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不妊検査で子宮卵管造影を受け、「卵管が詰まっています」と言われると、「自然妊娠できないの?」「すぐに体外受精が必要?」と不安になる方もいるでしょう。
卵管は、卵巣から排卵された卵子を取り込み、精子と受精する場所となり、その後の受精卵を子宮まで運ぶ重要な器官です。
卵管閉塞とは、この卵管の一部がふさがっている状態です。卵子と精子が出会えなかったり、受精卵が子宮へ移動しにくくなったりすることで、不妊の原因になります。
ただし、卵管閉塞があるからといって、必ず自然妊娠できないわけではありません。
片側だけが閉塞しており、反対側の卵管が正常に機能していれば、自然妊娠できる可能性があります。一方、両側の卵管が完全に閉塞している場合には自然妊娠は難しく、卵管鏡下卵管形成術(FT)や体外受精などを検討します。
また、子宮卵管造影で「閉塞」と判定されても、特に子宮に近い卵管では、一時的な筋肉のけいれんなどによって造影剤が通らなかった可能性があります。
そのため、一度の検査結果だけで「完全に詰まっている」と判断せず、閉塞している位置や原因、年齢、卵巣予備能、ほかの不妊原因などを確認することが重要です。
この記事では、卵管閉塞と不妊の関係、片側・両側閉塞による違い、主な原因、検査方法、FT・手術・体外受精などの治療法について解説します。
本記事は2026年9月時点の専門学会等の公開情報をもとに作成しています。卵管閉塞の診断や治療方針は、閉塞部位、卵管の状態、女性の年齢、卵巣予備能、男性側の精液所見などによって異なります。検査結果だけで自己判断せず、医師へ相談してください。
卵管閉塞とは、卵巣と子宮をつなぐ卵管の一部がふさがり、卵子・精子・受精卵が正常に通過しにくくなっている状態です。
| 確認したいこと | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 卵管閉塞とは? | 卵管の一部がふさがり、卵子・精子・受精卵が通過しにくい状態 |
| 不妊になる? | 卵子と精子が出会えず、不妊の原因になる場合がある |
| 片側閉塞 | 反対側の卵管が正常なら自然妊娠できる可能性がある |
| 両側閉塞 | 完全閉塞では自然妊娠が難しく、FTや体外受精などを検討する |
| 主な原因 | クラミジア感染、子宮内膜症、骨盤内炎症、異所性妊娠、手術後の癒着など |
| 主な検査 | 子宮卵管造影(HSG)、超音波による卵管疎通性検査、選択的卵管通水など |
| 主な治療 | FT、腹腔鏡手術、体外受精など |
卵管は、単に卵巣と子宮をつなぐ管ではありません。
自然妊娠では、次のような役割を担っています。
卵巣から排卵
↓
卵管采が卵子を取り込む
↓
精子が子宮から卵管へ移動
↓
卵管内で卵子と精子が受精
↓
受精卵が卵管を通って子宮へ移動
↓
子宮内膜へ着床
このため、卵管に問題があると、排卵や精子形成が正常であっても妊娠しにくくなる場合があります。
卵管が完全に閉塞していると、精子が卵子まで到達できなくなります。
また、卵管周囲の癒着や卵管采の障害がある場合には、卵巣から排卵された卵子をうまく取り込めないこともあります。
日本産科婦人科学会では、卵管因子による不妊について、卵子を取り込む機能の障害、受精卵の輸送障害、卵管内環境の悪化などが関係するとしています。
左右2本ある卵管のうち、片側だけが閉塞している場合には、反対側の卵管が正常に機能していれば自然妊娠できる可能性があります。
そのため、「片側の卵管が詰まっている=自然妊娠できない」というわけではありません。
女性の年齢が若く、反対側の卵管に問題がなく、排卵や男性側の精液所見などにも大きな問題がなければ、タイミング法や人工授精から治療を始める場合もあります。
「卵管が1本しか使えないなら、妊娠率も50%になるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、片側閉塞だからといって妊娠率が単純に半分になるわけではありません。
妊娠の可能性には、次のようなさまざまな要因が関係します。
片側閉塞という情報だけから、個人の自然妊娠率を計算することはできません。
子宮卵管造影で造影剤が通過していても、卵管が持つすべての機能が正常であるとは限りません。
卵管の先端にある卵管采が卵子を取り込む機能や、卵管周囲の癒着などは、子宮卵管造影だけでは十分に分からない場合があります。
子宮内膜症や骨盤内手術歴などがあり、卵管周囲癒着が疑われる場合には、必要に応じて追加検査を検討します。
左右両方の卵管が完全に閉塞している場合には、精子が卵子まで到達する経路がなくなるため、自然妊娠は難しくなります。
ただし、「両側閉塞」と言われた場合も、どの部分が閉塞しているのか、検査結果が本当に器質的な閉塞を示しているのかを確認することが重要です。
特に、卵管の子宮に近い部分である「近位部」や「間質部」が閉塞しているように見える場合には注意が必要です。
子宮卵管造影では、子宮や卵管入口付近の筋肉が一時的に収縮したり、粘液などがあったりすることで、造影剤が卵管へ入らず「閉塞」のように見えることがあります。
ASRM(米国生殖医学会)が紹介している研究では、子宮卵管造影で近位部閉塞と判断された方の約60%で、1か月後の再検査では卵管の疎通が確認されています。
子宮卵管造影で「両側閉塞」と言われても、それだけで永久的・完全な閉塞と判断するとは限りません。
日本産科婦人科学会では、両側の卵管近位部閉塞と診断された場合には、次のような方法を検討するとしています。
どの方法が適しているかは、女性の年齢、卵巣予備能、閉塞部位、卵管の状態、男性側の精液所見などから判断します。
卵管障害の代表的な原因の一つが、クラミジア感染症です。
クラミジアが子宮頸管から子宮、卵管へ広がると、卵管炎を起こすことがあります。
炎症が治まった後も、卵管内や卵管周囲に癒着が残り、卵管が狭くなったり閉塞したりする場合があります。
クラミジア感染症では、感染していても強い症状が出ない場合があります。
そのため、過去に感染していたことに気づかないまま、妊娠を希望して不妊検査を受けたときに卵管障害が見つかるケースもあります。
一方、過去にクラミジアへ感染したことがあるからといって、必ず卵管閉塞になるわけではありません。
現在の卵管の状態は子宮卵管造影などで確認します。
子宮内膜症では、骨盤内で慢性的な炎症や癒着が起こることがあります。
卵管自体が閉塞していなくても、卵管や卵管采が周囲の組織と癒着することで、卵子を取り込む動きが妨げられる場合があります。
クラミジアや淋菌などの感染症が子宮・卵管などへ広がると、骨盤内炎症性疾患を起こすことがあります。
炎症が強い場合には、卵管内の癒着や卵管周囲癒着、卵管水腫などにつながる可能性があります。
異所性妊娠では、受精卵が子宮内膜ではなく卵管などへ着床します。
卵管妊娠そのものによって卵管が損傷している場合や、治療のために卵管を切除した場合には、将来の自然妊娠へ影響することがあります。
腹部や骨盤内の手術後に、組織同士がくっつく「癒着」が生じることがあります。
癒着が卵管周囲に生じると、卵管や卵管采の動きが妨げられ、卵子を取り込みにくくなる場合があります。
日本産科婦人科学会やASRMでも、異所性妊娠、子宮内膜症、骨盤内炎症、腹部・骨盤内手術歴などを卵管因子不妊に関係する背景として挙げています。
検査を行っても、卵管閉塞が起きた明確な原因を特定できない場合があります。
卵管閉塞が見つかったからといって、「生活習慣が悪かった」「自分の行動が原因だった」と考える必要はありません。
原因が明確でない場合も、現在の卵管の状態をもとに妊娠を目指す方法を検討します。
卵管閉塞があっても、月経は通常どおり来る場合があります。
排卵自体にも影響しないケースがあるため、妊娠を希望するまで卵管が閉塞していることに気づかない方もいます。
不妊検査で初めて子宮卵管造影を行い、卵管閉塞が分かることも珍しくありません。
卵管閉塞自体に症状がなくても、原因となっている疾患によって症状が現れる場合があります。
例えば、子宮内膜症があれば強い月経痛や骨盤痛、性交痛などを伴うことがあります。
骨盤内炎症がある場合には、下腹部痛や発熱などがみられるケースもあります。
月経は、主に卵巣から分泌されるホルモンと子宮内膜の変化によって起こります。
そのため、卵管が閉塞していても月経は通常どおり来る場合があります。
「毎月生理があるから卵管には問題がない」と判断することはできません。
卵管の通過性を調べる代表的な検査が、子宮卵管造影(HSG:Hysterosalpingography)です。
子宮頸管から子宮内へ造影剤を注入し、X線などで造影剤の流れを確認します。
正常に卵管が通っている場合は、造影剤が子宮腔から左右の卵管を通り、卵管の先端から腹腔内へ流れます。
一方、途中で造影剤が止まる場合には、その場所の卵管閉塞や狭窄が疑われます。
ASRMでは、HSGを卵管疎通性を評価する標準的な第一選択検査としています。
子宮卵管造影では、単に「通っているかどうか」だけでなく、どの位置で造影剤が止まっているのかを確認します。
卵管閉塞は、大きく次のように分けて考えます。
閉塞している部位によって、FTが適しているか、腹腔鏡手術を検討するか、体外受精を選ぶかなど治療方法が変わります。
HSGは重要な検査ですが、100%正確に卵管閉塞を診断できるものではありません。
特に両側近位部閉塞の所見がみられた場合には、子宮筋の一時的な収縮やカテーテルの位置などによって、実際には通っている卵管が閉塞しているように見える場合があります。
そのため、必要に応じて再検査や選択的卵管通水などを行います。
超音波を使って卵管の通過性を確認する検査もあります。
子宮内へ造影用の液体などを注入し、経腟超音波で卵管を通過する様子を確認する方法で、HyCoSyなどと呼ばれます。
X線による被ばくがないという特徴があります。
使用する造影剤や検査方法は医療機関によって異なります。
子宮に近い卵管部分の閉塞が疑われる場合には、卵管の入口へ細いカテーテルを挿入して、左右それぞれの卵管へ液体を流す選択的卵管通水を行うことがあります。
一時的なけいれんなどによる閉塞なのか、本当に卵管がふさがっているのかを判断する材料になります。
子宮内膜症や卵管周囲癒着などが疑われる場合には、腹腔鏡を用いて骨盤内を直接確認することがあります。
腹腔鏡では、卵管だけでなく、卵管采、卵巣、子宮内膜症病変、周囲の癒着などを確認できます。
必要に応じて、そのまま癒着剥離などの治療を行うこともあります。
子宮に近い卵管の入口付近は、筋肉の収縮などによって一時的に閉じることがあります。
また、粘液や検査時のカテーテル位置などによって、造影剤が入りにくくなる場合もあります。
そのため、HSGで近位部閉塞の所見があったからといって、必ず器質的に卵管が詰まっているとは限りません。
ASRMが紹介する研究では、HSGで近位部閉塞と診断された方の約60%で、約1か月後の再検査では卵管の疎通が確認されました。
日本産科婦人科学会も、卵管間質部閉塞の所見が得られた場合には、まず機能的な閉鎖を除外するよう推奨しています。
「卵管造影で閉塞と言われた=卵管が完全にふさがっていて治らない」とすぐに考える必要はありません。
特に両側近位部閉塞が疑われる場合には、再度HSGを行ったり、子宮鏡下選択的卵管通水や卵管カテーテルによる評価を行ったりします。
閉塞が確認された場合には、その後FTや体外受精などを検討します。
子宮卵管造影では、子宮内へ造影剤を注入するため、下腹部に月経痛のような痛みを感じることがあります。
特に卵管へ造影剤が通りにくい場合などには、圧迫感や痛みを強く感じることがあります。
子宮卵管造影の痛みは全員同じではありません。
卵管の状態、子宮頸管の状態、造影剤の注入速度などによっても異なります。
ほとんど痛みを感じない方もいれば、強い月経痛のような痛みを感じる方もいます。
医療機関によっては、検査前に鎮痛薬を使用する場合があります。
痛みに強い不安がある場合は、予約時や検査前にどのような痛み対策を行っているか確認しておきましょう。
子宮卵管造影では造影剤を卵管へ流すため、検査後しばらくの期間に妊娠率が高くなる可能性が報告されています。
日本産婦人科医会でも、HSG後の数か月間で妊娠しやすくなる場合があることを紹介しています。
軽い粘液栓などによって卵管が通りにくくなっていた場合には、造影剤を流すことで疎通する可能性があります。
一方、炎症後の強い線維化や癒着などによって器質的に閉塞している卵管を、HSGだけで治療できるわけではありません。
子宮卵管造影を「卵管の詰まりを必ず治す検査」と考えないことが大切です。
卵管閉塞の治療方法は、片側・両側のどちらか、閉塞している場所、卵管の状態、女性の年齢などによって異なります。
| 卵管の状態 | 主な治療の考え方 |
|---|---|
| 片側閉塞・反対側正常 | 自然妊娠・タイミング法・人工授精を検討できる場合がある |
| 一時的な近位部閉塞が疑われる | 再検査や選択的卵管通水などを検討 |
| 両側近位部閉塞 | FTまたは体外受精などを検討 |
| 卵管周囲・卵管采癒着 | 腹腔鏡による癒着剥離・卵管形成術を検討する場合がある |
| 高度な両側卵管障害 | 体外受精を優先する場合がある |
| 卵管水腫 | 体外受精前に卵管への手術を検討する場合がある |
卵管鏡下卵管形成術(FT:Falloposcopic Tuboplasty)は、主に子宮に近い卵管部分の閉塞・狭窄に対して行われる治療です。
子宮側から卵管へ細いカテーテルを挿入し、バルーンなどを使って閉塞・狭窄している部分の疎通を図ります。
日本産科婦人科学会では、両側近位部閉塞と診断された場合の治療選択肢として、FTまたは体外受精などを挙げています。
FTによって卵管が開通すれば、その後タイミング法や人工授精などで自然に近い形の妊娠を目指せる可能性があります。
日本産婦人科医会では、FT後の妊娠率について約30%との報告を紹介しています。
ただし、「FTを受ければ30%の確率で必ず妊娠できる」という意味ではありません。
女性の年齢、卵巣予備能、卵管の機能、男性側の精液所見などによって妊娠の可能性は異なります。
FTで卵管の疎通が得られても、時間が経つと再び閉塞する場合があります。
また、卵管が物理的に開通しても、卵子を取り込む機能や受精卵を運ぶ機能が完全に回復するとは限りません。
そのため、FT後に一定期間妊娠しない場合には、体外受精へのステップアップを検討します。
FT後は、卵管が開通した状態で自然妊娠や一般不妊治療を行い、妊娠を待つ期間が必要になります。
女性の年齢が高い場合や卵巣予備能が低下している場合には、この時間が妊娠可能性へ影響することがあります。
そのため、卵管を通すことだけを目標とせず、「妊娠までにどのくらい時間をかけられるか」も含めてFTと体外受精を比較することが重要です。
卵管は、単に内側が開通していれば正常というものではありません。
卵管の先端にある卵管采が卵巣の近くへ動いて排卵された卵子を取り込む必要があります。
卵管や卵巣が周囲の臓器と癒着していると、HSGでは卵管が通っていても、卵子を取り込みにくくなる場合があります。
日本産科婦人科学会では、卵管周囲癒着・卵管采癒着などが疑われる場合には、腹腔鏡などによる手術を選択肢としています。
軽度の癒着であれば、癒着を剥がしたり、卵管采周辺を形成したりすることで自然妊娠を目指せる場合があります。
卵管が強く癒着している、卵管が大きく拡張している、卵管内部の粘膜が著しく障害されているといった場合には、手術で卵管を開通させても正常な機能を取り戻すことが難しい場合があります。
このようなケースでは、体外受精を選択することがあります。
体外受精は、卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させ、成長した胚を子宮へ戻す治療です。
自然妊娠の場合は、卵子と精子が卵管内で出会う必要があります。
一方、体外受精では卵管内で受精する過程を体外で行います。
自然妊娠
卵巣から排卵
↓
卵管内で受精
↓
受精卵が子宮へ移動
体外受精
卵巣から採卵
↓
体外で受精・胚培養
↓
胚を子宮へ移植
そのため、左右両方の卵管が閉塞していても、卵巣から卵子を採取できれば体外受精によって妊娠を目指すことができます。
両側完全閉塞では自然妊娠は難しくなりますが、体外受精という選択肢があります。
そのため、「両側の卵管が詰まっている=子どもを持てない」という意味ではありません。
ASRMでは、卵管手術と体外受精のどちらを選ぶかについて、次のような要素を考慮することを勧めています。
比較的若く、ほかの不妊原因がなく、近位部閉塞でFTによる改善を期待できる場合にはFTを検討できます。
一方、年齢が高い、卵巣予備能が低い、高度な卵管障害や男性因子もあるといった場合には、早めに体外受精を選択することがあります。
卵管水腫とは、卵管の先端側が閉塞するなどして、卵管内部に液体がたまり拡張している状態です。
卵管閉塞の一つの形ですが、体外受精を行う場合には特に重要です。
卵管水腫にたまった液体が子宮内へ流れ込むと、胚や子宮内膜へ影響し、着床を妨げる可能性があります。
ASRMでは、卵管水腫がある女性では、体外受精における妊娠率・着床率・出産率が低下することを示しています。
超音波検査でも確認できるような卵管水腫があり、体外受精を予定している場合には、胚移植前に卵管切除や卵管の近位部閉鎖などを検討することがあります。
単純な卵管閉塞とは治療の考え方が異なるため、卵管水腫がある場合は詳しく状態を確認します。
異所性妊娠とは、受精卵が本来着床する子宮内膜ではなく、卵管などに着床する状態です。
卵管が狭くなっている、卵管機能が低下しているなどの場合には、受精卵が子宮まで正常に移動できず、卵管に着床する可能性があります。
FTや卵管形成術で卵管が開通しても、卵管の輸送機能まで完全に正常になるとは限りません。
ASRMがまとめた卵管カテーテル治療の研究でも、治療後の異所性妊娠が報告されています。
卵管疾患や異所性妊娠の既往がある方が妊娠した場合には、早い時期に医療機関を受診し、超音波検査などで胎嚢が子宮内にあることを確認することが重要です。
卵管閉塞の治療では、「卵管を通すこと」そのものではなく、最終的に妊娠・出産へつながる可能性を考えて治療方法を選びます。
| 状態 | 主な治療の考え方 |
|---|---|
| 片側閉塞+反対側正常 | タイミング法・人工授精などを検討できる場合がある |
| 両側近位部閉塞+比較的若い | FTを検討する |
| FT後も一定期間妊娠しない | 体外受精へのステップアップを検討 |
| 両側の高度卵管障害 | 体外受精を優先する場合がある |
| 年齢が高い・卵巣予備能が低い | 手術後に妊娠を待つより早期体外受精を検討する場合がある |
| 卵管水腫がある | 体外受精前に卵管への手術を検討する場合がある |
片側の卵管が正常で、女性の年齢が比較的若く、男性側にも大きな不妊原因がない場合には、タイミング法や人工授精を行うことがあります。
両側近位部閉塞では、FTで卵管を開通させて自然妊娠を目指す方法と、卵管を使用せず体外受精へ進む方法があります。
「どちらが正解」と一律に決めるものではありません。
年齢が若く、ほかの不妊原因がなく、自然妊娠を希望する場合にはFTを選択することがあります。
一方、女性の年齢、卵巣予備能、不妊期間などによっては、早めに体外受精を選択する方が妊娠までの時間を短縮できる場合があります。
卵管閉塞が見つかると、卵管だけに目が向きやすくなります。
しかし、不妊には複数の原因が同時に存在する場合があります。
女性側では排卵、卵巣予備能、子宮の状態などを確認し、男性側も精液検査を行いましょう。
特に近位部の卵管閉塞では、子宮筋の一時的な収縮などによる偽陽性があります。
HSGの画像だけを見て「両側閉塞だからすぐ体外受精」と判断するのではなく、必要に応じて再検査や選択的卵管通水などを提案してくれる医療機関か確認しましょう。
「卵管が詰まっている」という情報だけでは、適した治療を判断できません。
近位部閉塞なのか、遠位部閉塞なのか、卵管采や卵管周囲の癒着があるのか、卵管水腫を伴っているのかなどを確認することが重要です。
FTには自然妊娠を目指せるメリットがありますが、治療後に妊娠を待つ時間が必要です。
体外受精では卵管を使用せず妊娠を目指せますが、採卵など女性側への負担があります。
どちらか一方を機械的に勧めるのではなく、年齢、卵巣予備能、不妊期間、ほかの不妊原因から比較してくれる医療機関を選びましょう。
遠位部閉塞や卵管水腫、骨盤内癒着などでは、腹腔鏡手術が必要になる場合があります。
自院で対応できない場合にも、必要な手術ができる専門施設へ紹介・連携できるか確認しましょう。
卵管閉塞が見つかったとしても、それだけが不妊原因とは限りません。
年齢、卵巣予備能、排卵、子宮の状態、男性側の精液所見なども確認し、夫婦全体の治療方針を考えてくれることが重要です。
A.妊娠できる場合があります。
片側だけが閉塞しており反対側の卵管が正常であれば、自然妊娠できる可能性があります。
両側が完全閉塞している場合は自然妊娠は難しくなりますが、FTや体外受精などによって妊娠を目指せます。
A.単純に半分になるとは言えません。
女性の年齢、排卵、反対側の卵管機能、卵管周囲癒着、精液所見などさまざまな要素が妊娠の可能性へ影響します。
A.体外受精では卵管を使わずに卵子と精子を受精させるため、両側卵管閉塞があっても妊娠を目指すことができます。
ただし、卵管水腫を伴っている場合には胚移植前に卵管への治療を検討する場合があります。
A.必ずしも確定とは限りません。
特に近位部閉塞では、子宮や卵管入口付近の筋肉が一時的に収縮していることで、造影剤が入らない場合があります。
必要に応じて再検査や選択的卵管通水などを行います。
A.軽い粘液栓などによって卵管が通りにくくなっていた場合には、造影剤を流すことで疎通する可能性があります。
また、HSG後に妊娠率が高くなることも報告されています。
一方、強い癒着や線維化による器質的な閉塞がHSGだけで治るわけではありません。
A.必ずではありません。
クラミジア感染は卵管炎や骨盤内炎症を起こし、卵管閉塞・癒着につながる場合がありますが、感染した方全員に卵管閉塞が起こるわけではありません。
A.卵管閉塞そのものには自覚症状がない場合が多くあります。
月経も排卵も通常どおりあり、不妊検査を受けて初めて分かる方もいます。
A.炎症後の癒着や線維化などによって物理的に閉塞した卵管を、薬だけで開通させる一般的な治療はありません。
現在クラミジアなどの感染症があれば感染への治療は必要ですが、閉塞そのものについてはFT、手術、体外受精などを検討します。
A.FTによって卵管が開通し、自然妊娠できる場合があります。
日本産婦人科医会では、FT後の妊娠率について約30%との報告を紹介しています。
ただし、この数字は個人の妊娠確率を保証するものではありません。
年齢、卵巣予備能、精液所見、卵管機能などによって異なります。
A.一律にどちらがよいとは言えません。
比較的若く、近位部閉塞以外に大きな不妊原因がない場合にはFTで自然妊娠を目指すことがあります。
一方、女性の年齢が高い、卵巣予備能が低い、不妊期間が長い、男性因子などもある場合には、妊娠までの時間を考えて体外受精を優先することがあります。
A.卵管に障害がある方や卵管形成術後では、異所性妊娠に注意が必要です。
妊娠反応が陽性になったら早めに医療機関を受診し、超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できるかを見てもらいましょう。
卵管は、卵巣から排卵された卵子を取り込み、精子と受精し、受精卵を子宮へ運ぶ重要な器官です。
卵管閉塞があると卵子と精子が出会いにくくなり、不妊の原因になることがあります。
ただし、「卵管閉塞=自然妊娠できない」というわけではありません。
片側だけが閉塞しており、反対側の卵管が正常であれば自然妊娠できる可能性があります。
両側が完全に閉塞している場合には自然妊娠は難しくなりますが、FTによって卵管の疎通を図ったり、体外受精によって卵管を使用せず妊娠を目指したりする方法があります。
また、子宮卵管造影で「閉塞」と判定された場合でも、特に近位部では一時的な筋肉の収縮などによる偽陽性があるため、必要に応じて再検査や選択的卵管通水などを行います。
卵管閉塞の主な原因には、クラミジア感染、子宮内膜症、骨盤内炎症、異所性妊娠、手術後の癒着などがあります。
治療では、近位部閉塞であればFT、卵管周囲癒着・卵管采癒着では腹腔鏡手術、高度な卵管障害では体外受精などを検討します。
卵管水腫を伴う場合には、体外受精の成績へ影響する可能性があるため、胚移植前に卵管への手術が必要になる場合があります。
そして、治療方法を選ぶ際に重要なのは、卵管が通るかどうかだけではありません。
女性の年齢、卵巣予備能、不妊期間、男性側の精液所見などを確認し、「卵管を治療する時間」と「妊娠を目指す時間」のバランスを考えることが大切です。
京都で不妊治療を検討している方は、子宮卵管造影の結果だけで治療を決めず、閉塞部位や卵管水腫・癒着の有無まで評価し、FT・手術・体外受精を比較して治療方針を提案してくれる医療機関へ相談しましょう。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf