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妊活や不妊治療をしていると、「高温期が短い」「プロゲステロンの値が低い」といった理由から、黄体機能不全を指摘されたり、自分も当てはまるのではないかと不安になったりする方もいるでしょう。
黄体とは、排卵後の卵胞が変化してできる組織です。黄体からはプロゲステロンなどのホルモンが分泌され、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整え、妊娠初期を支える役割を担います。
この黄体期の働きが十分ではない状態は「黄体機能不全」と呼ばれてきました。
一方で、現在は「黄体機能不全をどのように診断するか」「黄体機能不全だけで不妊や流産を起こすのか」について、医学的に明確になっていない部分があります。
高温期が短いことや、一度測ったプロゲステロン値が低かったことだけで、黄体機能不全や不妊の原因を判断することはできません。
黄体機能の異常が疑われる場合には、排卵障害、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症など、黄体期に影響している背景の病気がないか確認することも重要です。
この記事では、黄体機能不全とはどのような状態なのか、不妊・流産との関係、考えられる原因、検査・診断方法、治療の考え方について解説します。
本記事は2026年9月時点の専門学会等の公開情報をもとに作成しています。黄体機能不全には確立された単一の診断方法がなく、不妊や流産との因果関係についても医学的な議論があります。基礎体温やホルモン検査の数値だけで自己判断せず、妊娠を希望している方は婦人科・不妊治療を行う医療機関へ相談してください。
黄体機能不全とは、排卵後に形成される黄体の働きや、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用などに問題がある状態を指して使われてきた言葉です。
| 確認したいこと | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 黄体とは? | 排卵後の卵胞から形成され、プロゲステロンなどを分泌する |
| 黄体機能不全とは? | 黄体期の長さやプロゲステロンの分泌・作用などに異常がある状態として考えられてきた |
| 黄体期の長さ | 一般的には12~14日程度。ASRMでは10日以下が黄体機能不全を疑う一つの目安とされる |
| 不妊の原因になる? | 黄体機能不全単独で不妊を引き起こすことは証明されていない |
| 流産の原因になる? | 黄体機能不全単独で反復流産を起こすことも証明されていない |
| プロゲステロン値で診断できる? | 単回の血液検査だけで黄体機能の良し悪しを判断することは難しい |
| 治療法は? | まず排卵障害や甲状腺機能異常など背景にある原因を確認し、必要に応じて治療する |
月経周期の前半では、卵巣の中で卵胞が成長します。
排卵が起こると、卵子を排出した後の卵胞が黄体へ変化し、プロゲステロンを中心としたホルモンを分泌します。
プロゲステロンには、排卵後の子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態へ変化させ、妊娠が成立した場合には妊娠初期の子宮内膜を維持する役割があります。
妊娠が成立しなければ黄体は退縮し、プロゲステロンの分泌が低下することで月経が始まります。
黄体期とは、排卵してから次の月経が始まるまでの期間です。
ASRM(米国生殖医学会)では、一般的な黄体期は12~14日程度で、11~17日ほどの幅がみられるとしています。
臨床上は、黄体期が10日以下の場合に黄体機能不全を疑う一つの目安とされることがあります。
ただし、黄体期が短い周期は妊娠可能な女性にもみられるため、「10日以下だから不妊」と判断することはできません。
黄体機能不全というと「黄体ホルモンが少ない状態」と考えられがちですが、それだけではありません。
黄体期に関係する問題としては、例えば次のような状態が考えられてきました。
ただし、これらを正確に評価し、妊娠できる女性と妊娠しにくい女性を区別できる確立された検査は現在ありません。
黄体機能不全には、これだけで診断できる特有の症状があるわけではありません。
月経周期や基礎体温などから黄体期の異常が疑われる場合がありますが、症状だけで自己判断しないことが重要です。
基礎体温を記録している場合、排卵後の高温期が短いことをきっかけに黄体機能不全を心配する方もいます。
黄体期が短いことは確認材料の一つになりますが、基礎体温だけで排卵日を正確に特定したり、黄体機能を評価したりすることには限界があります。
高温期が短い状態が繰り返している場合は、月経周期や排卵の状態を医療機関で確認しましょう。
黄体期の異常がある方では、月経が本格的に始まる前に少量の出血がみられることがあります。
ただし、月経前の出血は黄体機能不全だけで起こるものではありません。
子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮頸部の病気、ホルモン変動など別の原因が関係している場合もあります。
月経周期に大きな異常がなく、自分では黄体期の問題に気づかない場合もあります。
妊娠しにくいことをきっかけとして不妊検査を受け、排卵やホルモンの状態について評価されることもあります。
黄体やプロゲステロンは妊娠成立に重要な役割を持つため、黄体機能の異常は以前から不妊の原因の一つとして考えられてきました。
一方、現在は黄体機能不全そのものを「独立した不妊原因」と考えられるかについて議論があります。
排卵後に黄体から分泌されるプロゲステロンは、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態へ変化させます。
妊娠が成立した場合には、その後も一定期間、黄体から分泌されるプロゲステロンが妊娠維持を支えます。
そのため理論上は、黄体期のプロゲステロンの分泌や作用が不十分であれば、着床や妊娠初期へ影響する可能性が考えられます。
ASRMは2026年の委員会見解で、黄体機能不全が独立した病態として不妊を引き起こすことは証明されていないとしています。
黄体期が短い周期や、黄体期のプロゲステロン値が低い周期は、正常に月経があり妊娠できる女性にもみられるためです。
「高温期が短い」「プロゲステロンが低かった」という一つの所見だけを、不妊の原因と決めつけないことが重要です。
妊娠しにくい場合には、黄体機能だけを見るのではなく、不妊原因全体を確認します。
女性側では、例えば次のような要因があります。
また、男性側の精子数や運動率などが関係している場合もあります。
黄体機能不全を疑われた場合でも、夫婦双方を含めた不妊検査を進めることが大切です。
黄体機能不全は、流産との関係についても長く議論されてきました。
妊娠初期には、黄体から分泌されるプロゲステロンによって子宮内膜が維持されます。
そのため、「プロゲステロンが不足すると妊娠を維持できず流産につながるのではないか」と考えられてきた背景があります。
一方で、ASRMは黄体機能不全が独立した病態として反復流産を引き起こすことは証明されていないとしています。
また、流産後にプロゲステロン値を測定して低かった場合でも、「プロゲステロンが低かったから流産した」とは限りません。
妊娠の発育が停止したことでhCGの増加が止まり、その結果として黄体からのプロゲステロン分泌が低下している可能性もあるためです。
プロゲステロン値が低いことが「原因」なのか、妊娠の発育が止まったことによる「結果」なのかを、数値だけで判断することはできません。
流産、特に流産を繰り返す場合には、黄体機能だけでなく複数の要因を確認する必要があります。
例えば、反復流産や不育症では次のような要因が検討されます。
流産を繰り返している場合は、「黄体ホルモンが足りない」と自己判断せず、必要な検査について医師へ相談しましょう。
黄体は排卵後の卵胞から形成されるため、黄体期だけが独立して働いているわけではありません。
卵胞の発育、排卵、脳から卵巣へ送られるホルモンの働きなどに問題があれば、その後の黄体機能にも影響する可能性があります。
排卵前の卵胞が十分に発育し、その後正常に排卵することは、黄体形成にも関係します。
排卵障害がある場合には、黄体期だけでなく月経周期全体のホルモン環境を評価する必要があります。
PCOSは、排卵障害を起こす代表的な病気の一つです。
排卵が不規則になったり無排卵になったりすることで、月経周期や妊娠の機会に影響します。
黄体期の異常が疑われる場合でも、背景にPCOSなどの排卵障害がないか確認することが重要です。
プロラクチンは、主に母乳の分泌などに関係するホルモンです。
妊娠・授乳中ではないにもかかわらずプロラクチン値が高い高プロラクチン血症では、排卵に関わるホルモンの働きが乱れ、排卵障害や黄体期へ影響する場合があります。
ASRMでも、高プロラクチン血症は黄体機能の異常と関連する可能性がある状態として挙げられています。
甲状腺ホルモンは代謝だけでなく、生殖に関わるホルモン環境とも関係しています。
甲状腺機能低下症などでは、排卵や月経周期に影響することがあります。
黄体機能の異常が疑われる場合には、必要に応じて甲状腺機能についても確認します。
大幅な体重減少、摂食障害、過度な運動などによって、脳から卵巣へ送られるホルモンの働きが低下する場合があります。
その結果、卵胞発育や排卵、黄体期へ影響する可能性があります。
妊娠を希望しているからといって、過度な食事制限や運動を行うことは避けましょう。
肥満も、生殖ホルモンや排卵機能との関連が報告されています。
ただし、肥満があれば必ず黄体機能不全になるわけではありません。
月経不順や排卵障害がある場合には、体重だけでなくPCOSなどの背景疾患も含めて確認します。
強いストレスは、視床下部・下垂体・卵巣をつなぐホルモンの働きへ影響する可能性があります。
ただし、妊娠できない原因を「ストレスのせい」と決めつけることは適切ではありません。
妊娠しにくい場合には、ストレスだけで説明せず、通常の不妊検査を受けることが重要です。
年齢が上がるにつれて、黄体期のホルモン分泌に変化がみられることが報告されています。
一方で、年齢による妊娠率低下や流産率上昇には、卵子の染色体異常などほかの要因も大きく関係します。
「年齢が高いから黄体機能が悪い」と単純に考えないようにしましょう。
黄体機能不全については、現在のところ「この検査をすれば確実に診断できる」という方法はありません。
月経周期、排卵の有無、ホルモン値などを確認しながら、背景にある病気も含めて総合的に評価します。
排卵日が分かる場合には、排卵から次の月経開始までの日数を確認します。
ASRMでは、黄体期10日以下が黄体機能不全を疑う臨床的な目安として示されています。
ただし、短い黄体期は正常に妊娠できる女性にもみられることがあります。
一周期だけ短かったことを理由に黄体機能不全と決めることはできません。
排卵後に血液検査を行い、プロゲステロン値を測定する場合があります。
プロゲステロンは排卵後に上昇するため、排卵が起きたことを確認する参考になります。
ASRMでは、適切な時期に測定したプロゲステロン値が3ng/mLを超えていれば、直近に排卵が起きたことを推定する材料になるとしています。
プロゲステロンは一日を通して一定の濃度で分泌されているわけではありません。
黄体形成を促すLHの分泌に合わせて脈動的に分泌されるため、短時間でも数値が大きく変動します。
ASRMでは、プロゲステロン値が90分ほどの間に最大8倍程度変動することがあるとしています。
そのため、一度の採血でプロゲステロンが低かったからといって、「黄体機能が悪い」「妊娠できない」と判断することはできません。
以前は、黄体中期の血中プロゲステロン値が10ng/mL未満であることなどを、黄体機能不全の診断基準として用いる考え方がありました。
しかし、現在はプロゲステロン値の変動が大きいことなどから、単回の数値だけを用いた診断には限界があると考えられています。
日本産婦人科医会も、基礎体温や黄体中期のプロゲステロン値などによる従来の診断法は否定されつつあると説明しています。
排卵後にはプロゲステロンの働きによって基礎体温が上昇するため、基礎体温表から低温期と高温期を確認することがあります。
一方で、睡眠時間、測定時間、体調、室温などによっても基礎体温は変化します。
高温期の日数や体温差だけから黄体機能不全を確定することはできません。
黄体は排卵後に形成されるため、まず正常に排卵しているかを確認することが重要です。
医療機関では、経腟超音波検査によって卵胞の発育や排卵を確認したり、必要に応じてホルモン検査を行ったりします。
黄体機能の異常が疑われる場合には、必要に応じて次のような状態を確認します。
黄体期の数値だけではなく、「なぜ黄体期に異常がみられるのか」を調べることが重要です。
以前は、子宮内膜を採取して組織の成熟度を確認する「子宮内膜日付診」などが黄体機能不全の診断に用いられていました。
しかし、子宮内膜組織検査によって妊娠可能な女性と不妊女性を正確に区別できることは示されていません。
ASRMでは、黄体機能不全の診断を目的とした子宮内膜組織の日付診を推奨していません。
黄体機能不全には確立された単一の診断法がないため、「黄体機能不全と診断したらこの薬を使う」という一律の治療法が決まっているわけではありません。
現在は、まず黄体機能へ影響している可能性のある背景疾患を確認し、原因が見つかった場合にはその治療を行うことが基本的な考え方です。
例えば、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、視床下部性のホルモン異常などが確認された場合には、それぞれの原因に応じた治療を行います。
ASRMでも、黄体機能の異常が疑われる場合には、まず背景にある病気を評価し、確認された異常を治療することを基本としています。
排卵障害がある場合には、原因に応じて排卵誘発などの不妊治療を行うことがあります。
排卵誘発には、状態に応じてクロミフェン、レトロゾール、ゴナドトロピン製剤などが用いられます。
ただし、これらは単純に「黄体機能不全を治す薬」として使用するものではありません。
排卵障害など、それぞれの不妊原因と治療目的を踏まえて選択します。
不妊治療では、プロゲステロン製剤による「黄体補充」を行うことがあります。
プロゲステロン製剤には、治療内容によって内服薬、腟剤、注射などが用いられます。
一方で、自然に排卵している周期で、黄体機能不全と考えられる方全員へプロゲステロンを補充すれば妊娠率が上がることは証明されていません。
ASRMは、自然・非刺激周期における黄体機能不全へのプロゲステロン補充について、妊娠率を改善することを示す根拠は確立していないとしています。
プロゲステロンは妊娠維持に重要なホルモンですが、「足せば足すほど妊娠しやすい」というものではありません。
どの治療で黄体補充が必要になるかは、自然周期なのか、排卵誘発を行っているのか、人工授精なのか、体外受精なのかなどによって異なります。
薬の種類や使用開始時期、使用期間については医師の指示に従いましょう。
不妊治療では「黄体ホルモン」「黄体補充」という言葉を聞く機会が多いため、黄体機能不全の治療と混同しやすい点に注意が必要です。
体外受精や顕微授精では、卵巣刺激や採卵などによって自然周期とは異なるホルモン環境になります。
そのため、胚移植後の子宮内膜を支える目的で、プロゲステロンなどによる黄体期サポートを行います。
ESHRE(欧州ヒト生殖医学会)の2025年版卵巣刺激ガイドラインでも、IVF・ICSI後の黄体期サポートとしてプロゲステロンが推奨されています。
ここで重要なのは、体外受精後の黄体補充と、自然周期で「黄体機能不全だからプロゲステロンを補充する」ことは同じではないという点です。
| 比較 | 自然周期の黄体機能不全 | 体外受精後の黄体補充 |
|---|---|---|
| 目的 | 黄体期の機能不足を補うことを想定 | 採卵・卵巣刺激後の黄体期を支える |
| 対象 | 自然排卵周期など | IVF・ICSIなどの生殖補助医療 |
| エビデンス | 自然周期で妊娠率を改善することは確立していない | IVF・ICSI後の黄体期サポートとして推奨されている |
同じプロゲステロンを使用する場合でも、「なぜ投与するのか」が異なります。
黄体機能不全を疑う所見があったからといって、自然妊娠できないという意味ではありません。
黄体期が短い周期は、正常な月経があり妊娠できる女性にもみられることが報告されています。
そのため、高温期や黄体期が短いことだけで自然妊娠の可能性を判断することはできません。
プロゲステロンは短時間に大きく変動するため、一度低い値が出たからといって妊娠できないとはいえません。
血液検査の結果は、測定した時期や排卵日、ほかのホルモン検査などと合わせて医師が評価します。
妊娠の可能性には、黄体機能以外にもさまざまな要因が関係します。
「黄体機能不全を治せば妊娠できる」と一つの原因だけに絞らず、妊娠しにくい背景を総合的に確認しましょう。
黄体期は排卵日から次の月経までの日数で確認するため、排卵日の推定がずれていると「高温期が短い」と誤って考えてしまう場合があります。
基礎体温だけでは排卵日を正確に判断できないこともあります。
必要に応じて排卵検査薬や超音波検査などを利用して排卵時期を確認します。
月経周期や黄体期の長さには周期ごとの変動があります。
一度だけ高温期が短かったからといって、すぐに黄体機能不全と考える必要はありません。
同じ状態が繰り返している場合や、妊娠を希望しているにもかかわらず妊娠しない場合には医療機関へ相談しましょう。
高温期が短いだけでなく、月経周期が大きく乱れている場合には排卵障害が関係している可能性があります。
PCOS、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症などが隠れている場合もあるため、必要に応じて検査を受けましょう。
次のような場合は、基礎体温やインターネット上の情報だけで判断せず、婦人科や不妊治療を行う医療機関へ相談することを検討しましょう。
特に妊娠を希望している場合には、「黄体機能不全かどうか」だけを調べるのではなく、一般的な不妊検査も含めて相談することが大切です。
高温期が短かったり、プロゲステロン値を指摘されたりすると、「妊娠できない原因は黄体機能不全だ」と考えてしまうことがあります。
しかし、不妊には卵管因子、排卵因子、子宮因子、男性因子、年齢などさまざまな要因があります。
通常の不妊検査を行い、夫婦双方の状態を確認することが重要です。
黄体は排卵後に形成されるため、まず排卵が起きているかを確認します。
月経周期が不規則な場合は、経腟超音波検査やホルモン検査などを行い、排卵障害がないか確認します。
甲状腺機能異常や高プロラクチン血症などが見つかった場合には、その病気に応じた治療を行います。
原因を治療することで、排卵や月経周期が改善する場合があります。
女性に黄体機能の異常が疑われた場合でも、それだけが不妊原因とは限りません。
男性側にも精子数や運動率などの問題がある場合があるため、精液検査などを含めて夫婦双方を評価することが重要です。
不妊治療では、女性の年齢も治療方針を決める重要な要素です。
黄体機能の検査や治療だけを長期間繰り返している間にも年齢は上がります。
妊娠を希望している場合には、「黄体機能を正常にしてから次へ進む」と決めつけず、年齢やほかの不妊原因を踏まえてタイミング法、人工授精、体外受精などの治療方針を検討します。
「黄体機能不全かもしれない」と言われた場合は、診断名だけではなく、どのような所見から判断しているのかを確認しましょう。
プロゲステロン値は短時間でも大きく変動します。
そのため、一度の採血結果だけを見て「黄体機能不全だから妊娠できない」と判断するのではなく、月経周期や排卵の状態などを総合的に確認してもらえるかが重要です。
黄体機能の異常が疑われる場合には、PCOS、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常などが背景にないか確認することがあります。
単に黄体ホルモンを処方するだけではなく、「なぜ黄体期に異常が起きている可能性があるのか」まで調べてもらえるか確認しましょう。
妊娠しにくい原因が黄体機能だけとは限りません。
排卵、卵管、子宮、卵巣予備能、男性側の精液など、一般的な不妊原因を確認できる医療機関を選ぶことが大切です。
黄体ホルモンや排卵誘発剤を使用する場合には、「何のために使用するのか」を説明してもらいましょう。
自然周期で黄体機能を補う目的なのか、排卵障害への治療なのか、体外受精後の黄体期を支える目的なのかによって、治療の意味は異なります。
不妊治療では年齢も重要です。
黄体機能だけに長期間こだわるのではなく、年齢や卵巣予備能、ほかの不妊原因を踏まえて治療計画を提案してもらえるか確認しましょう。
A.黄体期10日以下は、黄体機能不全を疑う一つの臨床的な目安とされています。
ただし、黄体期が短い周期は妊娠可能な女性にもみられるため、日数だけで黄体機能不全や不妊と診断することはできません。
A.高温期が短いからといって妊娠できないとは限りません。
基礎体温では排卵日を正確に特定できない場合もあり、黄体期の長さには周期ごとの変動もあります。
短い状態が繰り返している場合や妊娠しにくい場合は医療機関へ相談しましょう。
A.一度測定したプロゲステロン値が10ng/mL未満だったことだけでは、黄体機能不全とは診断できません。
プロゲステロンは短時間でも大きく変動するため、単回測定で黄体期の「質」を判断することには限界があります。
A.ASRMでは、適切な時期の血液検査でプロゲステロン値が3ng/mLを超えていれば、直近に排卵が起きたことを推定する材料になるとしています。
ただし、「3ng/mLを超えれば黄体機能が正常」という意味ではありません。
A.基礎体温だけで確定診断することはできません。
高温期の長さなどを知る参考にはなりますが、排卵の確認やホルモン検査などと合わせて評価します。
A.黄体やプロゲステロンは妊娠成立に重要ですが、黄体機能不全が独立した病態として不妊を引き起こすことは現在のところ証明されていません。
妊娠しにくい場合には、黄体機能だけでなく排卵、卵管、子宮、男性因子なども確認する必要があります。
A.黄体機能不全だけが原因となって反復流産を起こすことは証明されていません。
流産には染色体異常などさまざまな原因があるため、流産を繰り返している場合は必要な検査について医師へ相談してください。
A.自然に排卵している周期で、黄体機能不全と考えられる方へプロゲステロンを補充することで妊娠率が改善することは確立していません。
一方、体外受精などの不妊治療では治療によって生じるホルモン環境を補うため、黄体補充が行われます。
A.黄体機能不全や原因不明の反復流産が疑われるすべての方について、プロゲステロン補充によって流産を防げるとは確認されていません。
妊娠歴や現在の妊娠状況によって対応が異なるため、自己判断で薬を使用せず医師へ相談してください。
A.黄体機能不全を疑う所見があるからといって、自然妊娠できないという意味ではありません。
短い黄体期は妊娠可能な女性にもみられます。
妊娠しにくい場合は、黄体機能だけでなく年齢や排卵、卵管、男性因子などを総合的に確認しましょう。
A.PCOSでは排卵障害が起こることがあり、排卵や卵胞発育の異常が黄体期にも影響する可能性があります。
ただし、PCOS=黄体機能不全という意味ではありません。
A.必ずしもそうではありません。
体外受精・顕微授精では、卵巣刺激や採卵によって自然周期とは異なるホルモン環境になるため、治療の一部として黄体期サポートを行います。
自然周期の黄体機能不全に対する治療とは分けて考える必要があります。
黄体は排卵後の卵胞から形成され、プロゲステロンなどを分泌することで、子宮内膜を着床しやすい状態へ整え、妊娠初期を支える重要な役割を担います。
黄体機能不全は、黄体期の長さやプロゲステロンの分泌・作用などに異常がある状態として考えられてきました。
ASRMでは黄体期10日以下を一つの臨床的な目安としていますが、現在のところ、黄体機能不全が独立して不妊や反復流産を引き起こすことは証明されていません。
また、プロゲステロンは短時間でも大きく変動するため、一度の血液検査で「10ng/mL未満だった」などの結果だけから黄体機能の良し悪しを判断することはできません。
高温期が短い場合も、基礎体温だけで黄体機能不全を診断することは困難です。
黄体機能の異常が疑われる場合には、PCOSなどの排卵障害、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、体重減少や過度な運動など、背景にある原因を確認することが重要です。
原因が確認された場合は、その病気に応じた治療を行います。
自然周期での黄体ホルモン補充によって妊娠率が改善することは確立していませんが、体外受精・顕微授精では治療に伴う黄体期を支える目的でプロゲステロンによる黄体補充が行われます。
同じ「黄体ホルモンを補う」という治療でも、その目的や医学的な根拠は異なります。
妊娠を希望していて高温期の短さやプロゲステロン値が気になる場合は、「黄体機能不全かどうか」だけにとらわれず、排卵、卵管、子宮、年齢、男性側の精液所見など、不妊原因全体を確認してもらいましょう。
京都で不妊治療を検討している方は、ホルモン値だけで判断するのではなく、夫婦双方の状態を確認し、年齢や不妊原因を踏まえて治療方法を提案してくれるクリニックへ相談することが大切です。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf