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「不妊治療で転院したら、保険適用の回数はリセットされる?」「今のクリニックで胚移植を何回か受けたけれど、転院先ではまた最初から保険を使える?」「39歳で治療を始めて、40歳になってから転院したら6回から3回になる?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論からいうと、不妊治療の医療機関を転院したことだけを理由に、これまで保険診療で実施した胚移植回数がリセットされるわけではありません。
例えば、初めて胚移植の治療計画を作成したときの年齢が40歳未満で、保険診療による胚移植の上限が6回となる方が、Aクリニックですでに3回胚移植を受けていたとします。
その後Bクリニックへ転院しても、Bクリニックで「新たに6回」保険診療の胚移植を受けられるわけではありません。
上限6回 - これまで保険診療で実施した胚移植3回 = 残り3回が目安
となります。
また、保険診療の回数制限で数えるのは、一般に「採卵回数」や「体外受精を始めた回数」ではなく、保険診療で実施した胚移植術の回数です。
一方で、残り回数があれば年齢に関係なく保険診療を受け続けられるわけでもありません。生殖補助医療には、治療開始時の女性年齢が43歳未満であることなど、回数とは別の条件があります。
この記事では、不妊治療で転院した場合の保険適用について、胚移植6回・3回の数え方、40歳をまたいで転院する場合、43歳の年齢条件、自費治療、流産・出産後の扱いなどを整理します。
本記事は2026年10月時点で確認できる厚生労働省・こども家庭庁の公開情報をもとに作成しています。実際の保険適用可否は、年齢、過去の治療歴、治療計画、現在の治療内容などによって個別に確認が必要です。転院前後の具体的な残り回数については、現在の医療機関と転院先へ確認してください。
不妊治療の保険適用回数は、医療機関ごとに設定されているわけではありません。
そのため、転院したからといって、過去に保険診療で実施した胚移植回数が0回に戻るわけではありません。
例えば、初めて胚移植の治療計画を作成したときに40歳未満だった方の場合を考えてみます。
| 治療状況 | 保険診療での胚移植回数 |
|---|---|
| Aクリニック:1回目 | 1回 |
| Aクリニック:2回目 | 2回 |
| Aクリニック:3回目 | 3回 |
| Bクリニックへ転院 | 3回実施済みとして確認 |
その他の保険適用条件を満たす場合、上限6回であれば残り3回が一つの目安になります。
生殖補助医療を保険診療で行う医療機関には、胚移植術の回数を含めて患者の治療経過を把握する体制が求められています。
また、過去に胚移植を実施した医療機関は、別の保険医療機関から実施回数について情報提供を求められた場合に対応する体制を整えることとされています。
そのため転院時には、患者自身の申告だけでなく、必要に応じて医療機関間でこれまでの治療歴を確認することがあります。
「A院で6回、B院へ転院すればさらに6回」といった仕組みではありません。
転院前に何回胚移植を行ったかを整理し、転院先でも過去の治療歴を正確に伝えましょう。
不妊治療には、タイミング法や人工授精(AIH)などの「一般不妊治療」と、体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)などの「生殖補助医療(ART)」があります。
こども家庭庁では、一般不妊治療については、ARTに設定されているような年齢・回数制限はないと案内しています。
そのため、
「人工授精も保険では6回まで」
という意味ではありません。
体外受精・顕微授精などの生殖補助医療では、初めて胚移植のための治療計画を作成した日の女性年齢によって、保険診療で実施できる胚移植術の回数上限が異なります。
| 初めて胚移植の治療計画を作成した日の女性年齢 | 保険診療での胚移植上限 |
|---|---|
| 40歳未満 | 1子につき6回まで |
| 40歳以上43歳未満 | 1子につき3回まで |
回数制限とは別に、生殖補助医療を保険診療で受けるためには、患者とパートナーのうち女性の年齢が生殖補助医療の開始日に43歳未満であることが条件とされています。
そのため、
「保険の胚移植回数がまだ残っている=43歳以降もその回数を使える」
という意味ではありません。
特に42歳で転院を考えている場合には、初診日だけでなく、次の生殖補助医療をいつ開始できるのかも転院先へ確認しましょう。
「採卵を3回したので、保険の6回中3回を使った」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、保険診療の年齢別回数上限として設定されているのは、胚移植術の実施回数です。
採卵を行ったものの、
などの理由で胚移植まで進まなかった場合、その採卵自体を「胚移植1回」として数えるわけではありません。
厚生労働省は、保険診療による採卵について、医師が作成した治療計画に基づき、医学的に必要と判断されれば複数回実施することも想定しています。
したがって、
「体外受精は保険で6回まで」
という表現では、採卵と胚移植が混同されやすいため注意が必要です。
正確には、年齢に応じて保険診療で実施する胚移植術に1子あたり6回または3回の上限があると考えます。
保険診療として胚移植術を実施した場合には、その実施回数を確認します。
自分がこれまで何回胚移植を受けているか分からない場合には、転院前に現在のクリニックへ確認しておくとよいでしょう。
胚移植の6回・3回という上限を決める基準は、転院時の年齢ではありません。
患者とパートナーについて、初めて胚移植術に係る治療計画を作成した日の女性年齢が基準となります。
例えば、
39歳で初めて胚移植の治療計画を作成
↓
保険診療上の上限は1子につき6回
↓
40歳で別のクリニックへ転院
した場合、転院したことだけを理由に上限が3回へ変更される仕組みではありません。
転院先でも、これまでの治療計画や胚移植回数を確認したうえで治療計画を検討します。
したがって、「40歳で転院すると、新しいクリニックでは3回になる」と一律に考える必要はありません。
ここで混同しやすいのが、
です。
| 確認する条件 | 基準 |
|---|---|
| 胚移植の上限が6回か3回か | 初めて胚移植の治療計画を作成した日の女性年齢 |
| ARTを保険診療で開始できるか | 生殖補助医療開始日に女性が43歳未満 |
この2つを分けて考えることが重要です。
例えば、40歳で初めて胚移植の治療計画を作成した場合には、保険診療での胚移植上限は1子につき3回です。
その後、Aクリニックで1回胚移植を行ってからBクリニックへ転院した場合には、
上限3回
-
保険診療で実施済み1回
=
残り2回が目安
となります。
転院先で新たに「3回」が追加されるわけではありません。
実際の保険適用については、現在の年齢や治療計画なども含めて転院先へ確認してください。
42歳で医療機関を変更したからといって、それだけで不妊治療が保険適用外になるわけではありません。
これまでの胚移植回数や治療歴を引き継ぎ、その他の保険適用条件を満たしているか確認します。
一方、生殖補助医療には治療開始時の女性年齢が43歳未満という条件があります。
42歳で転院する場合には、
を確認することが重要です。
残り回数と年齢条件は別です。
保険で利用できる回数が残っていても、治療開始時の年齢要件を満たす必要があります。
厚生労働省は、保険診療における胚移植の回数制限について、保険診療下で行った胚移植の回数をカウントするとしています。
そのため、保険診療が導入される前に行った不妊治療や、保険外診療として実施した胚移植を、そのまま保険診療の6回・3回へ加算する仕組みではありません。
一方、保険の回数制限に何回として数えるかと、今後の治療方針を考えるための医学的な治療歴は別です。
自費診療で、
などを経験している場合には、転院先の医師へ伝えましょう。
過去の自費治療の結果も、次の治療方法を考える材料になります。
保険診療で胚移植を行ったものの妊娠しなかった場合に、
「妊娠しなかったから、その1回は使わなかったことになる」
という仕組みではありません。
保険診療として胚移植術を実施していれば、その実施回数として扱われます。
胚移植後に妊娠反応があったものの、その後妊娠が継続しなかった場合も、実施済みの胚移植そのものを「なかったこと」にする仕組みではありません。
一方、出産や妊娠12週以降の死産後に、次の児の妊娠を目的として治療する場合には別の取扱いがあります。
生殖補助医療の胚移植回数は、
という考え方になっています。
出産後に次の児の妊娠を目的として再び胚移植を行う場合には、次の治療について新たに年齢に応じた回数上限が設定されます。
例えば、次の児に向けた治療計画の基準となる年齢が、
となります。
「最初の子の治療で6回使ったから、次の子はすべて自費」という意味ではありません。
厚生労働省の疑義解釈では、妊娠12週以降の死産後に次の児の妊娠を目的として治療する場合についても、次の児に向けた治療として扱うことが示されています。
個別の治療歴については、医療機関へ確認してください。
「一度妊娠したら、その時点で次の6回・3回が始まる」という制度ではありません。
妊娠後に流産した場合の扱いは、出産後や妊娠12週以降の死産後に次の児を希望する場合の取扱いとは分けて考える必要があります。
そのため、「流産したら保険の回数がリセットされる」と一律に考えないようにしましょう。
自分の妊娠経過で残り回数がどう扱われるかは、治療中の医療機関または転院先へ確認してください。
転院先では、生殖補助医療の治療計画を立てるにあたり、これまでの治療歴を確認します。
患者側でも、可能であれば、
を整理しておきましょう。
現在の制度では、生殖補助医療を行う保険医療機関に、患者の胚移植回数を含む治療経過を把握する体制が求められています。
また、別の保険医療機関から過去の胚移植回数について情報提供を求められた場合には、それに応じる体制を整えることとされています。
転院先で確認をスムーズにするため、紹介状のほか、可能であれば過去の胚移植記録なども準備しましょう。
転院前には、次の4ステップで現在の回数を整理してみましょう。
まず、初めて胚移植術に係る治療計画を作成した日の年齢を確認します。
| 基準日の女性年齢 | 上限 |
|---|---|
| 40歳未満 | 1子につき6回 |
| 40歳以上43歳未満 | 1子につき3回 |
前の医療機関を含め、保険診療で何回胚移植を行ったか確認します。
例えば、
初回治療計画作成時:38歳
上限:6回
保険診療で胚移植済み:4回
↓
残り2回が目安
となります。
この計算は現在の状況を整理するための目安です。実際に次の治療が保険適用になるかは、現在の年齢、治療開始日、治療内容、これまでの治療歴などを踏まえて医療機関が確認します。
現在のクリニックに凍結胚がある状態で転院を考える方もいるでしょう。
凍結胚があるからといって、転院した時点でその胚が使用できなくなるという意味ではありません。
一方で、
などの確認が必要です。
厚生労働省は、不妊治療の保険適用開始前に一定の医療機関で作成・凍結した胚についても、条件を満たす場合には保険診療で使用できることを示しています。
過去の胚だから一律に自費になると判断せず、保存状況や治療歴を転院先へ伝えて確認しましょう。
凍結胚を別のクリニックへ移送できるかは、転院元・転院先の双方へ確認する必要があります。
保険診療の残り回数と、胚移送の手続き・費用・受け入れ条件は別の問題として整理しましょう。
転院したからといって、すべての方が最初から新しい採卵をしなければならないわけではありません。
現在保存している胚を転院後も使用できる場合には、その胚を用いた治療について検討するケースもあります。
転院後の治療は、
などから医師と相談します。
「転院=採卵から全部やり直し」と決めつける必要はありません。
医療機関を変更したことだけを理由に、その後の不妊治療がすべて自費になるわけではありません。
重要なのは、転院後の治療が保険診療の算定要件を満たしているかです。
例として、
場合などがあります。
「転院したから保険が使えない」のではなく、「転院後に行う治療が保険適用条件を満たすか」を確認することが重要です。
A.転院したことだけを理由にリセットされるわけではありません。
他院で保険診療として行った胚移植も含め、これまでの治療歴・胚移植回数を確認して転院先の治療計画を作成します。
A.6回・3回という年齢別の上限は胚移植術の実施回数です。
採卵を1回行ったことだけで、胚移植の回数を1回使用したことにはなりません。
A.人工授精は一般不妊治療に該当し、ARTに設定されている6回・3回という胚移植回数制限とは別です。
こども家庭庁では、一般不妊治療について年齢・回数制限はないと案内しています。
A.転院した時点の年齢だけで6回から3回へ変更される仕組みではありません。
回数上限は、初めて胚移植術に係る治療計画を作成した日の女性年齢によって決まります。
一方、生殖補助医療開始時に43歳未満という条件は別にあります。
A.残り回数があることだけでは判断できません。
生殖補助医療の保険適用には治療開始時に女性が43歳未満という条件もあるため、42歳で治療中・転院検討中の場合には、今後の治療開始時期を医療機関へ確認してください。
A.保険診療で胚移植術を実施していれば、妊娠に至らなかったことを理由に実施回数が取り消される仕組みではありません。
A.流産したことだけを理由に、一律に新たな6回・3回が設定されるわけではありません。
出産後や妊娠12週以降の死産後に次の児を希望する場合とは取扱いが異なるため、個別の経過は医療機関へ確認してください。
A.次の児の妊娠を目的として治療を行う場合には、その治療について年齢に応じた新たな回数上限が設定されます。
40歳未満では6回、40歳以上43歳未満では3回が上限となります。
A.保険診療上の回数制限では、保険診療下で実施した胚移植回数を数えます。
ただし、自費で行った採卵・胚移植なども今後の治療方針を考える重要な医学的情報なので、転院先へ伝えましょう。
A.凍結胚を移送したことを理由に、過去の保険診療による胚移植回数がリセットされるわけではありません。
胚の移送可否や、その胚を用いた治療の保険適用については転院先へ確認してください。
A.まず患者自身の治療歴や持参資料を確認し、必要に応じて過去に治療した医療機関へ確認することがあります。
転院前に紹介状や胚移植記録を準備しておくと、治療歴を共有しやすくなります。
不妊治療で転院しても、それまで保険診療で行った胚移植回数がリセットされるわけではありません。
転院先でも、他院分を含めてこれまでの治療経過・胚移植回数を確認したうえで、次の治療計画を立てます。
まず知っておきたいのは、一般に「体外受精は6回まで」という意味ではなく、保険診療における胚移植術に年齢に応じた回数上限が設定されているという点です。
初めて胚移植の治療計画を作成した日の女性年齢が、
が上限です。
採卵回数そのものを6回・3回として数えるわけではありません。
また、転院によって40歳をまたいだ場合でも、転院した日の年齢だけを理由に上限が6回から3回へ変更される仕組みではありません。回数上限は、初めて胚移植の治療計画を作成した日の年齢が基準です。
一方、残り回数とは別に、生殖補助医療の開始時に女性が43歳未満であることなどの保険適用条件があります。
そのため、転院前には、
を確認しておくとよいでしょう。
自費で行った不妊治療についても、保険診療上の回数カウントとは別に、医学的な治療歴として転院先へ伝えることが大切です。
また、出産後に次の児の妊娠を目指す場合には、年齢に応じて新たな胚移植回数上限が設定されます。
転院時に大切なのは、「病院を変えれば何回使えるか」ではなく、自分がどの年齢区分で、保険診療による胚移植をこれまで何回実施し、現在どの条件で次の治療を受けられるのかを確認することです。
京都で不妊治療の転院を考えている方は、紹介状やこれまでの胚移植記録を準備し、初診時に保険診療での残り回数と今後の治療スケジュールを確認しましょう。
主な参考情報
不妊治療や生殖補助医療に関する高度な専門知識と技術を持つ「日本生殖医学会認定生殖医療専門医」が常勤で在籍しているクリニック・病院の中から、治療の目的別に優れた病院・クリニック3院をご紹介します(2025年3月調査時点)。
体外受精を含め、専門医の体制や具体的な治療実績を確認しながら、本格的に不妊治療を進めたい方に向いています。
不妊治療だけでなく、体調や生活習慣、漢方なども含めて妊娠に向けた身体づくりを相談したい方に向いています。
男性側の不妊原因を詳しく調べたい方や、検査だけでなく手術を含めた男性不妊治療まで相談したい方に向いています。
※1参照元:足立病院「数字でわかる足立病院」https://www.adachi-hospital.com/numbers/
※2参照元:足立病院「体外受精(凍結融解胚移植)による35歳未満の妊娠率(2024年度実績)」https://www.adachi-hospital.com/infertility/achievements/
※3参照元:日本産婦人科学会「ART臨床実施成績データ2022(PDF)」https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf