い場合や卵巣手術歴がある場合などは、採卵数が少なくなることもあります。
30代後半では、年齢だけでなくAMHや胞状卵胞数などを確認しながら、どの程度の卵巣反応が見込まれるかを検討します。
「何個取れたか」だけではなく、成熟卵や胚を何個得られたかを確認することが大切です。
40代では、一度の採卵で得られる卵子数が少なくなる場合があります。
しかし、採卵数が1個や数個だったからといって、それだけで治療に意味がないとはいえません。
得られた卵子が成熟し、受精・胚発育へ進む可能性があるため、年齢やこれまでの治療歴を踏まえて、今後どのように採卵を続けるかを医師と相談しましょう。
採卵数について考える際によく使われる指標の一つが、AMH(抗ミュラー管ホルモン)です。
AMHは、卵巣内に残っている卵胞の量を推測するための指標の一つです。
日本産科婦人科学会でも、AMHは卵巣予備能を推測する目的で利用されると説明しています。
AMHが高い場合は、卵巣刺激によって多くの卵胞が発育する可能性があります。
その結果として採卵数が多くなることがありますが、AMHだけで実際の採卵数を予測できるわけではありません。
また、卵巣が強く反応する場合にはOHSSへの注意も必要です。
AMHが低い場合は、卵巣刺激に反応する卵胞数が少なく、一度の採卵で得られる卵子数も少なくなる可能性があります。
ただし、AMHが低いから採卵できないと決まるわけではありません。
日本産科婦人科学会では、AMHから卵子の質を推測することはできないと説明しています。
「AMHが低い=卵子の質が悪い」「AMHが高い=妊娠しやすい」という意味ではありません。
AMHは、主に卵巣刺激への反応や採卵数を考えるための材料の一つとして利用します。
AMHが低いと言われると、「採卵しても卵子が取れないのでは」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、AMHが低くても卵胞が発育し、採卵できる場合があります。
AMHは卵巣予備能を推測する指標ですが、採卵できるかどうかを確定する検査ではありません。
低AMHでも、その周期に発育した卵胞から卵子を採取できる場合があります。
採卵数が1個や2個など少数であっても、その卵子が成熟し、正常に受精して胚へ発育する可能性があります。
採卵数だけを見て結果を判断せず、その後の受精・培養結果まで確認しましょう。
採卵数が少ないからといって、排卵誘発剤の量を増やせば必ず卵子数が増えるとは限りません。
卵巣予備能によっては、刺激を強くしても発育する卵胞数が大きく変わらない場合があります。
前回の卵巣反応を踏まえて、刺激法や薬剤量を変更するかどうかを医師と相談します。
採卵後に「1個しか取れなかった」「3個しかなかった」と落ち込む方もいるでしょう。
しかし、採卵数だけでその周期の治療価値を決めることはできません。
採卵数が1個であっても、その卵子が成熟していれば、体外受精や顕微授精によって受精を目指せます。
その後、正常に受精し、移植可能な胚へ発育する可能性もあります。
ただし、1個採卵できれば必ず妊娠できるという意味ではありません。
育った卵胞が少ない場合でも採卵へ進むか、周期を中止して次の採卵を検討するかは患者によって異なります。
年齢、AMH、卵巣予備能、治療歴、身体的・経済的負担などを踏まえて判断します。
一度の採卵で得られる卵子数が少ない場合は、複数周期で採卵を行い、胚を凍結していく方法について相談することがあります。
何回採卵を続けるかは年齢や治療結果によって異なるため、自分の場合の治療計画を確認してください。
卵巣内に残っている卵胞数が少ない場合、一度の刺激で育つ卵胞数が少なくなる可能性があります。
刺激開始前に超音波で確認できる胞状卵胞数が少ない場合、発育する卵胞数も少なくなることがあります。
検査値から予想したよりも、実際の排卵誘発剤への反応が弱い場合があります。
刺激法や薬剤量は、採卵数に影響する要素の一つです。
ただし、刺激方法を変えれば必ず採卵数が増えるとは限りません。
採卵前に複数の卵胞が見えていても、それぞれの卵胞から必ず卵子を回収できるわけではありません。
「卵胞数は多かったのに採卵数が少なかった」という場合は、採卵時の状況について説明を受けましょう。
採卵数が多いと、受精・培養へ進められる卵子が増える可能性があります。
一方で、多ければ多いほどよいとは限らず、安全面にも注意が必要です。
複数の成熟卵が得られれば、受精や胚培養へ進められる卵子も増える可能性があります。
複数の胚を凍結できれば、その後の胚移植で再度採卵せずに治療できる場合があります。
卵巣刺激に強く反応し、多数の卵胞が発育した場合には、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)への注意が必要です。
OHSSでは、卵巣の腫れ、腹部の張り、腹水、吐き気、急な体重増加、尿量の減少、息苦しさなどがみられる場合があります。
採卵後に強い腹痛、急激な腹部膨満、強い吐き気・嘔吐、尿量の減少、息苦しさなどがある場合は、通院先へ相談してください。
卵巣刺激では、必要な数の卵子を得ることと、安全性のバランスを考える必要があります。
「前回より多く採るために薬を増やしたい」と自己判断せず、過去の刺激への反応やOHSSリスクを踏まえて担当医と相談しましょう。
自分で確実に採卵数を増やす方法はありません。
前回の卵巣反応を踏まえて、次回の卵巣刺激法を変更することがあります。
高刺激、低刺激、アンタゴニスト法、PPOS法など複数の方法がありますが、どれが適しているかは患者によって異なります。
使用する排卵誘発剤の種類や量を変更することで、次回の卵巣反応を調整する場合があります。
ただし、薬剤量を増やせば必ず採卵数が増えるとは限りません。
次回の刺激法を考えるときは、前回の次のような結果が参考になります。
インターネット上では、特定の食品やサプリメント、生活習慣によって採卵数が増えるとする情報もあります。
しかし、特定の食品やサプリメントを使用すれば採卵数が確実に増えるとはいえません。
自己判断でサプリメントなどを追加する前に、服薬との相互作用も含めて担当医へ相談しましょう。
採卵結果は、採卵数だけではなく、治療の各段階を順番に確認すると理解しやすくなります。
| 段階 | 確認する数字 |
|---|---|
| 刺激前 | AMH・胞状卵胞数(AFC) |
| 採卵前 | 発育した卵胞数 |
| 採卵 | 採卵数 |
| 採卵後 | 成熟卵数 |
| 受精後 | 正常受精数 |
| 培養後 | 胚盤胞数・凍結胚数 |
採卵前の超音波検査で確認できていた卵胞数と、実際の採卵数を比較します。
差が大きかった場合は、考えられる理由を確認しましょう。
採卵できた卵子のうち、何個が成熟していたか確認します。
採卵数が多くても未成熟卵が多い場合は、治療結果の評価が変わります。
成熟卵のうち、何個が正常に受精したか確認します。
最終的に何個の胚が胚盤胞へ発育し、凍結・移植へ進めたかを確認します。
「採卵10個だったから良い」「3個しかなかったから悪い」と採卵時点だけで評価せず、胚を得るところまで見て判断することが重要です。
体外受精のクリニックを比較するときは、採卵件数や治療実績だけでなく、自分の採卵結果についてどこまで説明してもらえるかも確認しましょう。
採卵後には、採卵数、成熟卵数、受精数、胚発育、凍結胚数を確認することが重要です。
それぞれの結果について説明を受けられるか確認しましょう。
患者の年齢だけではなく、AMHや胞状卵胞数、過去の採卵結果などを踏まえて刺激方法を検討しているか確認します。
1回目の採卵結果は、次回の治療方法を考えるための重要な情報になります。
採卵数だけでなく、卵巣反応や成熟卵、胚発育まで振り返り、次周期にどのように反映するのか説明してもらえるか確認しましょう。
多数の卵胞が発育した場合は、OHSSへの注意が必要です。
刺激中・採卵後の体調確認や、症状が出た場合の連絡体制についても確認しておくと安心です。
A.すべての人に共通する「○個取れれば成功」という基準はありません。
採卵数だけでなく、成熟卵数、受精数、胚発育、凍結・移植できる胚数まで含めて評価します。
A.5個が多いか少ないかは、年齢、AMH、胞状卵胞数、刺激法などによって異なります。
5個のうち何個が成熟し、受精・胚発育へ進んだかも確認しましょう。
A.採卵10個という結果だけで、多い・少ないを一律に判断することはできません。
卵巣予備能や刺激法によっては想定範囲の場合もあります。多数の卵胞が発育した場合はOHSSにも注意します。
A.1個の卵子でも、成熟して正常に受精し、胚へ発育して移植できれば妊娠につながる可能性があります。
ただし、採卵できた1個が必ず妊娠につながるという意味ではありません。
A.卵巣内に残る卵胞数は年齢とともに減るため、採卵数が少なくなる場合があります。
ただし個人差があり、年齢だけで採卵数を予測することはできません。
A.AMHだけから採卵数を正確に予測することはできません。
胞状卵胞数や実際の卵巣刺激への反応なども合わせて判断します。
A.AMHが高い場合は、卵巣刺激に対して多くの卵胞が発育する可能性があります。
ただし、採卵数には個人差があり、AMHが高いことが妊娠率の高さを直接意味するものでもありません。
A.採卵した卵子がすべて成熟しているとは限らず、成熟卵もすべて受精するわけではありません。
A.同じではありません。
採卵後には成熟確認、受精、培養という段階があるため、胚盤胞数は採卵数より少なくなる場合があります。
A.前回の卵巣反応を踏まえて、刺激法や薬剤量を調整する場合があります。
ただし、確実に採卵数を増やす方法はなく、刺激を強くすれば必ず卵子数が増えるわけでもありません。
A.一律に刺激を強くするわけではありません。
年齢、AMH、AFC、前回の刺激への反応、成熟卵数、胚発育などを確認し、同じ刺激法を続けるか変更するかを検討します。
体外受精の採卵数には大きな個人差があり、すべての患者に共通する理想的な個数はありません。
年齢、AMH、胞状卵胞数、卵巣刺激法、実際の卵巣反応などによって採卵できる卵子数は異なります。
また、採卵数と成熟卵数、受精数、胚盤胞数、凍結胚数はそれぞれ異なります。
採卵数が1個や数個だった場合でも、成熟して受精・胚発育へ進む可能性があります。一方、多数の卵子を採卵できた場合も、必ず妊娠につながるわけではなく、OHSSなど安全面への注意が必要です。
AMHは卵巣予備能や卵巣刺激への反応を考える材料の一つですが、卵子の質を示す検査ではありません。AMHが低いから採卵できない、高いから妊娠しやすいと単純に判断しないことが大切です。
採卵後は、「何個取れたか」だけでなく、「何個が成熟したか」「何個が受精したか」「何個の胚が移植・凍結まで進んだか」を確認しましょう。
次の採卵が必要な場合は、今回の採卵数や成熟卵数、卵巣刺激への反応を振り返り、刺激法や薬剤量をどのように考えるのか担当医へ確認してください。
京都で体外受精を検討している方は、単に採卵数の多さを訴求する医療機関ではなく、年齢や卵巣予備能、採卵結果を踏まえて治療全体を説明してくれるかという視点でもクリニックを比較しましょう。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf