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体外受精で結果が出ないとき転院を考える目安

公開日: |最終更新日時:

目次

「初めての採卵でほとんど卵子が採れなかった」「採卵はできるのに受精しない」「何度採卵しても胚盤胞にならない」「胚移植を繰り返しても妊娠しない」といった結果が続くと、「別のクリニックなら結果が変わるのでは?」と転院を考える方もいるでしょう。

しかし、体外受精で結果が出なかったからといって、すぐに転院した方がよいとは限りません。

体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)には、

卵巣刺激
↓
採卵
↓
卵子の成熟
↓
受精
↓
胚培養
↓
胚盤胞・凍結
↓
胚移植
↓
着床・妊娠

と複数の工程があります。

同じ「体外受精で結果が出なかった」というケースでも、採卵数が少なかった方と、複数の胚盤胞を移植しても妊娠しなかった方では、確認すべき内容が異なります。

そのため、転院を考える際には「IVFを何回失敗したか」だけを見るのではなく、どの工程でどのような結果が続いているのか、その結果を現在の医師がどう評価し、次周期へどう反映しているのかを確認することが大切です。

現在の施設で結果を振り返り、次の治療方針や見直す条件が明確になっているのであれば、そのまま治療を続ける選択肢があります。

一方、同じ結果が続いているものの次の方針が分からない、現在の施設では必要な治療・専門診療へ対応できない、別の治療方法についても意見を聞きたい場合には、セカンドオピニオンや転院を検討できます。

この記事では、体外受精で結果が出ないときに転院を考える目安を、採卵・成熟・受精・胚培養・胚移植などの工程別に解説します。

本記事は2026年10月時点で確認できる専門学会等の公開情報をもとに作成しています。体外受精の結果には、女性年齢、卵巣予備能、不妊原因、精液所見、これまでの治療歴など複数の要因が関係します。転院や特定の検査・治療によって妊娠率が必ず改善するわけではありません。現在の治療結果について疑問がある場合には、まず主治医へ結果の評価と次の治療方針を確認しましょう。

体外受精は何回失敗したら転院する?

全員共通の「○回」という転院基準はない

体外受精について、「何回失敗したら転院した方がよい?」と考える方もいるでしょう。

しかし、すべての方に共通する「IVFを○回したら転院」という基準はありません。

例えば、

  • 体外受精を1回行って妊娠しなかった
  • 採卵を2回行った
  • 胚移植を複数回行った

という回数だけでは、現在のクリニックが適しているかを判断できません。

同じ「体外受精がうまくいかなかった」でも内容は違う

例えば、次の2つはどちらも「妊娠には至っていない」体外受精ですが、課題は異なります。

採卵 成熟卵 正常受精 胚盤胞 結果
ケースA 5個 4個 3個 2個 移植後陰性
ケースB 5個 4個 0個 0個 移植まで進めず

ケースAでは胚移植後の評価が中心になりますが、ケースBでは受精方法や卵子・精子側の評価などを確認する必要があります。

そのため、「IVF2回失敗」などと一括りにせず、工程ごとに結果を振り返ることが重要です。

転院判断で見るべきなのは「次周期へのフィードバック」

結果が思わしくなかったときには、次の点を確認しましょう。

  • 今回の結果を医師はどのように評価しているか
  • 次周期では何を変更するのか
  • 変更しない場合、その理由は何か
  • 次回も同じ結果だった場合は何を検討するのか

「結果が出なかったから転院する」のではなく、「今回の結果から次の一手が見えているか」で考えるのがポイントです。

まず体外受精のどこで結果が出ていないか整理する

体外受精の結果を振り返る際には、次のように工程ごとに分けて整理してみましょう。

IVFの工程 結果が出ていない例 確認したいこと
卵巣刺激 卵胞が十分育たない AMH・AFC・過去の卵巣反応
採卵 採卵数が少ない・卵子が採れない 刺激法・卵胞発育・採卵結果
成熟 未成熟卵が多い 採卵までの経過・成熟卵数
受精 正常受精しない IVF・ICSI、卵子・精子側の評価
胚培養 途中で胚発育が止まる 何日目・どの段階で停止したか
胚盤胞 胚盤胞にならない 複数周期で同じ傾向があるか
凍結 凍結できる胚が得られない 発育段階・胚の評価
胚移植 妊娠反応が出ない 胚側・子宮側などの評価
妊娠後 妊娠が継続しない 着床不成功と流産を分けて評価

「体外受精の成績が悪い」とまとめず、どこまで進めているのかを整理することで、現在の治療を続けるか、別の意見を聞くかを判断しやすくなります。

体外受精で転院・セカンドオピニオンを考えたい8つの目安

現在の状況 まず確認したいこと
同じ工程で同じ結果が複数周期続く 次回何を変更する予定か
治療結果について説明を受けられていない どこに課題があると考えているか
結果が変わっても治療方針がほぼ同じ 同じ方法を続ける理由
必要な治療に現在の施設が対応していない 他施設への紹介が必要か
男性側の専門評価が必要 男性不妊診療と連携できるか
追加検査・治療が増えている 結果によって治療方針が変わるか
年齢を踏まえた治療計画が見えない 今後1~6カ月の治療予定
治療方針への納得感がなくなっている 別の医師の意見を聞く必要があるか

①同じ工程で同じ結果が複数周期続いている

例えば、

  • 毎回採卵できる卵子が少ない
  • 成熟卵が少ない状態が続く
  • 毎回正常受精が少ない
  • 何度採卵しても胚盤胞にならない
  • 胚移植を繰り返しても妊娠反応がない

などです。

同じ結果が続いたからといって必ず転院すべきという意味ではありません。

確認したいのは、その結果を医師がどう評価し、次周期に何を反映しているのかです。

②今回の結果について十分な説明を受けられていない

採卵・培養・胚移植の結果が思わしくなかった場合には、「今回は残念でした。また同じ方法で行いましょう」だけではなく、

  • 今回どこまで順調に進んだのか
  • どの工程に課題があったと考えるのか
  • 次回は何を変更するのか

を確認しましょう。

まず現在の医師へ質問し、それでも治療結果や今後の方針を理解できない場合には、セカンドオピニオンを利用する方法があります。

③結果が変わっても治療方針がほぼ同じ

次周期も同じ卵巣刺激法、同じ受精方法になるからといって、それだけで治療が適切ではないとは言えません。

過去の反応を踏まえ、同じ方法を続けることが妥当と判断される場合もあります。

重要なのは、

「今回の結果を踏まえても、次回この方法を続ける理由は何ですか?」

と確認し、その理由を理解できるかどうかです。

④現在の施設では次に必要な治療へ対応できない

ART施設によって対応範囲は異なります。

例えば、

  • 男性不妊の専門的な評価・手術が必要
  • 子宮内腔の治療が必要
  • 子宮内膜症などに対する手術が必要
  • 現在の施設では行っていない診療が必要

などの場合には、別施設との連携や紹介が必要になることがあります。

これは現在の施設の質が低いという意味ではなく、必要な医療の範囲が変わったため施設を変更するケースです。

⑤男性側の再評価が必要だが専門診療と連携できない

体外受精・顕微授精で結果が出ない場合も、女性側だけに原因を求めることはできません。

例えば、

  • 重度乏精子症
  • 無精子症
  • 精索静脈瘤
  • 射精障害
  • 男性ホルモン異常

などがある場合には、男性不妊を扱う泌尿器科で専門的な評価が必要になることがあります。

現在のART施設で対応できない場合には、男性不妊専門医と連携できるかを確認しましょう。

⑥追加検査・追加治療が増えているが目的が分からない

体外受精を繰り返して結果が出ないと、さまざまな追加検査や追加治療を提案されることがあります。

しかし、生殖医療で「アドオン」と呼ばれる追加検査・治療の中には、すべての患者へ日常的に行うだけの有効性が十分に確認されていないものもあります。

新しい検査・治療を提案された場合には、

  • 何を確認するためのものか
  • 自分の場合に行う理由は何か
  • 結果によって次の治療はどう変わるのか
  • 期待できる利益とリスクは何か

を確認しましょう。

「検査・治療の種類が多いクリニック=妊娠しやすいクリニック」とは限りません。

⑦年齢を踏まえた治療スケジュールが分からない

体外受精では、1回の採卵・胚移植だけでなく今後の時間軸も重要です。

例えば、

  • 次の採卵はいつ行うか
  • 追加採卵を何周期行う予定か
  • いつ胚移植へ進むのか
  • 凍結胚がある場合は移植と採卵のどちらを優先するのか
  • 3カ月後・半年後にどの治療段階へ進んでいる予定なのか

を確認します。

特に年齢が高い場合には、転院による初診・再検査などの期間も含めて判断することが大切です。

⑧治療方針に納得できない状態が続いている

ARTでは、卵巣刺激法、IVF・ICSIの選択、胚培養、追加採卵、胚移植など、多くの意思決定があります。

質問をしても治療を行う理由が分からず、今後の見通しについても共有できない状態が続く場合には、別の医師の意見を聞いてみる方法があります。

採卵数が少ない・採卵できない場合は転院すべき?

採卵数だけでクリニックの技術を評価しない

採卵できる卵子数には、

  • 女性の年齢
  • AMH
  • 胞状卵胞数(AFC)
  • 卵巣刺激への反応
  • これまでの治療歴

などが関係します。

そのため、採卵数が少なかったからといって、現在の施設の技術が低いとは判断できません。

また、転院すれば必ず採卵できる卵子数が増えるとも限りません。

前回の卵巣反応を次回へどう反映するか確認する

採卵数が少なかった場合には、

  • 刺激開始時のAFCはどうだったか
  • 刺激中に卵胞がどのように成長したか
  • 予想していた採卵数と実際の結果に差があったか
  • 次回の刺激法を変更する予定か
  • 次回も同じ方法ならその理由は何か

を確認します。

一度採卵できなかっただけで転院を決めない

採卵を行っても卵子を得られない、いわゆる空胞などが起こる場合があります。

一度の結果だけで転院を決めるのではなく、卵胞発育や採卵時の状況、次回の対策について確認しましょう。

採卵できても成熟卵が少ない場合は?

「採卵数」と「成熟卵数」を分けて確認する

採卵できた卵子がすべて成熟しているわけではありません。

例えば、10個採卵できても成熟卵が数個だった場合には、「10個採れた」という採卵数だけを見ず、成熟卵数まで確認します。

一周期だけの結果か、複数周期続いているかを見る

一度未成熟卵が多かったという結果だけで、治療方法や施設の問題とは判断できません。

複数の採卵周期で同じような傾向がある場合には、これまでの刺激経過や採卵までの経過を主治医へ確認しましょう。

「未成熟卵が多い=採卵タイミングが悪い」とは限らない

卵子の成熟には複数の要因が関係します。

患者自身で原因を一つに決めつけず、過去の採卵記録を比較して医師と今後の方針を相談することが大切です。

体外受精で受精しない場合は転院した方がいい?

まずIVF・ICSIのどちらで受精しなかったか確認する

受精結果を評価する際には、通常の体外受精(IVF)なのか、顕微授精(ICSI)なのかを確認します。

また、採卵数だけでなく、成熟卵が何個あり、そのうち何個が正常受精したのかを整理しましょう。

一度の受精不良だけで転院しない

一度受精率が低かったという結果だけで、「この施設では受精できない」と判断することはできません。

次周期について、IVF・ICSIの選択や今回の受精結果をどのように評価しているか確認します。

複数回続く場合は卵子・精子の両方を考える

受精しない原因を「卵子の質」だけに求めることはできません。

卵子側・精子側の双方を含めて評価します。

男性側について専門的な評価が必要と判断された場合には、男性不妊を扱う泌尿器科との連携についても確認しましょう。

胚盤胞にならない場合は培養施設を変えた方がいい?

胚発育には複数の要因が関係する

受精した胚が胚盤胞まで発育するかどうかには、

  • 女性年齢
  • 卵子側の要因
  • 精子側の要因
  • 受精方法
  • 胚自体の発育能
  • 培養環境

などが関係します。

そのため、「胚盤胞にならない=培養室の技術に問題がある」とは判断できません。

一周期だけの結果で培養施設を評価しない

一度の採卵で胚盤胞を得られなかったからといって、別のクリニックへ転院すれば次回必ず胚盤胞が得られるわけではありません。

同じ結果が続く場合は培養記録を確認する

複数周期で胚盤胞にならない場合には、

  • 何個正常受精したか
  • 何日目まで発育したか
  • どの段階で発育が止まったか
  • IVF・ICSIのどちらだったか
  • 過去周期と同じ傾向なのか

を確認します。

現在の施設でどのように評価しているか聞いたうえで、別の考え方も聞いてみたい場合にはセカンドオピニオンを検討できます。

胚移植を繰り返しても妊娠しない場合は転院すべき?

「○回陰性なら転院」という基準はない

胚移植についても、「2回陰性」「3回陰性」などの回数だけを転院基準にはできません。

移植した胚の状態、女性年齢、胚が染色体検査を受けているかなどによって、1回の胚移植で期待される着床の可能性が異なるためです。

ASRMも反復着床不全について、単純な移植回数だけではなく、それぞれの患者の年齢や胚の条件などから個別に評価する考え方を示しています。

胚側・子宮側を必要な範囲で見直す

胚移植が繰り返し陰性の場合には、状況に応じて、

  • 胚の状態
  • 子宮内腔
  • 卵管水腫
  • 子宮内膜症・子宮腺筋症など
  • 男性側の要因
  • 胚移植手技

などを確認することがあります。

ただし、すべての方にすべての検査が必要なわけではありません。

「検査を増やすこと」自体を目的にしない

着床不成功が続くと、「まだ受けていない検査が原因を見つけてくれるのでは」と感じるかもしれません。

しかし、反復着床不全に対して提案される検査・治療の中には、有効性が十分に確認されていないものもあります。

検査を提案された場合には、

「この検査で何を確認し、結果によって次の治療がどう変わりますか?」

と聞いてみましょう。

体外受精で結果が出なくても転院しなくてよいケース

結果が出ない状態が続くと転院を考えやすくなりますが、次のような場合には現在のART施設で治療を続ける選択肢があります。

前回の結果を工程別に説明してもらえている

採卵数だけではなく、成熟卵数、受精数、胚発育、凍結胚数などまで説明を受け、自分たちが結果を理解できている場合です。

次周期の治療目的が明確になっている

例えば、

前回の卵巣反応を確認
↓
次周期は治療方針を一部変更
↓
再度採卵結果を評価
↓
その結果で追加採卵か移植か判断

といった計画が立っている場合です。

何を変更するか・変更しない理由を理解できている

次回同じ治療をする場合も、その理由について十分な説明を受けて納得できているのであれば、施設を変える必要はない場合があります。

必要な専門診療に現在の施設で対応・連携できる

男性不妊や婦人科手術などが必要な場合にも、適切な専門医と連携できるのであれば、現在のART施設を中心に治療を続けることができます。

年齢を踏まえた今後のスケジュールが明確

次の採卵、追加採卵、胚移植の時期について説明を受け、年齢を踏まえた治療計画にも納得できている場合です。

結果が出ていないこと自体は、転院しなければならない理由ではありません。

年齢によって体外受精の転院タイミングは変わる?

「何歳なら転院」という基準はありません。

一方、女性年齢によって、同じ治療をあと何周期続けるか、転院による初診・再検査の期間をどの程度重く考えるかは変わります。

30代前半|何周期観察するかを決める

30代前半では、年齢だけを理由に転院を急ぐ必要はありません。

一方、「まだ若いから」と同じ結果の治療を漫然と続けず、次に方針を見直す条件を決めておくことが大切です。

35~37歳|次の半年で採卵・移植をどう進めるか確認する

35~37歳では、今行っている採卵・胚移植だけでなく、半年後にどの治療段階まで進む予定なのかを確認しておくとよいでしょう。

38~39歳|転院にかかる時間も含めて判断する

38~39歳では、今の施設で治療を続ける場合だけでなく、転院した場合に次の採卵をいつ開始できるのかまで比較することが重要です。

40~42歳|次の1周期を何のために使うか明確にする

40~42歳では、もう1周期同じ治療を行う場合にも、その周期で何を確認し、同じ結果なら次に何を変更するのかを具体化しておくことが重要です。

体外受精で転院するか迷ったらセカンドオピニオンも選択肢

今の施設をやめずに別の治療方針を聞ける

「今の治療が間違っているとは思わないけれど、ほかの方法もあるのか知りたい」という場合には、セカンドオピニオンを利用できます。

例えば、

  • 現在の卵巣刺激法について
  • 採卵結果の評価
  • IVF・ICSIの選択
  • 胚培養結果
  • 追加採卵と胚移植のどちらを優先するか
  • 胚移植陰性が続いた場合の評価

などについて、別の医師の意見を聞くことができます。

過去の治療記録を持参する

セカンドオピニオンを受ける際には、できるだけ過去の治療結果を準備しましょう。

  • 刺激法
  • 使用薬剤
  • 採卵数
  • 成熟卵数
  • 受精方法
  • 正常受精数
  • 胚発育
  • 胚盤胞数・胚評価
  • 凍結胚数
  • 胚移植結果

が分かると、現在までの治療経過を別の医師も評価しやすくなります。

セカンドオピニオン後に現在の施設を続けてもよい

別の医師へ相談した結果、現在の治療方針への理解が深まり、今の施設で治療を続けることを選ぶ場合もあります。

セカンドオピニオンは転院を前提とするものではありません。

転院前に現在の医師へ確認したいこと

  • 今回の治療結果をどのように評価していますか
  • 体外受精のどの工程に課題があると考えていますか
  • 次周期では何を変更しますか
  • 同じ治療を続ける場合、その理由は何ですか
  • 今の治療方針をあと何周期続ける予定ですか
  • 採卵数が少なかった理由をどう考えていますか
  • 成熟卵が少なかった結果をどう評価していますか
  • IVF・ICSIの選択は次回も同じですか
  • 受精結果をどのように評価していますか
  • 次回も胚盤胞にならなければ何を検討しますか
  • 男性側を再評価する必要がありますか
  • 次の胚移植も陰性だった場合は何を確認しますか
  • 追加検査を行った場合、結果によって治療はどう変わりますか
  • 私の年齢を今後の治療計画へどのように反映していますか
  • 3カ月後・半年後にはどの治療段階を想定していますか
  • セカンドオピニオンを受けてもよいですか
  • 転院する場合、採卵・受精・培養・移植記録を受け取れますか

体外受精の転院前に準備しておきたい治療記録

転院先では「採卵を3回した」という情報だけでなく、それぞれの採卵周期の内容が重要になります。

項目 確認しておきたい内容
卵巣刺激 刺激方法・使用薬剤・投与量
刺激中 卵胞数・卵巣反応
採卵 採卵数
成熟 成熟卵数
受精 IVF・ICSI、正常受精数
胚発育 何日目まで発育したか
胚盤胞 個数・胚評価
凍結 凍結胚数
胚移植 移植方法・移植した胚
妊娠判定 hCG・妊娠判定結果
その後 妊娠・流産歴

採卵周期ごとに分けて整理する

複数回採卵している場合には、

1回目
↓
2回目
↓
3回目

と周期ごとに整理しましょう。

刺激方法を変更した結果、採卵数や成熟卵数、胚発育がどのように変わったか比較できます。

凍結胚が残っていてもART施設を転院できる?

転院=凍結胚を必ず移送するわけではない

現在の施設に凍結胚がある場合にも、別のART施設へ相談することはできます。

選択肢としては、

  • 現在の施設で残っている凍結胚を移植する
  • 別施設で追加採卵について相談する
  • 凍結胚を転院先へ移送する

などがあります。

凍結胚を移送する場合は双方の施設へ確認する

移送を希望する場合には、

  • 転院元が搬出できるか
  • 転院先が受け入れ可能か
  • 輸送方法
  • 必要書類
  • 費用

などを確認します。

保険診療で治療中の場合には、過去の治療計画や胚移植回数についても転院先へ伝える必要があります。

体外受精の転院先は何を基準に選ぶ?

「成功率が高そう」という理由だけで決めない

ART施設が公開している妊娠率や出産率は、患者の年齢、不妊原因、これまでの治療歴、使用している指標などによって条件が異なる場合があります。

一つの数字だけで単純に施設を比較するのではなく、自分たちの現在の課題に対応できるかを確認しましょう。

自分が結果の出ていない工程について相談できるか

現在の悩み 転院先で確認したいこと
採卵数が少ない 過去の卵巣反応を踏まえて治療方針を相談できるか
成熟卵が少ない 採卵結果を工程別に評価してもらえるか
受精しない IVF・ICSIや男性側の評価を相談できるか
胚盤胞にならない 受精・培養記録について説明を受けられるか
胚移植が陰性続き 必要な範囲で再評価できるか
男性因子がある 男性不妊専門医と連携できるか
年齢を考えて治療を急ぎたい 初診から次の採卵までの期間
仕事との両立が難しい 診療時間・予約・アクセス

初診から次の採卵までの期間を確認する

転院した場合には、初診、過去の治療歴確認、必要な再検査、治療計画作成などが必要になる場合があります。

特に年齢を考えて治療を急ぎたい方は、

「初診はいつですか?」

だけではなく、

「転院した場合、最短でいつ次の採卵を始められますか?」

まで確認しましょう。

体外受精の転院に関するよくある質問

Q.体外受精を何回失敗したら転院すべきですか?

A.すべての方に共通する「○回」という転院基準はありません。

採卵、成熟、受精、胚培養、胚移植のどこで結果が出ていないのかを整理し、その結果を次周期へどのように反映しているかを確認しましょう。

Q.体外受精1回目が失敗しました。転院した方がよいですか?

A.1回の結果だけで転院する必要があるとは言えません。

採卵から胚移植までどこまで進んだのか、今回の結果を主治医がどう評価しているのか、次周期で何を変更する予定なのかを確認しましょう。

Q.採卵数が少なかったら病院を変えた方がいいですか?

A.採卵数だけでは判断できません。

年齢、AMH、AFC、卵巣刺激への反応などが採卵数へ関係します。

転院すれば必ず採卵数が増えるわけではないため、まず前回の結果と次回の刺激方針を確認しましょう。

Q.採卵できなかったら転院した方がいいですか?

A.一度採卵できなかった結果だけでは判断できません。

卵胞発育、採卵までの経過、今回採卵できなかった理由についてどのように評価し、次回何を変更するのか確認しましょう。

Q.体外受精で受精しない場合は転院すべきですか?

A.一度受精しなかっただけでは転院判断はできません。

IVF・ICSIのどちらで行ったのか、成熟卵はいくつあったのか、男性側を再評価する必要があるのかなどを確認します。

同じ結果が続き、別の治療方針についても聞いてみたい場合にはセカンドオピニオンを利用できます。

Q.胚盤胞にならないなら培養施設を変えた方がいいですか?

A.転院すれば必ず胚盤胞が得られるとは言えません。

胚発育には卵子、精子、年齢、受精、胚自体の発育能、培養環境など複数の要因が関係します。

複数周期同じ結果が続いている場合には、培養記録と次回の治療方針を確認しましょう。

Q.胚移植を何回失敗したら転院すべきですか?

A.移植回数だけで転院を決めることはできません。

現在の考え方では、年齢や移植した胚の条件などを踏まえて着床不成功を個別に評価します。

移植が繰り返し陰性の場合には、必要な範囲で何を再評価し、次の移植へどう反映する予定なのか確認しましょう。

Q.追加検査をたくさん行うクリニックへ転院した方がいいですか?

A.検査の種類が多いことだけでは、よりよいART施設とは判断できません。

追加検査・治療の中には有効性が十分に確立していないものもあります。

何を調べる検査なのか、結果によって治療方針がどう変わるのかを確認しましょう。

Q.セカンドオピニオンだけ受けてもよいですか?

A.利用できます。

今のART施設をやめる前に、採卵方法、受精・培養結果、胚移植方針などについて別の医師の意見を聞き、現在の治療を続けるか転院するかを判断できます。

Q.凍結胚が残っていても転院できますか?

A.転院を検討することはできます。

現在の施設で残った胚を移植する、別施設で追加採卵する、凍結胚を転院先へ移送するなど複数の方法があります。

移送可否・条件は転院元と転院先の双方へ確認してください。

まとめ:体外受精の転院は「失敗回数」ではなく「次の一手があるか」で判断する

体外受精で結果が出ないとき、「別のクリニックなら妊娠できるのでは」と考えることはあるでしょう。

しかし、体外受精に「○回失敗したら転院」というすべての方に共通する基準はありません。

1回の採卵・胚移植で結果が出なかったことだけを理由に、現在のART施設に問題があると判断することもできません。

転院を考えるときに重要なのは、「体外受精が失敗した」と一括りにせず、採卵・成熟・受精・胚培養・胚移植のどこで結果が出ていないのかを整理することです。

採卵数が少ない場合には、年齢やAMH、AFC、卵巣反応と次周期の刺激方針を確認します。

受精しない場合には、IVF・ICSIの選択や卵子・精子双方の状態を確認します。

胚盤胞にならない場合には、一度の結果だけで培養施設に原因があると決めず、複数周期の胚発育経過を振り返ります。

胚移植が繰り返し陰性の場合にも、移植回数だけで転院を決めるのではなく、胚・子宮側などを必要な範囲で再評価しているかを確認します。

そして最も重要なのは、今回の結果が次の治療へ反映されているかです。

現在の施設で、

  • 今回どこに課題があったのか説明を受けている
  • 次周期で何を変更するか分かっている
  • 変更しない場合も理由を理解している
  • 同じ結果なら次に何をするか決まっている
  • 年齢を踏まえた治療スケジュールが見えている

のであれば、そのまま治療を続ける選択肢があります。

一方、同じ結果が続いているにもかかわらず次の方針が分からない、必要な治療・専門診療へ対応できない、別の治療方法についても意見を聞きたい場合には、セカンドオピニオンや転院を検討しましょう。

体外受精の転院タイミングは、「何回失敗したか」より、「今の施設が今回の結果を分析し、次の一手を持っているか」で考えることが大切です。

京都で転院を検討している方は、これまでの採卵・受精・培養・胚移植の記録を整理し、自分が結果の出ていない工程について相談できるか、次の採卵までどの程度かかるか、男性不妊との連携、通いやすさなどを確認しながら転院先を比較しましょう。

京都にある不妊治療の
クリニック・病院
おすすめ3選

不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。

体外受精の
相談をするなら
足立病院 生殖医療センター
足立病院 生殖医療センター
引用元:足立病院 生殖医療センター公式HP
(https://www.adachi-hospital.com/infertility/)
おすすめの理由
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  • 複数の日本生殖医学会認定生殖医療専門医を含むチーム医療体制
  • 一般不妊治療から体外受精などの生殖補助医療(ART)まで幅広く対応
  • 35歳未満の凍結融解胚移植による妊娠率53.4%※2(2024年度実績)など、治療実績を公開
こんな人におすすめ

体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。

妊娠しやすい身体づくりの
相談をするなら
田村秀子婦人科医院
田村秀子婦人科医院
引用元:田村秀子婦人科医院公式HP
(https://tamura-hideko.com/)
おすすめの理由
  • 日本生殖医学会認定生殖医療専門医である院長が、不妊症・不育症の診療に対応
  • 西洋医学的な不妊治療に加え、漢方や養生の視点からも相談可能
  • 専門薬剤師による「ウィメンズ漢方」のオンライン相談を実施
  • 治療だけでなく、妊娠に向けた身体づくりについても相談できる体制
こんな人におすすめ

不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。

男性不妊治療の
相談をするなら
いちおか泌尿器科クリニック
いちおか泌尿器科クリニック
引用元:いちおか泌尿器科クリニック公式HP
(https://ichioka-urological-clinic.com/)
おすすめの理由
  • 男性不妊症に対応する泌尿器科専門医の視点から、精液検査から治療までサポート
  • 精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術に対応
  • 無精子症に対する顕微鏡下精巣精子回収術(micro-TESE)にも対応
  • 男性不妊に関する日帰り手術を相談できる
こんな人におすすめ

男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。

※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf