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初めて人工授精を受けることになり、「当日は何時に採精する?」「精子を持って行ったらすぐ人工授精する?」「処置は痛い?」「一日仕事を休んだ方がいい?」など、当日の流れが分からず不安に感じている方もいるでしょう。
人工授精(AIH)は、採取した精液を調整し、排卵時期に合わせてカテーテルで子宮内へ注入する治療です。
一般的な人工授精当日の流れは、
STEP1 採精
↓
STEP2 精液をクリニックへ提出
↓
STEP3 精液を洗浄・調整
↓
STEP4 本人確認・必要に応じて診察
↓
STEP5 カテーテルで調整した精子を子宮内へ注入
↓
STEP6 必要に応じて短時間休憩
↓
STEP7 薬・次回受診・妊娠判定について確認
↓
帰宅
という順番で進みます。
日本産婦人科医会では、人工授精を「精液から運動性良好精子を回収し、排卵期の子宮腔に注入する手技」と説明しています。
人工授精そのものは比較的短時間の処置ですが、採取した精液を洗浄・調整する時間が必要なため、「精液を提出したらすぐ人工授精」というわけではありません。
また、自宅で採精するか院内で採精するか、精液を何時までに持参するか、処置前後にどの程度待機するかなどはクリニックによって異なります。
この記事では、人工授精当日の採精から精子調整、処置、帰宅までの一般的な流れと、初めて人工授精を受ける方が事前に確認しておきたいポイントを解説します。
本記事は2026年10月時点で確認できる日本産婦人科医会・生殖医療関連学会・医療機関等の公開情報をもとに作成しています。人工授精当日の採精方法、禁欲期間、精液の持参条件、処置時間、薬の使用、処置後の過ごし方などは医療機関や治療周期によって異なります。実際の治療では通院先の指示を優先してください。
まずは人工授精当日の全体像を確認しましょう。
| 順番 | 当日の流れ | 主に行うこと |
|---|---|---|
| 1 | 採精 | 自宅または院内で精液を採取 |
| 2 | 精液を提出 | 指定された時間・方法でクリニックへ提出 |
| 3 | 精液を調整 | 洗浄・濃縮などにより人工授精に用いる精子を調整 |
| 4 | 本人確認・診察 | 本人・検体確認、必要に応じて超音波検査等 |
| 5 | 人工授精 | カテーテルで調整した精子を子宮内へ注入 |
| 6 | 処置後 | 必要に応じて短時間休憩 |
| 7 | 説明 | 薬、次回受診、妊娠判定等を確認 |
| 8 | 帰宅 | 体調に問題がなければ帰宅 |
実際の順番や待ち時間はクリニックによって異なります。
初回は特に、「人工授精の予約時間」だけでなく、「精液を提出する時間」と「女性が来院する時間」まで確認しておくと当日の予定を立てやすくなります。
人工授精に使用する精子は、一般的に治療当日に採取します。
採精方法はクリニックによって異なり、
などがあります。
例えば京都の足立病院 生殖医療センターでは、人工授精当日に自宅で専用容器へ採精し、持参する流れを案内しています。
院内採精を希望する場合には予約や利用条件がある可能性もあるため、事前に確認しましょう。
自宅で採精する場合には、クリニックから渡された採精容器など、指定されたものを使用します。
別の容器へ採取してから移し替えたり、市販の容器や通常のコンドームを自己判断で使用したりせず、通院先から説明された方法に従いましょう。
人工授精前には、一定期間の禁欲を指示される場合があります。
日本産婦人科医会の人工授精に関する解説や国内医療機関では2~3日程度を案内する例がありますが、適切な期間は精液所見や施設方針によって異なる場合があります。
「必ず○日」と自己判断せず、人工授精を予約した際に禁欲期間も確認してください。
採精時に精液の一部が容器外へ出てしまう場合もあります。
その場合には「少しだから問題ないだろう」と自己判断せず、精液を提出するときにスタッフへ伝えましょう。
採取状況は精液所見を評価するときにも重要な情報になります。
自宅採精の場合には、採取した精液を指定された時間までにクリニックへ届けます。
採精から提出までに許容される時間は、クリニックの運用によって異なります。
そのため、
「何時に採精して、何時までに提出すればよいですか?」
と事前に確認しましょう。
精液は温度変化などの影響を受ける可能性があります。
一方、患者自身の判断で、
といった対応を行うのは避け、クリニックから指定された持参方法に従いましょう。
精液提出時に採精時刻を確認される場合があります。
容器や所定の用紙へ記載するよう指示されている場合には、採精後に時刻を記録しておくとスムーズです。
精液を提出する際には、
などを確認される場合があります。
生殖医療では、患者本人と精子検体を確実に照合することが非常に重要です。
ASRMの人工授精手順でも、処置前に患者情報と精子検体の識別情報を照合することが示されています。
人工授精当日に夫婦そろって来院しなければならないかは施設によって異なります。
例えば、
といった運用が可能な施設もあります。
一方、同意確認などのため夫婦双方の手続きが必要な場合もあります。
仕事の予定を調整する前に、「当日は夫婦2人とも来院する必要がありますか?」と確認するとよいでしょう。
人工授精では、採取した精液をそのまま子宮内へ注入するわけではありません。
日本産婦人科医会では、人工授精を、精液から運動性の良い精子を回収し、排卵期の子宮腔内へ注入する手技としています。
保険診療上も、精子調整を行ったうえで人工授精を実施します。
採取された精液には、精子だけでなく精漿やその他の細胞なども含まれています。
人工授精では精液を処理し、
といった処理を行います。
ASRMでも、子宮内人工授精に使用する精液について、運動精子を回収・濃縮し、精漿などを除去する精子調整を行うことを示しています。
精子の洗浄・調整には、密度勾配遠心法など複数の方法があります。
使用する方法や精液所見、施設の運用によって処理時間は異なります。
そのため、精液を受付へ提出した直後に人工授精を行うのではなく、精子調整が終わるまで待ち時間が発生するのが一般的です。
精子調整には時間が必要なため、精液提出から人工授精まで間が空くことがあります。
その間、
など、施設によって対応が異なります。
仕事の合間に通院する場合には、
「精液を提出してから人工授精まで、どの程度時間が空きますか?外出できますか?」
と事前に確認しておくと予定を立てやすくなります。
人工授精では、精子を子宮内へ注入するタイミングも重要です。
治療前には超音波検査などによって卵胞の発育状況を確認し、排卵時期を予測したうえで人工授精を行う日を決めます。
日本産婦人科医会では、人工授精は排卵日に行うことが望ましいとしながら、一定の範囲で排卵前後にも妊娠が期待できるとしています。
人工授精当日に、もう一度超音波検査をして卵胞の状態や排卵を確認する施設もあります。
一方、数日前の診察で実施日が決定しており、当日は人工授精の処置のみ行う施設もあります。
人工授精は、自然に排卵する周期で行う場合と、排卵誘発剤などを使用する周期があります。
薬を使用するかは、排卵状況、不妊原因、これまでの治療歴などによって異なります。
また、排卵誘発によって複数の卵胞が発育する場合には多胎妊娠のリスクも考慮する必要があります。
人工授精は、一般的に婦人科の内診台などで行います。
処置の基本的な流れは、
というものです。
日本産婦人科医会でも、調整した精子浮遊液を専用のカテーテルで子宮腔内へ注入する手技として説明しています。
精子調整には一定の時間が必要ですが、カテーテルを挿入して精子を注入する処置そのものは、一般的には長時間かかるものではありません。
ただし、子宮頸管の状態などによってカテーテルが入りにくい場合には、通常より時間がかかることがあります。
「精液提出から帰宅までの時間」と「人工授精そのものの処置時間」は分けて考えましょう。
人工授精では細いカテーテルを使用するため、強い痛みを伴わないことが多い治療です。
一方、
などを感じる場合があります。
子宮頸管が狭い場合や子宮の向きなどによって、カテーテルが入りにくいこともあります。
「人工授精は絶対に痛くない」とは限らないため、不安が強い場合や過去の内診・処置で強い痛みがあった場合には、事前に医師へ伝えておきましょう。
一般的な人工授精では、通常は麻酔を行わずに処置します。
個別の状態によって対応が異なる可能性があるため、痛みへの不安が強い方は通院先へ相談してください。
人工授精後に数分程度内診台やベッドで休んでから帰宅する施設があります。
一方で、長時間の安静を必要としない運用の施設もあります。
ASRMの人工授精手順では、処置後5~10分程度休むことを任意の対応として示しています。
したがって、「人工授精後は30分・1時間横にならないと妊娠しにくくなる」と一律に考える必要はありません。
人工授精後に立ち上がった際、腟から液体が出たように感じることがあります。
人工授精では調整した精子をカテーテルで子宮腔内へ注入しています。
処置後に腟から分泌物などが出たとしても、
「入れた精子が全部出てしまったから人工授精が無駄になった」
と自己判断する必要はありません。
人工授精後には、治療周期や施設方針などによって黄体ホルモンを補充する場合があります。
薬の方法には、
などがありますが、全員が黄体ホルモン補充を受けるわけではありません。
処方された場合には、使用開始日・使用期間を確認しましょう。
人工授精後は、指定された時期に妊娠判定を行います。
妊娠検査薬を使用する時期や、クリニックで血液検査・尿検査を行う時期は施設によって異なるため、
「妊娠判定はいつ行いますか?」
と確認してください。
今回妊娠しなかった場合に次周期も人工授精を行うのであれば、月経何日目に受診するかなどを説明される場合があります。
次の治療予定まで確認してから帰宅すると安心です。
人工授精は入院を必要とする治療ではありません。
処置後に体調が安定していれば、そのまま日常生活へ戻れる場合が多くあります。
そのため、「人工授精の日は必ず一日仕事を休まなければならない」というものではありません。
当日のスケジュールを考える際に注意したいのは、人工授精そのものの処置時間より、
採精
↓
精液提出
↓
精子調整
↓
診察・待機
↓
人工授精
という一連の流れに時間がかかることです。
施設によっては精液提出と人工授精の予約時間が分かれている場合もあります。
仕事の前後に通院したい場合には、
を確認しましょう。
初回は時間が読みにくいため、できる範囲で余裕のある予定にしておくと安心です。
人工授精当日の持ち物としては、施設によって、
などが必要になる場合があります。
予約時にもらった案内やクリニックの公式サイトを確認しましょう。
人工授精では内診台へ上がるため、着替えやすい服装を選ぶとスムーズです。
スカートでなければ治療できないという意味ではありません。
自分が着脱しやすい服装で受診しましょう。
自宅採精を予定している場合には、前日までに専用容器の場所を確認しておくと安心です。
人工授精は一般的には麻酔を必要としない外来処置ですが、同日に別の検査や処置が予定されている場合もあります。
食事制限について特別な指示があるか、事前の案内を確認してください。
不妊治療以外も含めて薬を服用している場合には、人工授精当日に服用してよいか心配になることがあります。
自己判断で薬を中断せず、治療前に医師や薬剤師へ確認しましょう。
処置後の体調に問題がなく、通院先から特別な指示がなければ、通常の生活へ戻れる場合が多くあります。
ただし、下腹部痛などがある場合には無理をせず休みましょう。
人工授精後の運動についても、一律の制限ではなく治療内容・体調に応じた指示を確認します。
特に排卵誘発剤を使用し複数の卵胞が発育している場合などは、医師から個別の指示が出ることがあります。
入浴・シャワーについては通院先の指示を確認してください。
人工授精当日の生活制限を自己判断で必要以上に増やす必要はありません。
人工授精当日の性交については、治療方針や排卵誘発の状況などによって医師の指示が異なる場合があります。
「人工授精後は必ず性交した方がよい」「性交してはいけない」と一律に考えず、通院先へ確認しましょう。
人工授精では腟鏡やカテーテルを使用するため、処置後に少量の出血や軽い下腹部痛・違和感を感じる場合があります。
ASRMの人工授精手順でも、処置後に少量の出血や腹部のけいれん様症状がみられる場合があるとしています。
一方、
など、体調に異常を感じた場合には、通院先へ相談してください。
「人工授精後だから大丈夫」と自己判断せず、気になる症状がある場合は医療機関へ確認しましょう。
人工授精当日に必要な時間を考える際には、「処置そのものの時間」と「採精・精子調整・待機を含めた総所要時間」を分けることが重要です。
| 工程 | 所要時間の考え方 |
|---|---|
| 採精 | 自宅採精・院内採精で異なる |
| 精液提出 | 施設が指定した時間に提出 |
| 精子調整 | 洗浄・濃縮などに一定の時間が必要 |
| 診察・待機 | 診察内容や混雑状況によって異なる |
| 人工授精 | 処置自体は比較的短時間 |
| 処置後 | 施設によって短時間休憩する場合がある |
「人工授精の処置は短時間だから、来院してすぐ帰れる」とは限りません。
仕事や予定を調整する場合には、予約時間だけでなく、精液提出から帰宅までのおおよその時間をクリニックへ確認しましょう。
特に「精液提出時間」と「人工授精の処置時間」が同じとは限らないため、初回は両方を確認しておくことをおすすめします。
A.夫婦2人での来院が必要かはクリニックによって異なります。
自宅で採精した精液を妻が持参できる施設や、夫が精液だけ提出して妻が後から来院できる施設もあります。
同意確認などの手続きも含めて予約時に確認してください。
A.自宅採精に対応しているクリニックがあります。
ただし、専用容器、採精から提出までの時間、運搬方法などについて施設ごとのルールがあります。
通院先の指示に従いましょう。
A.通常は、精液を洗浄・調整して人工授精に使用する精子を準備する時間が必要です。
そのため、精液提出から処置まで待ち時間が発生します。
A.カテーテルで精子を注入する処置そのものは、一般的には長時間かかる治療ではありません。
ただし、精子調整・診察・待機を含めた総所要時間はクリニックによって異なります。
A.強い痛みを感じない方も多いですが、腟鏡・カテーテルを挿入するときの違和感や軽い痛みを感じる場合があります。
痛みの感じ方には個人差があります。
A.一般的な人工授精では、通常は麻酔を必要としないことが多いです。
個別の状況については通院先へ確認してください。
A.人工授精では調整した精子をカテーテルで子宮腔内へ注入します。
長時間安静にしていなければならないとは限らず、施設によっては処置後に数分程度休んで帰宅します。
立ち上がった後に液体が出たように感じても、「精子がすべて流れ出た」と自己判断する必要はありません。
A.体調に問題がなければ通常の生活へ戻れる場合が多く、必ず一日休む必要があるとは限りません。
一方、精子調整や待ち時間を含めると一定の通院時間が必要です。
初回は通院先へ総所要時間を確認して予定を立てましょう。
A.カテーテルなどの刺激により、少量の出血がみられる場合があります。
ただし、出血量が多い、強い腹痛や発熱があるなど、気になる症状がある場合には医療機関へ相談してください。
人工授精当日は、一般的に、
採精
↓
精液提出
↓
精子の洗浄・調整
↓
本人確認・必要に応じて診察
↓
カテーテルで子宮内へ精子を注入
↓
必要に応じて短時間休憩
↓
薬・次回受診等の説明
↓
帰宅
という流れで進みます。
人工授精では、採取した精液をそのまま子宮へ注入するわけではありません。
精液から運動性のある精子を回収・調整したうえで、排卵時期に合わせてカテーテルで子宮内へ注入します。
人工授精そのものは比較的短時間の処置ですが、精子の洗浄・調整には一定の時間が必要です。
そのため、人工授精当日の予定を考えるときは「処置に何分かかるか」だけではなく、「精液を何時に提出し、人工授精が何時ごろになり、何時ごろ帰宅できるか」まで確認することが大切です。
また、
については施設や治療周期によって異なります。
初めて人工授精を受ける場合には、前日までに当日の流れを確認し、採精容器や必要書類を準備しておきましょう。
人工授精後に体調が安定していれば、通常の生活へ戻れる場合が多くあります。一方、強い腹痛、多量の出血、発熱など気になる症状がある場合には、通院先へ相談してください。
初めての人工授精では、治療内容そのものだけでなく「夫はいつ採精するのか」「女性は何時に来院するのか」「精液提出から処置までどれくらい待つのか」を事前に確認しておくことで、当日の不安を減らしやすくなります。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf