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「不妊治療の転院を決めたけれど、何を準備したらいい?」「紹介状がないと転院できない?」「体外受精の採卵・培養記録も必要?」「今のクリニックに凍結胚が残っているけれどどうすればいい?」と悩んでいる方もいるでしょう。
不妊治療の転院では、転院先を予約してから準備を始めるのではなく、現在の治療をどこまで行ってから移るのか、どの検査・治療記録を引き継ぐのか、転院先ではいつ次の治療を開始できるのかまで事前に確認しておくことが大切です。
特に体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)を受けている場合には、「採卵を3回した」という情報だけではなく、
などを周期ごとに整理しておくと、転院先でもこれまでの治療結果を評価しやすくなります。
また、転院したからといって、過去の保険診療による胚移植回数が最初からになるわけではありません。生殖補助医療の治療計画を作成する際には、これまでの治療経過や胚移植回数も確認されます。
この記事では、不妊治療の転院前に確認したいことを、実際に使えるチェックリスト形式で整理します。
本記事は2026年10月時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。紹介状の要否、検査結果の有効期間、凍結胚・卵子の移送条件、転院後の治療開始時期などは医療機関によって異なります。現在治療中の薬剤や治療周期を自己判断で中断せず、転院元・転院先の双方へ確認してください。
転院を検討している方は、まず次の項目を確認してみましょう。
| チェック | 転院前に確認したいこと |
|---|---|
| □ | なぜ転院したいのか整理した |
| □ | 転院先の初診可能日を確認した |
| □ | 初診後、最短でいつ治療を開始できるか確認した |
| □ | 紹介状が必要か確認した |
| □ | これまでの検査結果を用意した |
| □ | タイミング法・人工授精の治療歴を整理した |
| □ | IVF・ICSIの採卵・受精・培養記録を整理した |
| □ | 妊娠・流産歴を整理した |
| □ | 現在使用している薬剤を確認した |
| □ | 今の治療をどこまで行ってから転院するか相談した |
| □ | 凍結胚・凍結卵子の保存状況を確認した |
| □ | 凍結胚・卵子を移送するか検討した |
| □ | 移送する場合、転院元・転院先双方へ対応可否を確認した |
| □ | 保険診療による胚移植回数を確認した |
| □ | 転院先で再検査が必要な項目を確認した |
| □ | 転院後の通院頻度・診療時間を確認した |
転院準備で重要なのは、「書類がそろったか」だけでなく、「現在の治療終了から転院先での次回治療までをつなげられているか」です。
転院を検討する理由には、さまざまなものがあります。
転院理由は一つである必要はありません。
例えば、採卵結果について別の施設へ相談したいのであれば、AMHだけではなく、過去の刺激法や採卵結果を整理することが重要です。
| 転院理由 | 特に整理したい情報 |
|---|---|
| 採卵数が少ない | AMH・AFC・刺激法・使用薬剤・採卵数・成熟卵数 |
| 受精しない | 成熟卵数・IVF/ICSI・正常受精数・精液所見 |
| 胚盤胞にならない | 正常受精数・培養日数・胚発育・胚盤胞数 |
| 胚移植が陰性続き | 移植胚・胚評価・移植方法・妊娠判定・妊娠歴 |
| 男性不妊 | 精液検査・男性側の診断・治療歴 |
まず、転院を希望するクリニックへ初診可能日を確認します。
転院を決めてから現在の治療を終了し、その後で予約を取ろうとすると、初診まで期間が空くことがあります。
初診を受けたからといって、その周期からすぐ人工授精・採卵・胚移植を開始できるとは限りません。
転院先では、
などが必要になる場合があります。
特に治療を急ぎたい場合には、
「初診した場合、最短でいつ次の人工授精・採卵・胚移植を開始できますか?」
と確認しておくとよいでしょう。
必要なものは施設によって異なります。
予約時に、
など、何を持参する必要があるか確認しましょう。
「今のクリニックを完全にやめてから転院先へ行く」という順番だけではありません。
現在の治療を続けながら転院相談や初診を受けられる場合もあります。
治療の空白期間をできるだけ把握したい場合には、現在の治療をいつまで続けるかと合わせて相談しましょう。
不妊治療の転院で、すべての医療機関に紹介状が必須というわけではありません。
紹介状なしで初診できる施設もあります。
一方、現在までの診断内容や治療経過を共有するため、紹介状の提出を求める施設もあります。
「紹介状が必要かどうか」は転院先へ事前に確認してください。
紹介状が必須ではない場合でも、これまでの検査・治療内容を転院先へ正確に伝えることは重要です。
特に生殖補助医療では、治療計画作成時にそれまでの治療経過や胚移植回数などを確認します。
転院したいことを現在の医師へ伝えること自体に問題はありません。
例えば、
「今後の治療について別の施設でも相談したいため、紹介状とこれまでの検査・治療記録をお願いできますか」
と相談できます。
「現在の治療が間違っている」と伝える必要はありません。
治療記録を次の医療機関へ引き継ぐための手続きとして相談しましょう。
すでに受けている場合には、次のような検査結果を整理しておきましょう。
すべての検査を受けている必要はありません。
すでに行った検査について、結果と検査日が分かる資料を用意します。
男性側についても、実施済みであれば、
などを用意します。
女性側だけでなく、カップル双方の治療経過を共有できるようにしておくとよいでしょう。
転院先で過去の検査結果を利用できる場合もありますが、検査から時間が経過している場合には再検査を求められることがあります。
結果だけでなく、いつ実施した検査なのかも分かるようにしておきましょう。
タイミング法を受けている場合には、
などを整理します。
人工授精(AIH)を受けている場合には、
などを確認しておきましょう。
「人工授精では妊娠しなかったので、体外受精へ進むために転院する」という場合には、過去の人工授精回数だけでなく、転院先でいつARTを開始できるか確認することが重要です。
体外受精・顕微授精を経験している場合には、転院先の医師がこれまでの治療結果を工程別に確認できるようにします。
| 項目 | 整理しておきたい内容 |
|---|---|
| 採卵年月 | いつ採卵したか |
| 卵巣刺激法 | 使用した刺激方法 |
| 使用薬剤 | 薬剤名・分かれば投与量 |
| 卵巣反応 | 採卵前の卵胞数など |
| 採卵数 | 採取できた卵子数 |
| 成熟卵数 | 成熟卵はいくつだったか |
| 受精方法 | IVF/ICSIなど |
| 正常受精数 | 正常受精した卵子数 |
| 胚培養 | 何日目まで発育したか |
| 胚盤胞 | 個数・胚評価 |
| 凍結胚 | 凍結した胚数・現在の保存数 |
| 胚移植 | 移植した胚・移植方法 |
| 妊娠判定 | 妊娠判定結果 |
| 妊娠経過 | 妊娠・流産歴 |
複数回の採卵を経験している場合には、一つにまとめず、採卵周期ごとに整理すると治療結果を比較しやすくなります。
| 項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| 刺激法 | - | - | - |
| 採卵数 | - | - | - |
| 成熟卵数 | - | - | - |
| 正常受精数 | - | - | - |
| 胚盤胞数 | - | - | - |
| 凍結胚数 | - | - | - |
例えば刺激法を変更した結果、採卵数は増えたのか、成熟卵・正常受精・胚盤胞までの結果はどう変化したのかを転院先でも確認できます。
過去の検査結果を転院先で利用できる場合もあります。
そのため、これまで受けた検査結果をできるだけ準備しておくことが大切です。
一方、次のような理由から検査を再度行う場合があります。
「前のクリニックで検査をしたから絶対に再検査しない」というわけでも、「転院したらすべて最初から」というわけでもありません。
可能であれば、
「過去の検査結果を持参した場合、どの検査を再度受ける可能性がありますか?」
と確認しておくと、転院後の期間や費用の見通しを立てやすくなります。
現在使用している薬がある場合には、転院するからという理由だけで自己判断で中止しないでください。
例えば、
などがあります。
転院元の医師・処方医と相談し、いつまで使用するのか確認しましょう。
すでに排卵誘発中、採卵周期中、胚移植周期中などの場合には、治療の途中で施設を変えるのではなく、現在の周期をどこまで完了してから転院するのか相談します。
実際の切り替え時期は治療内容によって異なるため、転院元と転院先の双方へ確認してください。
現在使用中の薬がある場合には、
が分かるようにしておきましょう。
お薬手帳や薬剤情報の用紙も利用できます。
現在のクリニックに凍結胚がある場合でも、転院と同時に必ずすべての胚を新しい施設へ移す必要があるとは限りません。
例えば、
などが考えられます。
凍結胚・凍結卵子の移送を希望する場合には、
などを双方へ確認します。
「転院するから」と、転院先の受け入れ可否を確認する前に移送手続きを進めないようにしましょう。
まず転院先が胚・卵子の受け入れに対応しているか確認し、その後に転院元と具体的な手続きを相談します。
などを確認しておきましょう。
保険診療による生殖補助医療では、治療計画を作成するときに、それまでの治療経過を確認します。
2026年度の厚生労働省の診療報酬上の取扱いでも、生殖補助医療管理料の治療計画作成時には、患者とパートナーのこれまでの治療経過を把握することとされています。
そのため、転院前に、
などを整理しておきましょう。
厚生労働省の取扱いでは、生殖補助医療の治療計画作成時に、これまで実施した胚移植術の合計回数を確認することとされています。
必要に応じて、過去に治療を受けた医療機関へ照会することもあります。
転院前に、自分でもこれまでの胚移植回数を整理しておくとよいでしょう。
医療機関を変更したことだけを理由に、保険診療による胚移植回数が最初からになるわけではありません。
過去の治療歴・実施回数を確認したうえで転院先の治療計画が作成されます。
現在の保険制度では、生殖補助医療の開始日に女性が43歳未満であることが年齢要件です。
また、初めて胚移植のための治療計画を作成した日の年齢によって、胚移植の回数上限が異なります。
| 初回治療計画作成時の女性年齢 | 保険診療での胚移植回数 |
|---|---|
| 40歳未満 | 1子につき通算6回まで |
| 40歳以上43歳未満 | 1子につき通算3回まで |
現在の治療歴や年齢によって個別確認が必要になる場合があります。転院元・転院先へ確認してください。
まず、現在行っている治療周期がいつ終了する予定なのか確認します。
現在の治療終了後に予約を探し始めるのではなく、並行して初診可能日を調べることもできます。
再検査が必要な場合、月経周期に合わせて行う検査などでは治療開始まで一定期間かかることがあります。
人工授精や採卵を希望する場合、転院後のどの月経周期から治療を開始できるか確認します。
例えば、
現在の施設で治療終了
↓
転院先初診
↓
必要な検査・治療方針決定
↓
次回またはその次の月経周期から治療開始
といった流れが考えられます。
ただし、必要な期間は施設・治療内容によって異なります。
「いつ初診できるか」だけでなく、「いつ次の治療を始められるか」まで確認しましょう。
30代前半では、年齢だけを理由に転院を急ぐ必要はありません。
まず、なぜ転院したいのか、現在の治療で何が課題なのかを整理し、必要な検査・治療記録をそろえましょう。
35~37歳では、転院後にどの治療から始め、半年後にはどの治療段階まで進む予定なのかを確認しておくとよいでしょう。
38~39歳では、転院によって生じる初診待ち・再検査の期間も治療計画に含めて考えます。
候補施設には、最短でいつ次の採卵・胚移植へ進めるか確認しましょう。
40~42歳では、現在の治療をもう1周期行ってから転院するのか、次周期から転院先で治療するのかなど、治療周期単位で計画を確認することが重要です。
42歳では保険診療の年齢要件も含め、転院後にいつ生殖補助医療を開始できるか確認しましょう。
初診時には、これまでの治療結果を提示したうえで、次のような内容を確認してみましょう。
転院を決めても、現在使用している薬を自己判断で中止しないでください。
現在の治療周期をどこまで完了するか、処方薬をいつまで使用するかは医師へ確認します。
過去の検査・治療情報が不足すると、転院先でこれまでの治療結果を評価しにくくなります。
紹介状が不要な場合でも、可能な範囲で資料を準備しましょう。
体外受精では、採卵数だけでなく、成熟・受精・胚培養・凍結・移植までの結果が重要です。
採卵周期ごとの情報を整理しましょう。
転院先で初診まで待機期間があり、さらに再検査が必要になる場合には、想定以上に次の治療まで期間が空くことがあります。
現在の治療を終了する前に、可能であれば転院先のスケジュールも確認しておきましょう。
胚・卵子の受け入れ条件は医療機関によって異なります。
転院元だけで手続きを進めず、転院先へ受け入れ可否を確認してください。
転院後もこれまでの治療経過を確認したうえで治療計画が作成されます。
保険診療による胚移植回数も、医療機関を変更したことだけを理由に最初からになるわけではありません。
A.紹介状が必須かどうかは医療機関によって異なります。
紹介状なしで受診できる施設もありますが、これまでの検査・治療経過を正確に共有するため、紹介状や治療記録を準備するとよいでしょう。
A.転院を希望していることを伝えて問題ありません。
紹介状、検査結果、採卵・培養記録など、次の施設へ必要な情報を引き継ぎたいことを相談しましょう。
A.すべての検査をやり直すとは限りません。
過去の結果を利用できる場合もありますが、検査から時間が経過している場合や、現在の状態を確認する必要がある場合には再検査を行うことがあります。
A.自己判断で中断しないでください。
現在の治療周期をどこまで行うか、転院先でいつ次の治療を開始できるかを確認したうえで切り替え時期を相談しましょう。
A.可能であれば、採卵周期ごとに、
を整理しましょう。
A.転院を検討することはできます。
ただし、転院と同時に凍結胚を必ず移送する必要があるわけではありません。
元の施設で移植する、新しい施設で追加採卵を行う、胚を移送するなどの選択肢について双方の医療機関へ相談しましょう。
A.移送に対応している施設もありますが、すべての医療機関間で移送できるとは限りません。
転院元の搬出可否、転院先の受け入れ可否、輸送方法・書類・費用などを確認してください。
A.医療機関を変更したことだけを理由に最初からになるわけではありません。
転院先では、これまでの治療経過や胚移植回数を確認したうえで治療計画を作成します。
A.転院先の予約状況、再検査の有無、現在の治療段階などによって異なります。
「初診できる日」だけでなく、「最短で次の治療を開始できる日」を確認すると見通しを立てやすくなります。
A.施設ごとに必要書類は異なりますが、これまでの検査・治療記録があると、別の医師が現在の治療方針を評価する際の重要な情報になります。
体外受精について相談する場合には、採卵・受精・培養・胚移植までの記録を準備するとよいでしょう。
不妊治療の転院では、紹介状や検査結果をそろえるだけで準備が完了するわけではありません。
まず、なぜ転院したいのかを整理し、その理由を転院先の医師が評価できるだけの治療記録を準備することが大切です。
タイミング法・人工授精を受けている場合には、治療期間、回数、使用した薬剤などを整理します。
体外受精・顕微授精を受けている場合には、「体外受精を3回受けた」とまとめるのではなく、刺激法、採卵数、成熟卵数、受精方法、正常受精数、胚発育、凍結胚、胚移植結果を周期ごとに整理しましょう。
また、現在治療中の場合には、転院を決めたからといって薬や治療を自己判断で中止せず、現在の治療周期をどこまで行ってから移るのかを医師へ相談します。
凍結胚・凍結卵子がある場合には、転院と同時に移送する必要があるとは限りません。現在の施設で移植する、新しい施設で追加採卵を行う、胚を移送するなどの選択肢について確認しましょう。
保険診療でARTを受けている場合には、これまでの生殖補助医療歴や胚移植回数も整理します。転院したことだけを理由に、保険診療での胚移植回数が最初からになるわけではありません。
そして転院準備で特に重要なのが、現在の施設での最終治療と、転院先での次回治療をつなげることです。
転院候補へは、
まで確認しましょう。
不妊治療の転院準備では、「何を持っていくか」だけでなく、「次の治療をいつ、どの方針で始められるか」まで見通しておくことが大切です。
京都で転院を検討している方は、これまでの検査・治療記録を整理したうえで、自分たちが次に必要としている治療へ対応できるか、初診から治療開始までどの程度かかるか、男性不妊との連携や通院しやすさなどを比較して転院先を検討しましょう。
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf